猫が母になつきません 第418話「おぼえる」
施設に入った親のペットを飼っている、という人がまわりに何人かいます。飼える環境にあって、かわいがっているのですからそれはそれでいいのですが、その人たち自身だって若くはないし飼い犬や飼い猫の寿命はのびています。ペットと一緒に入れる高齢者施設はまだまだ少ないのが現実です。
ずっとペットを飼っていたおうちで、ペットが天寿をまっとうして亡くなってしまったという場合も、また飼いたいと思っていても自分や親の年齢を考えると、新たなペットをお迎えするのは躊躇するという話もよく聞きます。ペットがいればお世話したり会話したりして心身によいのはあきらかだと思うのですが、先行きを考えると飼わないほうが…というのはなんだか矛盾している気がします。今現在のメリットがあきらかであっても、わからない先行きの心配のためにそれを犠牲にするなんて。最近は飼い主が最期を迎えたあと、あらかじめ交わしておいた契約に基づいて、企業やNPO法人が仲介してペットの引き取り手を探してくれるペット信託のサービスなどもあります。高齢者になっても安心してペットが飼えるシステムが確立することを心から願います。
もし私が今施設に入ることになって、さびと別れなくてはならないとしたら…とても耐えられません。さびと暮らして11年。さびは私を生かしてくれました。つらいときに何をしてくれるわけでもありませんが、いてくれるだけでよかったし、私がインフルエンザにかかって寝込んでいる時にはずっとそばにくっついて離れませんでした。ほんとうにダメそうな時はわかるのでしょうかね。そして飼い主のくだらない遊びにもたまにつきあってくれる。おやつありきですが。「ずっとペットと暮らしたいひと?!」「はーい!」(=^x^=)
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。