老舗和菓子情報誌が紹介する魅惑の“全国銘菓展”今年のテーマは「お菓子の水族館」あんこで復興支援も
3代もしくは創業60年以上の歴史をもち志の高い経営理念を保持し、それぞれの地域で認められている、全国82店の菓子店を取り扱った広報誌『あじわい』。伝統を重んじつつも、ポップなデザインでお得な情報が詰まっていて和菓子好きにはたまらない一冊だ。その成り立ちから掲載情報まで徹底特集しました。
教えてくれた人
■『あじわい』編集長・水原康晴さん/たまご菓子「おとし文」が代表銘菓の「清月堂本店」(東京都中央区銀座7-16-5)の4代目社長。
創刊のきっかけは、日本橋三越で毎年開かれる「全国銘菓展」
1950年に全国各地の菓子店が組合を作り、「全国銘菓展」というイベントを開催(今日まで三越の毎春恒例の催事に)。その後、組合の広報誌として『あじわい』が誕生した。
『あじわい』とは、全国銘菓(全国銘産菓子工業協同組合)に加盟する82店の情報を中心に構成している季刊誌。加盟店の店舗で無料配布しているほか、ホームページでは記事の一部やバックナンバーを閲覧できる。全国銘菓のはじまりは、統制経済下にあった時代までさかのぼる。編集長を務める、東京・銀座「清月堂本店」の店主・水原康晴さんに話を聞いた。
「1950年、砂糖や小豆などの入手が難しい中、全国各地の菓子店が集まり組合をつくることで政府と交渉し、材料を得ることができました。各店が配給された材料を使って菓子を作り、東京・日本橋の三越百貨店で『全国銘菓復興展示即売会』を開催しました。これが反響を呼び、『全国銘菓展』として現在まで続くイベントとなりました」
全国銘菓の加盟店は全国に点在しているため、情報共有のための機関紙を発行。1968年、広報誌に生まれ変わった『あじわい』が創刊された。
「和菓子のおいしさや楽しさ、日本の文化の豊かさを四季折々にお伝えして50年以上に。3月に発行する最新号は222冊目となりました」(水原さん)
時節に合った和菓子を特集
2024年1月発行の221号には、「新年の祝い菓子15選」という特集や、バレンタインデーにちなんだチョコレート菓子の特集が掲載。
【年表】
●1950年…「全国銘産菓子工業協同組合」設立(8月10日) 日本橋三越で「全国銘菓復興展示即売会」(「全国銘菓展」の前身)を開催(11月10~19日)
●1952年…砂糖、雑穀類の全面的統制解除
●1964年…組合機関紙『全国銘菓』創刊
●1968年…広報誌『あじわい』創刊
●1979年…中小企業組合法30周年、団体法20周年記念式典で農林大臣賞受賞
●1996年…第50回記念 「全国銘菓展」開催。常陸宮華子妃殿下ご来臨
●2018年…『あじわい』創刊50周年、通巻200号発刊
ここでしか食べられない「お菓子の水族館」開催中