「乳がんは40代後半、70代前半がピーク」他人事ではない!知っておくべき治療法の最新事情を専門家が解説
女性が罹患するがんの第1位、それが乳がんだ―9人に1人の女性が生涯で乳がんにかかるとされ、罹患者は30代から増加。40代後半と70代前半がピークとなる(※国立がん研究センター「がん情報サービス」)。いまや他人事ではない乳がんについて基礎知識や、治療内容などを専門医に伺ったのでご紹介する。
教えてくれた人
坂東裕子さん / 日本乳癌学会専門医
日本外科学会専門医。筑波大学医学医療系 乳腺内分泌外科学分野 准教授・病院教授。都立駒込病院外科医員を勤めた後、2005年筑波大学医学医療系講師を経て、2012年より現職。
30代の若い世代も増えている乳がん
そもそも乳がんとはどんな病気なのか。
「乳がんは主に乳腺の組織や乳房の組織にできるがんです。進行すると、周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液を通して転移します。転移しやすいのは乳房の近くのリンパ節、骨、肝臓、肺、脳などです」(坂東さん・以下同)
乳がん治療は年々進化しており、適切な治療を受ければ、ほかのがんより治癒率は高く、死亡率もがんの中では5位と、それほど高くはないという。問題は罹患者の増加。不規則な生活習慣やライフスタイルの欧米化などによるホルモンバランスの乱れで、30代といった若い世代から、年齢に関係なく患者数が増えているという。
「がん細胞が乳管内や小葉内にとどまっている非浸潤がん(0期)や、がんの大きさが2cm以下でリンパ節に転移していないがん(Ⅰ期)であれば、10年生存率は高いので、早期発見こそ乳がん治療の要となります」
半数は自己発見。40才を過ぎたら定期検診は必須!
乳癌学会のデータによると、ステージ0期やⅠ期で発見される割合は約55%。それも半数は自己発見で、検診での発見は3割強だという。
「乳がんの主な症状は乳房のしこりや乳頭、乳輪のただれ、乳頭から分泌物が出るなどです。そのため、比較的自分で気づきやすいのですが、そういった症状が出ずに進行する場合も多いので、やはり40才を過ぎたら定期検診を欠かさないことは大切です」
現在、検診率は約50%。定期的に検診を受ける人とまったく受けない人に二極化しているという。早期なら治るといっても、見つけられずにステージⅢ期Ⅳ期と進行すれば、長期生存率は確実に下がる。