「大病院の検査日の温かいうどん」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第38話
漫画家のうえだのぶさんの母は、2019年に初めて慢性膵炎と診断された。それから、何度か入退院を繰り返し、現在は膵臓を労る「脂質を抑える食事」を中心とした対処療法で過ごし、年に2度、精密検査を受けている。今回は、そんな検査日のドタバタ劇。
母の検査日はいつも戦い
「大きな病院で検査」=「戦い」なのです。
母が「慢性膵炎」と診断されたのは2019年。それから何度も入院・手術を繰り返し、そのたびにいろんな検査を受けてきましたが、いまだに検査日は緊張の連続です。
うちの母が通っている病院の場合ですが、まずは診察券を通す「再来機」。これに早く並ばないと、その後の採血の順番がぐっと遅くなり、検査の予約時間に間に合わないことも。
その再待機に並ぶのは整理券の番号順で、早い番号を手にするには病院の入口が開く前に着かねばなりません。
なので、母の検査の日は――。
【1】朝7時に家を出て病院の駐車場に着き
【2】入口の前で整理券をGETして車の中で待機。
【3】7時30分になって病院の入口が開いたら待合室で待機。
【4】8時前に再来機の前に番号順に並び、8時になって診察券を通したら
【5】「走らないギリギリの速度」で2階の採血室に向かい、採血の受付を済ませます(母は後からついてくる)。
ここまでがスムーズにクリアできれば、後は予定通りの検査を受けるだけ。ミッション完了です。
ただし……。
無事再来機の整理券を手に入れても油断は禁物。数か月くらい間を開けて行くと、必ず何らかの「変化」に遭遇するのです。
例えばある時、無事に再来機の整理券をGETしてホッと待っていたら、目の前のお知らせモニターに「ご注意!採血室の場所が変わりました」の文字が。な~に~!? 聞いてないよ~!! 場所、場所はどこ!?
守衛さんに聞いて事なきを得ましたが、うっかり見過ごしていたらとんでもない時間のロスになるところでした。危ね~!
こんなこともありました。
2つの病棟をつないでいる通路が工事中で、病院のスタッフさんが地図を手に説明してくれたのですが…。
「まずA棟の2階にあがってもらってこの階段を右に曲がり、自動ドアを通ったら一旦1階に降りていただき、C棟に向かって歩いてもらうと途中で上に行く階段がありますので…」
思わず「リアル宝探しゲームですか?」とツッこんでしまいました(そしてガッツリ迷いました)。
ただでさえ検査って大変なのに、毎回こんなハプニングがあるので、最近では必ず「ここ1か月以内に検査を受けた知り合い」を探して、事前に情報収集をすることにしています。
実は今このエッセイを書いている時点で、母の検査は3日後。どうやらまた再来機と採血のシステムが変わったらしく、うまくクリアできるのか今からドキドキしています。
とはいえ、無事ミッションクリアしても一番大事なのは「検査の結果」なわけで……。
検査後の温かいうどん
昨年の春の手術以来、母は年に2回膵臓の検査を受けています。朝食を抜いていくので検査後はたいてい地元のうどん屋さんで軽く食べて帰ります。
朝からハッスル(古い)してヘトヘトになって、ドキドキしながら診察室に入り、
「今回の結果は問題なしです!良かったですね」と言われる時の嬉しさ。
「よかったねー」と言い合いながら食べるうどんのおいしいこと。
前回6月の検査では、膵管の中に小さな石が2つ見つかったのですが経過観察となりました。今回の検査でどんな結果が出るかわかりません。
「現状、問題ありません」とか「小さい石だったんで流れて出たみたいですよ!」みたいな結果になって、2人でおいしくうどんを食べられたらなと願っています。
***
この1年、母娘のドタバタ日常記をご愛読いただき誠にありがとうございました。
皆様からのコメントもいつも嬉しく読ませていただいています!
いつ何が起きるかわからない生活ですが、読者の皆さんの応援を励みに執筆しております。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
――次回は2025年1月1日公開予定です(のぶママの検査結果は朗報か悲報か…まさかの展開に!?)。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。58才。山口県で82才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja