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旬のサンマがおいしい季節だが高齢者は《秋の食中毒》に要注意!調理や保存のポイントや対策を管理栄養士が解説

 ようやく暑さが和らいてきたが、涼しくなってきたこの季節こそ、「食材の衛生管理や温度管理に注意して」と、管理栄養士の川鍋仁美さん。夏の暑さで免疫力が落ちている高齢者はとくに食中毒にかかりやすくなるという。秋ならではの食中毒の予防法について川鍋さんに解説いただいた。

教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん

管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/

食中毒「涼しくなってきたから大丈夫」は間違い

 暑い夏が過ぎ、少しずつ過ごしやすい日も増えてきました。旬の食べ物が豊富なこの時期は食べものがより美味しく感じる時期ではないでしょうか。

 実は、そんな実りの秋に注意したいのが「食中毒」なんです。食中毒といえば、ジメジメした梅雨時期や暑い夏場を連想しますが、実は10月も食中毒が多い月なのです。

「涼しくなってきたこの時期になぜ?」と思うかもしれません。秋に食中毒が増えやすい原因や予防法についてご紹介します。

秋に食中毒が増えるのはなぜ?

 食中毒は1年を通して発生していますが、特に秋に増えるのには次のような理由が考えられます。

秋は自然毒による食中毒が増える

 食中毒を引き起こす原因は大きく分けて「微生物」(細菌・ウイルス・寄生虫・原虫)、「自然毒」「化学物質」です。秋の時期は、キノコや山菜など自然毒の食中毒を起こすおそれがあるものを口にする機会が増えます。

 また、サンマや秋鮭など旬の魚介類を食べる機会が増えるため、アニサキスなどの寄生虫による食中毒の発生頻度も高まります。

涼しくなってくると油断してしまう

 梅雨時期や暑い時期は、自然と衛生管理を意識して行いますが、秋は対策がおろそかになりやすい傾向があります。

 微生物の多くは約20度以上になると活発に増殖し始めます。特に25~40度の温度帯は最も危険です。真夏のように熱くなくても、ジメジメしていなくても、20度以上に食品がさらされる環境では微生物は増殖しやすく、食中毒の発生危険度は夏場や梅雨時期と変わりません。

 涼しくなってきたからと調理中の衛生管理を怠ったり、保冷剤等を利用せずに食品を高い温度のまま保存してしまったりすることは非常に危険です。

秋は免疫力が落ちやすい「高齢者は特に注意」

 秋は日によって寒暖差も大きく体調も崩しやすい時期です。特に、夏の酷暑で疲れていたり、食欲を落としてしまったりしたかた多く、抵抗力が弱っている高齢者も多いのではないでしょうか。

 免疫力・抵抗力が弱っていると、普段はかからないような病気にかかることも。少量の原因物質に晒されるだけで食中毒になったり、重篤化しやすくなったりするリスクも高まります。

秋に注意したい食中毒予防のポイント6選

 なるべく食中毒のリスクを減らすために、注意しておきたいポイントを上げます。

秋ならではの食材に要注意

 自然毒による中毒で最も多いのはきのこです。確実に食用のもの以外は口にするのは控えましょう。

寄生虫「アニキサス」対策

 秋刀魚や秋鮭、サバなどの魚介類に潜むアニサキスは、60℃以上の温度で1分以上加熱するか、-20℃以下の温度で24時間以上冷凍すると死滅します。

 酢やレモンなどの酸、塩やわさびには殺菌作用はありますが、アニサキスは死滅しないので、生食で食べる場合はとくに注意が必要です。主に内臓に寄生するとされているため、内臓は除去したほうがリスクは減ると考えられています。

食品は10℃以下で保存を

 夏から秋にかけて多い細菌性の食中毒菌は、高温を好みます。涼しくなっても温度管理は徹底しましょう。一般的に、4~10℃以下なら微生物の増殖を抑えることができますが、それ以上になると少しずつ増殖します。食品は基本的に10℃以下で保存しましょう。

涼しい日でも室温保存はNG

 調理されたものはできるだけ2時間以内に食べましょう。宅配弁当も同様です。すぐに食べられない場合は、冷蔵または冷凍保存が基本です。

 家庭の冷蔵庫の温度は10℃以下、冷凍庫は15度以下に設定しておきましょう。開け閉めが多いと庫内の温度が上昇するので、設定温度を少し下げておくことをおすすめします。

食べ残した料理の保存法に注意

 食べ残した料理は、清潔な容器に移して冷蔵庫で保管を。次に食べるときは、食品の中心部まで十分に加熱してから食べましょう。

電子レンジの再加熱はムラに要注意

 食中毒の原因になる細菌を繁殖させないためには、食べるときにもしっかり中心部まで加熱することが大切です。
再加熱に電子レンジを使うときは、ムラができやすいので時々止めてかき混ぜながら加熱温度が一定になるようにしましょう。

***

 実りの秋だからこそ、食材の管理に注意して食中毒の予防をしながら、旬の食材をおいしく味わってほしいと思います。

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