100才の現役ビューティーアドバイザー「メークがもたらす美と健康の秘訣」を専門家が解説
手化粧品メーカー・ポーラの桜水ショップ(福島県福島市)に所属する「100才のポーラレディ(※)」堀野智子さん。2023年8月、「最高齢の女性BA(ビューティーアドバイザー)」としてギネス世界記録に認定され、授賞式では「生きている限り、仕事を続けたい」と語った堀野さん。その背中について行くと、人生100年時代を美しく、そして健康に過ごす秘訣が見えてきた。
(※)現ビューティーディレクター
教えてくれた人
BA(ビューティーアドバイザー) 堀野智子さん
メイクセラピスト 荻野愛子さん
100才で現役BA「美と元気の秘訣」
堀野智子さん(100才)は化粧品メーカー・ポーラの勤続年数は60年以上。現在は週に一度、自宅から7km離れた桜水ショップまで、バスとタクシーを乗り継いで通っている。
休日も必ず6時半起床とフルメーク、23時15分就寝を守っている堀野さんは、ひとり暮らしのいまも毎日必ず台所に立ち、1日3食、自分で用意した食事を食べる。入浴時の軽い体操と、スクワットも欠かさない。スキンケアは8つのアイテムを使って毎晩入念に。趣味の編みものは、周囲の人から“発注”がくるほどの腕前にまで極めている。
100才にして健康診断では一切の異常がなく、脳のCT検査ではなんと「70代」という結果が出たほど。10kg近いウオーターサーバーのタンクの交換まで軽々行えるほどの筋力も保っている。そんな堀野さんが大切にしているのは「好きな仕事に夢中で取り組み、楽しく過ごすこと」だという。
若々しさの秘訣は「BAの仕事」そのもの
堀野さんの若々しさの秘訣の最たるものは「BAの仕事そのもの」かもしれない。人に見られることでほどよい緊張感があるだけでなく、自分自身にも顧客にもメークを施すことで、脳内の神経伝達物質にもいい影響を与えるといわれているのだ。
メイクセラピストの荻野愛子さんが解説する。
「メークをするために肌に触れることで、メークをされる側もする側も、また自分自身で行う際も、幸せホルモンと呼ばれる『セロトニン』が分泌されることがわかっています。
さらに、メークをするときの手の動きは『化粧筋』と呼ばれるほど複雑な動きで、食事をするときの2~3倍の筋力が使われているのです。これらのことから、週3回以上お化粧をする人は幸福度も、握力も高いという調査結果があります」(荻野さん・以下同)
自分を「ケアすること」で心と体を健康に
だが、年齢を重ねるほど、「もう誰に見せるものでもないから」というあきらめや、視力や筋力が衰えてアイメークなどで細かく手を動かすことが難しくなることによって、メークどころか、鏡を見ることからも遠ざかってしまう人は少なくない。
すると次第に自分自身への関心が薄れてゆき、自信を失い、だんだんと外に出ることもおっくうに感じるようになる。
「ですが、そのままでは負の連鎖になってしまう。そこで“口紅だけでも塗ってみよう”など、再びできることから1つずつメークをするようになると、自分への関心を取り戻し、筋肉もつく。
するとうまくメークができるようになり、“きれいになった自分を見てほしい”という気持ちが生まれ、社会的なつながりも増えていきます。事実、介護の現場でもメークは活用されており、そうして元気になったかたがたくさんいらっしゃいます」
荻野さんは、まずは自分の顔に触れることから始めてみてほしいと話す。必要があれば家族の手を借りたり、いつもより少しだけ丁寧に化粧水をつけてみるだけでもいい。自分を「ケア」することは、美しさだけでなく、心と体の健康にも、役立ってくれるに違いないのだ。
撮影/浅野剛
※女性セブン2023年12月14日号
https://josei7.com/
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