男性のひげは、犬の体毛よりも汚い!スイス研究者が驚きの結果発表
スイスの研究者が驚きの結果を発表!
あなたは、夫と愛犬を比べたことがあるだろうか。「ある」と答えた人でも、夫と犬の「細菌の数」を比べたことがある人はいないだろう。
昨年、スイスにあるヒルスランデン・クリニックの研究者が“男性のひげは、犬の体毛より汚い”という衝撃の調査結果を発表し、今年4月に入りインターネットを中心に拡散。ひげを生やした男性たちの悲鳴が上がっている。
スイスでは、人間が使用するMRI装置をペットの治療にも活用することが許可されており、今回の研究は、「人間のあごひげに、犬の体毛の細菌が感染する恐れがないか」を確認するため行われたという。
18~76才の18人の男性のあごひげと、16種類30匹の犬の首の後ろの体毛を比較したところ、すべてのあごひげから多くの細菌が検出された一方で、あごひげと同じレベルの細菌が検出された犬は23匹にとどまった。つまり、男性全員のあごひげより数匹の犬の方が清潔だったというのだ。
米ハーバード大学マサチューセッツ総合病院客員研究員で皮膚科専門医の小川徹さんは、あごひげの残念な特性をこう解説する。
「人間の皮膚には常在菌がいて、あごなどは皮脂の分泌がさかんな脂漏部位のため、常在菌が多いのです。さらに、あごひげは位置とカールしやすい毛の性質から、食べ物や飲み物の残りかすが付着しやすい。あごひげに細菌が多く存在するのは、それらが原因です」(小川さん・以下同)
頬ずりで細菌が感染する?
同じ屋根の下に暮らす身としては、フェイスタオルを使い回したり、子供や孫に頰ずりすることで、「犬以上」の細菌が感染しないかと気になるが… 。
「接触感染がゼロだとは言い切れません。水虫などと同様、状況によって、うつることはあるかもしれない」
ひげがトレードマークの男性には申し訳ないが、やはり、今すぐそった方がいいのだろうか。
「食べかすが引っかかりやすいことなどが細菌の増える原因となりますから、あごひげをそった方が清潔ではあると思います。しかし、今回の研究ではサンプル数も少なく、また日本人の男性は欧米人のように、口ひげとあごひげがくっついている『ラウンド型』や『もみあげ一体型』は少ないので、一概にあごひげといっても、欧米と比べるのは難しい。何にせよ、1日1回、お風呂でシャンプーもしくは石鹸で洗って、汚れた時にも適宜洗うことが大切と考えられます。不潔にならないケアが第一です」
あごひげと細菌では、切っても切り離せない「尋常性毛瘡(じょうもうせいもうそう)」という感染症もある。これは、いわゆる「かみそり負け」のことで、ひげをそる時に生じた細かい傷に、黄色ブドウ球菌などが感染することで、かゆみや痛みを伴う炎症が起こる。
細菌がいるのは、もちろん男性だけではない。男女とも、皮膚には常在菌が存在しており、表皮を酸性に保ち、病原性の強い細菌の増殖を防ぐなど、大事な役割があるのだ。
「腸内細菌と同じように、私たちの健康を守ってくれている細菌もいるのです。顔の常在菌については、研究上まだはっきりわからないこともありますが、細菌が多いからといって、害がある細菌というわけではありません」
男性のひげを“毛嫌い”しなくてもよさそうだ。
教えてくれたのは
皮膚科専門医・小川徹さん/『ハーバード現役研究員の皮膚科医が書いた 見た目が10才若くなる本』(東洋経済新報社)の著者
※女性セブン2019年6月6日号
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