廊下の手すり設置や家具の移動でケガをした…【在宅介護で家のリフォーム】やらない方がいいこと、やっておきたいこと
「真っ先に取り組むべきはトイレ、洗面所、お風呂のスペースを広めにすることです。トイレは1畳、洗面所は2畳、風呂も2畳ほど確保しておけば、将来介助が必要になったときに便利で、車椅子でも使うことができます」(溝口さん・以下同)
水回りに次いでポイントになるのは寝室。
「元気なうちは2階に寝室があってもいいです。しかし、介護が必要になったときにどうするかは、事前にプランニングしておきましょう。
例えば、1階の居間の横にある和室をフローリングにしてベッドを置いて寝室にする。また、寝室からできるだけ動線の短いところに水回りを配置するなど、寝室を中心に考えるといいです」
床の段差があるとつまずくリスクがあるため、将来に備えてバリアフリーにするのもおすすめだ。
「扉も可能なら引き戸にしておきましょう。蝶番のついている扉は車椅子になると使いにくいし、扉を開けたときに転倒する危険性があります」
手すりなど「自分で」取り付けてはいけない
こうしたリフォーム時は「居宅介護住宅改修費」などの公的な制度をしっかり活用したい。
「リフォームをする際には、事前に介護保険が適用されるかどうか必ずケアマネジャーに確認すること。勝手に行えば介護保険が適用されません。
また、手すりなどをホームセンターで買ってきて自分で取り付けようとする人もいますが、素人がやるのは危険です。大人がしがみついても大丈夫な強度にするには、慣れた人でなければ難しい」(太田さん)
在宅介護を助ける「介護保険サービス」
■居宅介護支援
ケアマネジャーに相談した内容のもと、ケアプランが作成され、それに沿って適切な介護サービスの提供者や事業者が調整される。
■訪問介護(ホームヘルプ)
ヘルパーが自宅を訪問して食事、入浴、排泄などの身体介護や掃除、洗濯、調理などの生活支援を行う。
■訪問入浴
看護師を含めたスタッフが自宅を訪問し、事業者が持参した浴槽で入浴介助をする。
■訪問看護
看護師などが自宅を訪問し、病気や障害に応じた医療行為や療養生活のアドバイスをする。
■訪問リハビリ
医師が必要と認めた場合、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職が訪問してリハビリを行う。
■定期巡回・随時対応型訪問介護看護
24時間365日、定期的な巡回など必要なケアを必要なタイミングで受けられる。介護と看護が一体となったサービスも。
■通所介護(デイサービス)
利用者が日帰りで介護の専門施設に通い、食事や入浴などの日常生活の支援、機能訓練などのサービスを受ける。
■通所リハビリ(デイケア)
医師が常駐した介護施設や病院、診療所などに通い、日帰りでリハビリを受ける。
■短期入所生活介護(ショートステイ)
週に1泊など短期の宿泊。入浴や食事の介助を受けられる。本人はもちろん、自宅で介護する家族の休息にも必要。
■小規模多機能型 居宅介護
施設への通いを中心に宿泊や訪問を組み合わせたサービス。地域住民と交流しながら、生活支援、機能訓練が受けられる。
■訪問歯科
歯科医が自宅を訪れ、口腔ケアや虫歯の治療、入れ歯の調整などを行う。
■訪問薬剤師
薬剤師が患者に合わせた用量・用法の薬を持って自宅を訪問し、お薬カレンダーに服用すべき薬をセットしてくれる。
■福祉用具貸与・販売
介護ベッドや歩行補助杖などの介護用品のレンタル・購入費用の助成が受けられる。
■居宅介護住宅改修費
介護保険制度により1人20万円を上限に、介護のリフォーム費用が助成される。ケアマネジャーと相談の上でのみ利用可能。
※女性セブン2023年10月26日号
https://josei7.com/
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