「認知症の人に伝わる言葉のかけ方」話題の新著に学ぶイライラしない介護の極意
認知症の人の行動をロジックでひもとき、困った行動をとってしまう理由を介護のプロとメンタルケアの専門家が解説した書籍『認知症の人に寄りそう・伝わる言葉かけ&接し方』が発売された。認知症の人も介護する人もお互いが気持ちよく関わるために必要な「言葉かけと接し方」のヒントが詰まっている。
認知症介護で大切なのは「伝わる言葉かけと接し方」
認知症介護で、介護する人が困るのが「コミュニケーション」が上手くいかなくなることだ。「前はしっかりした人だったのに…」「何回も言ってるのに!」と話が通じなくなることに悩みを抱える人も多い。
このたび発売された『認知症の人に寄りそう・伝わる言葉かけ&接し方』では、在宅介護をしている家族へ向けた認知症患者に対応するためのヒントとメンタルケアの方法が69の具体例でまとめてある。
本書は3名の専門家による共著となっており、認知症の人も介護する人もお互い気持ちよく関わっていくためには“認知症の世界”に寄りそった「言葉かけと接し方」が大切だと説く。
本書の著者の1人で社会福祉法人朝日敬慎会施設長の山川淳司さんは、
「認知症の人が見えている世界は、そうではない人と“何か”が違います。その違いには共通した特徴があり、あなたの身近にいる認知症の人とコミュニケーションをとるためには認知症の人が見ている世界を理解することが大切です」
と認知症の人がとる行動の理由さえわかれば、言葉のかけ方や接し方も相手に伝わるものに変わっていくという。
本書では認知症の人の行動をロジックでひもとき、困った行動をとってしまう理由も解説している。「同じものを頻繁に買ってしまう」「服が汚れているのに着替えてくれない」「大事なものが無くなったと騒ぐ」「昔の話を何回もする」など、どんな場面でも相手の置かれた状況さえ理解すれば怖いものはない。
他人やサービスに頼ってもいい。自分自身が弱ってしまわないことが重要
また、本書では見過ごされがちな介護する側の心をケアの方法も紹介をしている。認知症の人と接する中で「きつく言ってしまった」「やさしくできない自分はひどい人なのかな」と自分を責めてしまう時もあるだろう。介護に疲れて自分自身が弱ってしまわないためにも、メンタルを保つコツを知り、思い詰めすぎず前向きな気持ちでいることも重要だ。
著者の1人でもあるメンタルトレーナーの加藤史子さんは
「“認知症の世界”に寄りそうことは大切ですが、介護する人の負担が増えて精神的にも体力的にもすり減ってしまっては意味がありません。時には他人やサービスに頼ってもOK。自分の心をラクにする方法を知ることで、認知症介護がもっと気軽になるはずです」
医療法人社団愛友会介護老人保健施設ケアセンター習志野の介護係長で著者の椎名淳一さんは
「“認知症の世界”を理解することで今より少しだけ上手にコミュニケーションがとれればお互い気持ちよく過ごせるでしょう」
巻末には認知症に関するおすすめ情報も収録。認知症介護に悩んだ経験を生かし、豊富な具体例がわかりやすくまとめまった本書を読めば、「介護する人」と「介護される人」のすれ違いを防ぎ、心も体もきっとラクになるだろう。
【データ】
書籍:『認知症の人に寄りそう・伝わる言葉かけ&接し方』
著者:山川淳司・椎名淳一・加藤史子
定価:1650円
https://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b638759.html
※日本文芸社の発表したプレスリリース(2024年2月26日)を元に記事を作成。
図表/日本文芸社提供 構成・文/松藤浩一
●コミュニケーションを重視し個別ケアに取り組む介護付有料老人ホーム<前編>