5人に1人が仕事を急遽休んだ経験有り 家族の介護は排せつ介助や入浴介助が負担に【介護に関する意識調査結果】
家族の介護は非常にセンシティブでプライバシーに関わることも多く、他の人に相談できず悩みや不安を抱えてしまう人もいる。知られざる介護者の実情を「介護に関する意識調査」から紐解いた。
要支援者・介護者を支える家族のリアルな声
1983年に介護事業を開始し、全国で550か所を超えるデイサービスを中核に、在宅介護サービス、介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームや訪問看護、ホスピスを展開しているツクイ。
今回はツクイの介護サービスを利用している家族を対象に介護に関する意識調査を実施。746人の回答から判明した介護の実態に迫った。
約8割の人が親の介護に関与。中には配偶者の介護も
まず最初に、介護をしている人に性別を聞いた。回答しないと答えた1.1%を除き、男性が29.9%、女性が69.0%と女性の方が多い結果に。
また、年齢は49才以下が8.7%、50才代が35.3%、60才代が37.1%、70才以上が18.5%で、50才代と60才代が全体の7割以上を占めている。
介護する側とされる側の関係は、親が69.6%、義理の親が7.2%、配偶者が16.6%、兄弟姉妹が1.6%、子どもが1.5%、その他が3.5%。親と義理の親を合わせると、親の介護をしている人が76.8%と8割近く、次いで配偶者の介護をしている人が多かった。
排せつ介助や入浴介助が介護の大きな負担に
介護が必要な人の要支援度・要介護度に関する問いには、要支援1(4.7%)、要支援2(7.4%)。要介護1(16.6%)、要介護2(25.5%)、要介護3(17.7%)、要介護4(14.1%)、要介護5(11.8%)で、日常生活全般に介護が必要な状態とされている要介護3以上の人は43.6%だった。
介護をしている人が行っているケアやサポートで最も多かったのはコミュニケーション(72.9%)。次いで食事準備(66.1%)、通院介助(62.7%)が続いた。
身体介護の負担度を項目別で質問したところ、排せつ介助は68%が負担に感じており、最も負担度が高い。デイサービスなどを利用している人も多いためか、入浴介助は全体の2割以下と少ないものの、負担度は46%と体力的にも精神的にもハードであることが分かる。
コミュニケーションで不便に感じていることを聞いたところ、物忘れが多く何度も説明しなければならない(39.4%)が最も多く、次いでこちらが話していることが聞こえにくい(31.2%)、こちらが話していることを理解できていない(30.6%)、携帯電話やスマートフォンなどの使い方を理解できていない(29.6%)という結果になった。
回答者の1日に介護に費やしている時間は、平均で平日約2.5時間、休日約2.8時間。介護で困ったことは、自分のやるべきことができなかった(39.7%)、プライベートの予定をキャンセルした(35.0%)、仕事を急きょ休んだ(19.3%)、仕事の予定をキャンセルした(15.4%)だった。
介護のために自分のやるべきことができなかったと感じている人は4割近くおり、約5人に1人は介護のために仕事を急きょ休んだ経験があることが読みとれる。
家族の介護は負担が大きく、介護をめぐって家族の関係が悪化してしまうケースもある。ましてや、仕事と介護の両立はハードルが高い。
肉体的・精神的・経済的な破綻を避けるためにも、デイサービスや老人ホームなどの介護サービスを上手く活用したり、ツクイが開発した、悩みやすいポイントをシミュレーションできる「ケアラータイプ診断」で、介護に対する自分の価値観を予め知っておくのもおすすめだ。
【データ】
「介護に関する意識調査」
概要 ・調査期間:2024年6月17日(月)~6月30日(日)
調査対象:株式会社ツクイの介護サービスをご利用いただいている方のご家族
調査方法:株式会社ツクイによるインターネット調査
有効数:746人
『ケアラータイプ診断』
https://www.tsukui.net/info/cluster_survey
※ツクイの発表したプレスリリース(2024年11月5日)を元に記事を作成
図・表/ツクイ提供 構成・文/松藤浩一
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