病気にならない究極の歩き方「歩幅は65cm、つま先を15度開く」正しいウオーキング7つのポイントを医師が解説
続ければ続けるほど、体力アップ・健康維持につながる「ウオーキング」。米カリフォルニア大学の調査では、1日の歩数が2000歩増えると糖尿病発症リスクが12%低下することがわかったという。しかし、間違った歩き方は体に大きな負担をかけ、慢性的な痛みや負傷につながる可能性があるため注意が必要だ。認知症やがんを予防し、血圧もコントロールする病気にならない究極の“正しい歩き方”を解説する。
教えてくれた人
今村大祐さん/プロフェッショナルウォーキング協会代表理事
辻大士さん/筑波大学体育系助教
大谷義夫さん/池袋大谷クリニック院長。『1日1万歩を続けなさい 医者が教える医学的に正しいウォーキング』著者
病気にならない究極の「歩き方」とは
心身ともに整えて、病気を退けるウオーキングだが、いくら歩いても体に悪い歩き方では逆効果。まずは、正しい歩き方をマスターすることから始めよう。
やってはいけないのは、内股・すり足で歩くことだとプロフェッショナルウォーキング協会代表理事で、多くのモデルにウオーキング法を指導している今村大祐さんは指摘する。
「特に日本人女性は内股歩きになっている人が多いですが、内股で歩幅が狭くなってすり足になると腹圧がかからなくなるので、猫背で反り腰になりやすい。前かがみの姿勢のまま歩くようになると、下半身の筋力不足につながります」
そうした「悪い歩き方」で体を壊さないために今村さんが紹介するのが、7つのメソッドだ。
「歩くときは一本線の上を歩くイメージを頭に浮かべ、まずは、【1】つま先を15度ほど外へ開きます。ただしガニ股になるといけないので、【2】内ももをしっかり締めること。
【3】おへそをへこませ、【4】胸を持ち上げます。腹圧がかかり、自然と猫背が解消されて背骨本来のS字カーブに近づきます。
このとき肩が上がってしまう人がいるので、【5】肩を落として肩甲骨を押し下げるのも忘れないでほしい。首がぐらつかないように、【6】首の位置も正常に戻す。
ここまでできれば姿勢は完成。最後に【7】口角を上げてリラックスしましょう」
かかとから着地、歩幅は65cmを目指そう
筑波大学体育系助教の辻大士さんは「かかとから着地して、つま先を蹴り上げることを心がけてほしい」とアドバイスする。
「1cmくらい身長を伸ばすようなイメージで歩くと、猫背になりにくい。腕は軽くひじを曲げ、前に振り上げるよりもしっかり後ろに引くようにしましょう。
歩く速度は無理をせず、息が少し弾むくらいがおすすめ。歩く時間帯はいつでもかまいませんが、不整脈や不眠の傾向がある人は、午後から夕方にかけての方がより安全かつ効果的だといわれています」(辻さん)
歩く際は少しでも歩幅を広くすることを覚えておくのも重要だ。
「年を重ねるとどうしても歩幅が狭くなり、すり足になってしまう。歩幅は65cmを目指してほしい。横断歩道の白線の幅は45cmなので、『白線の幅+半分』を目安にしてください。
歩幅が狭い人は、広い人より認知症になるリスクが高いというデータがあります」(『1日1万歩を続けなさい 医者が教える医学的に正しいウォーキング』の著者で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さん)
通勤や買い物に加えて散歩用のコースもあると良し!
正しい方法で懸命に歩いても、転んでけがをしたら元も子もない。靴は歩きやすいものがいちばんだ。
「ランニング専用シューズでなくてもかまいませんが、運動靴の方がいい。かかとが高すぎず、靴底に多少の厚みがあるものを選ぶといいでしょう」(辻さん)
とはいえ、こだわりすぎは禁物。
「服装や靴選びに時間をかけすぎると、思い立ったときに歩けなくなる。ウオーキングは毎日続けることが大事なので、まずはすき間時間に少しでも外に出ることから始めてほしい」(大谷さん)
通勤や買い物の際にこまめに歩くほか、散歩用のコースがあるといい。
「下肢の筋肉を鍛えるという点では、坂道や階段は効果的。ひざや腰の痛みがひどくならない範囲で、適度にコースに取り入れてください」(辻さん)
森林を歩くと自律神経のバランスも整う
緑が見える環境は、心身ともにいい効果があると大谷さんは言う。
「市街地よりも森林を歩いた方が血圧が下がり、自律神経のバランスも整います。毎日森の中を歩くことは難しいので、肺機能を守るという観点からもできるだけ交通量が少なく、空気がいい公園や遊歩道を選ぶといいでしょう」
自分に合った環境を歩きながら探してみるのもおすすめだ。ただし、ウオーキング初心者はやみくもにコースを変えることは逆効果になる。正しい姿勢に慣れるには、
「最初はこの道だけはきれいに歩く」ことから始めるといいと今村さんが言う。
「“公園近くのまっすぐな道”“駅までの気持ちがいい並木通り”など、毎日“ここだけは”と意識して歩く道を決めてください。習慣づけることでまずは数百歩がきれいに歩けるようになり、次第にそれ以外の道でもいい歩き方を意識できるようになる。3か月続ければ変化が表れます」
歩くことが楽しくなるツールを取り入れるのも手だ。
「興味がある人は、『ドラゴンクエストウォーク』や『ポケモン GO』など、位置情報ゲームアプリを使ってみるのもいい。歩いて『WAONポイント』が貯まるようなポイ活もおすすめです」(辻さん)
ペットを飼っている人は一緒に歩くのもモチベーションを上げる秘訣。大谷さん自身も犬と散歩することが楽しいと話す。
「毎日散歩に行こうという気持ちになるし、散歩中に犬を通した出会いもあって世界が広がりました。犬に見つめられると幸せホルモン『オキシトシン』の分泌量が増えるという研究もあります。愛犬と散歩すれば、幸福感でいっぱいになるかもしれません」
楽しんで歩きながら、健康になろう。
正しい歩き方「7つのメソッド」【まとめ】
【1】つま先を外に開く
【2】内ももを締める
【3】おへそをへこませる
【4】胸を持ち上げる
【5】肩を落とす
【6】首を立てる
【7】口角を上げる
写真/PIXTA
※女性セブン2024年5月23日号
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