「厚生労働省の2025年度予算概算要求34.3兆円」 新たな総理・総裁は社会保障費増大に難しい舵取り迫られる
厚生労働省は、2025年度予算案の概算要求として、約34兆2700億円を求めることを決定した。8月28日に発表された同省の概算要求によると、今年度に比べて4500億円増えている。7月29日の臨時閣議で決定された「概算要求基準」では、2025年度の社会保障費は、自然増分として4100億円とされていた。この水準は、過去数年と比較すると自然増分が抑制されている点が注目される。
高齢者の増加ペースが鈍化
日本は超高齢化に伴い、医療や介護の費用が増加し続けている。そうした中、2025年度に見込まれる自然増分の4100億円は、2024年度の5200億円増、2023年度の6600億円と比べても少なくなっている。理由の一つは、高齢者人口の増加ペースが鈍化していることにある。
今回の予算案は、政府の人口推計に基づくと高齢化のスピードが緩やかになる中、従来の増加ペースを見直すことで、財政負担を軽減しようという狙いがある。
また、政府は物価高騰対策や賃上げ促進のための特別枠も新設し、全体の予算配分においてバランスを取る方針を打ち出している。社会保障費の削減をすることで少子化対策の財源を生み出すことも検討されており、これから年末の予算編成に向けてさらに社会保障費を圧縮できるかどうかが注目される。これらの調整によって国民生活への影響を最小限に抑えるとともに、経済の持続的成長を目指す政策転換を実現できるかがポイントとなる。
今後の展望と課題
社会保障費の増加は避けられない課題であり、今後も政府は財政健全化と国民の生活支援を両立させるために努力を続ける必要がある。特に、超高齢社会に突入した日本においては医療や介護の需要がますます高まる一方で、財源確保の難しさも増していく。9月27日には自民党総裁選が予定されており、新総理・総裁が打ち出す財政政策、社会保障政策にも注目が集まるだろう。日本のリーダーが誰になったとしても高齢者の増加と少子化は喫緊の課題であり、難しい舵取りが迫られそうだ。
構成・文/介護ポストセブン編集部