60歳を過ぎたら面倒な人間関係を見直す!夫婦関係は「独立国家同士が貿易をすると考える」、介護が必要な親との関係は「共倒れの回避」を大切に
友達関係はふるいにかけて、垣根の内側に置く人を見極める
友達関係も身近な人間関係の1つ。友達関係では、自分の心の垣根の内側に誰がいるかを意識することが大切だ。大人でも、友達が多いことを自慢とする人はいるが、垣根を広げ過ぎた広範囲な人間関係は負担になることもある。
「仕事も引退して人生後半に入ったら、心の垣根別に、一度友達をふるいにかけてみてもいいでしょう」と名取さん。ふるいにかけ、垣根の最も内側に、一緒にいると落ち着けたり、楽しい気持ちになれたりする人を置くことで、中身の濃い人生を送りやすくなっていく。
「ただし、相手にも相手の『心の垣根』があることはお忘れなく。ふるいにかけて残った人に対して、友情の押し売りになっていないかどうかだけは、注意を払ったほうがよさそうです」
年賀状など風習も見直す
人間関係を面倒に感じさせる「風習」も見直したいもの。一年の始まりに送る年賀状も、重荷に感じているのなら、いさぎよく「年賀状じまい」をしてしまうのがおすすめだ。年賀状をやめても相手との関係性が終わるわけではない。年賀状じまいで最後の一枚を送る際は、通常のあいさつの後に、体力的に大変になったことなど、年賀状じまいをする理由を加えれば、相手にも理解してもらいやすくなる。
「そして、文末は、末永いお付き合いをお願いする一文で結びましょう。”最初だと思えば謙虚になる。最後だと思えば丁寧になる”は私の座右の銘の一つ。人生最後の年賀状として出すなら、精一杯の心をこめて、凝りに凝った丁寧なものを書いて、有終の美を飾りたいものです」
お中元やお歳暮の代わりに、贈りたいものを贈りたいときに贈る
お世話になっている人に、お礼の気持ちを込めて贈るお中元やお歳暮も、負担に感じている人は多いのではないだろうか。しかし、感謝は季節のはがきや手紙などでも表すことができるため、品物を送ること自体はやめてもいいのではないかと名取さんはいう。
「その代わりに、自分が食べておいしいと思ったものや、いただいてうれしかったものがあれば、季節や風習に関係なく、心をそえて大切な人に贈る、あなた独自の風習、習慣を作ってはいかがでしょう」
法要も無理せずできる範囲で
法要も今や見直すことが増えている風習の1つだ。名取さんが住職をしているお寺では、参列者が数人から10人くらいの法要が大半を占め、通夜のない一日葬も珍しくないという。
「もともと、葬儀をはじめとする年回の法要などは、故人の命の重さをわかっている人が参加し、故人を偲ぶ場です。参加できなくても、それぞれが仏壇の前で手を合わせたり、お墓参りをしたりすれば、亡き人との縁が弱まることはなく、自分の生き方の中に個人(の思い出や影響力)が根付いて、それぞれの命を何倍にも膨らませることになります」
●65才のYouTuberが考える老いとの向き合い方「株や投資にも興味がある」「いま、気になるのはしまむらの株」
●《長生きの秘訣》「新しいものを取り入れる」「若い人に学ぶ」90歳を迎えた今もなお美容研究家として活躍する小林照子さんが説く、人生を楽しむ心がけ
●《人生は変えられる》「最初は小さな一歩でいい」90歳を迎えた今もなお美容研究家として活躍する小林照子さんが説く、豊かな人生を送るコツ