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連載

新年は膵臓に優しい「ぶりしゃぶ鍋」でケセラセラ!NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第39話

 漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさん。慢性膵炎を抱える母は、年に2回の定期精密検査を受けたのだが、その意外な検査結果に、戸惑う母娘…。原因不明のできごとが重なったうえだ家の様子をお届けします!

母の慢性膵炎の新たな見解

 皆さま明けましておめでとうございます! 2025年の初日をこの連載で迎えられるなんて、こいつは春から縁起がいいやあ~。

 ――って感じで始めたかったのですが。残念ながら母、昨年末の検査の結果、膵管の石が大きくなっていて、再検査を受けることになってしまいました。今月中旬にCTを使って石の状態を詳しく調べ、それから今後の治療法を決めるそうです。しょぼ~ん。

 今まで母の「慢性膵炎」の対処法は、「脂質制限」でした。担当の医師によると、そもそも慢性膵炎の人は脂質の吸収が悪いので、無理な脂質制限をすると身体に必要な量が摂れなくて弱ってしまう(特に高齢者)とのこと。

 なので、最近では炎症がない時は「極端な脂質制限」をしないよう指導しているのだとか。

 それを聞いて目をキラーンとさせる母と、ぎょっとする私。

 え⁉ 今のところ母の膵臓は炎症ないけど、もしかして我が家の食事って「極端な脂質制限」になるの?

私「母はずっと脂質1食10g目安で、おやつも含めて1日40gくらいに制限したきたのですが…」

医師「それは素晴らしいですね、バッチリです!私としては、もう少し脂質を増やしてもいいと思うけど、それを言うと管理栄養士さんに怒られるんで(笑い)」

 ――そこへすかさず母が割り込んできて、

母「もう油の量は気にしなくていいんですか?(わくわく♪)」

医師「あ、違います!脂質の摂取量は少な過ぎるのが問題なので、摂り過ぎはこれまで通り注意ですよ」

 というわけで、母の「脂質1食10g生活」はこれからも続きますが、「少な過ぎ」にも気を付けていきます。

 読者の皆さんの中で「脂質は控えめに」を実践されているかたがいたら、必要な量*は摂るように心がけてくださいね。必要な量は個人で違うので身近な栄養士・管理栄養士さんにお声かけください。また、病院で栄養指導・食事制限を受けているかたは、必ずそちらの指示に従ってくださいませ。

*私は母の脂質量を「1日に必要なエネルギー量の20~30%」で算出しています。

膵臓も、水道までも…

 そして我が家では、さらに「泣きっ面に蜂」なアクシデントが発生! なんと「原因不明の水道の漏水」が見つかり、水道料金が通常の4倍(4万円超!)という非常事態が起きてしまいました(詳細は次回!)

 膵臓も水道も原因不明かい! って、シャレにならーん。

 自宅は築60年、温水給湯器も20年ものだし、もしこれが「買い替え」プラス「水道管総取り替え」になったらいくらかかるん? その前にこんな年末に業者さん見つかるん? 工事できるん?

 ガビーン・ドカーン・ヒエエエエ~!!!

 母とふたり、コタツに入って向き合い、

「水道どうなるんかねえ」「わからんねえ」「お金かかるよねえ」「かかるやろねえ」「治療どうなるんかねえ」「わからんねえ」「また入院かねえ」「どうなるんかねえ」「わからんねえ」

 しばし無言…。数分後、どちらからともなく、「もうさあ、なるようにしかならんよねえ~」(あははは~)。

 まさに「ケセラセラ(なるようになるさ)」。

 なんというか人間って、ショックが大きすぎると、本当に「あははは~」と笑うしかない状態になるんですね。

「なんとかなるさ~大丈夫」というより、「悩んでも仕方ないよね」という心境。「諦める」じゃなくて、「受け入れる」、いや「委ねる」って感じかな。

「陽気な開き直り」というか、「笑いながら悟りの境地」に着地しました。心のどこかに「もう落ち込みたくない!」っていう強い気持ちがあったんだと思います。

 母が膵臓の病を発症して6年目、ネガティブがデフォルトな私に初めて生まれた感情でした。

 そう思えるのは母が現状「元気」だからなんですけどね。

 そう、元気なんですよ。

 どこも痛くないし悪くない。いや、膵石は大きくなっているのですが、血液検査の方は全く問題がなく膵臓に炎症もないので、これまで通りに生活していいと言われたんです。ほんとに謎です、この病気。

母「悩んでも仕方ないからさあ、お正月は何かおいしいもの食べようよ」
私「だったら、ブリしゃぶ鍋でしょー。あ、水道工事の結果次第だけどね~」
母&私「なるようにしかならんよね~、あははは~」

 2025年はこんなケセラセラな幕開けとなりました。今年もドタバタしそうですが…皆さまよろしくお付き合いください。

NOオイルMemo「ブリしゃぶ鍋」でお正月!

 山口県ではポピュラーな冬のご馳走「ブリ」。関東の皆さんの「マグロ」のポジションでしょうか。わが家では子供の頃からお正月の刺身と言えば「ブリ」です。

 ブリは、イワシやサンマと同じくDHAやIPA※(n‐3系脂肪酸)が摂れる魚の代表格です(100g中、n‐3系脂肪酸は3.35g)。

 このブリのお刺身でしゃぶしゃぶ鍋をすると、とってもおいしいんですよ。

 ブリは魚の中でも脂質が多め(100g中、脂質は約13g)なので、我が家で食べるなら、お刺身は一人前80gくらい。薄く切って枚数を増やして満足感UP!

 お刺身に添えるのは「NOオイル」なキノコや野菜(山口では“ローマ”と呼ばれる春菊を添えることが多い)、タレは大根おろしとぽん酢しょうゆで「NOオイル」。そして、おせち料理も「NOオイル」な食材を選んで、「脂質1食約10g」でも、しっかりお正月を満喫しま~す。

参考資料:食品成分表2024(八訂)/女子栄養大学出版部。※IPA=イコサペンタエン酸。

――次回は2025年1月15日公開予定です。

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

 イラストレーター・漫画家。58才。山口県で82才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja

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