賃貸オーナーの約4割が「高齢者の入居お断り」と回答 調査で判明した高齢者の住居問題の実態
だが残念なことに、高齢者の入居を受け入れていない賃貸オーナーのうち、約半分の55%が高齢者の入居に関する対策やサービスを知らないと回答した。
反対に、高齢者の入居に積極的な賃貸オーナーのうち、約3割が定期訪問や駆けつけで安否確認を行う見守りサービス、身寄りがいない高齢者への身元保証人引受サービスなどを導入、実施していることが分かった。
また明るい話題として、高齢者の入居を受け入れていない賃貸オーナーのうち、4人に1人が不動産管理会社などからのサポートがあれば受け入れたいと回答。一方で、どちらとも言えないという回答が42.1%という結果になった。
R65代表取締役の山本遼さんは、今回の調査結果をこう分析する。
「今回の調査結果では高齢者の入居を拒否しているオーナーの過半数が、見守りサービスなどの対策を知らないという実態が明らかになりました。積極的に受け入れている方々に比べ、その差は約4倍。こんなにも違うのかと驚きました。
また、高齢者の入居を受け入れていない賃貸オーナーのうち、4割以上がどちらとも言えないと回答しています。彼らをいかに受け入れ側に転換できるかが重要なポイントです。高齢者を受け入れるメリットや課題の解決方法など具体的な成功事例をオーナーに示したり、受け入れる際の対策やサービスについて情報提供を続けることで、高齢者の住宅確保という喫緊の課題を解決できるように私たちも全力を尽くしていきます」
日本における高齢化問題は、ますます深刻になっていく。老後のすみ家が見つからず路頭に迷うことだけは避けたい。賃貸オーナーの不安を解消する対策やサービスが広まり、根づくことで、入居を希望する高齢者とのミスマッチが少しでも減ることを願うばかりだ。
【データ】
『R65不動産』
https://r65.info
令和5年版高齢社会白書(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2023/zenbun/05pdf_index.html
※R65の発表したプレスリリース(2024年4月9日)を元に記事を作成。
図表/R65提供 構成・文/松藤浩一