「99才のパッチワーク作家」「94才の佃煮屋の看板娘」【90代の金言】パワフルな女性に学ぶ人生を楽しく生きる極意
「九十歳。何てめでたい」のである。日々生き生きと暮らしている90代の女性たちがいま、SNS等で注目を集めている。共通するのは、私たちが望む「生きがい、やりがい、張り合い」を持っていること。パッチワーク作家の佐藤みい子さん(99才)と佃煮屋の看板娘の草間千恵子さん(94才)の素敵なおふたりに楽しく生きる極意を聞きました。
パッチワーク作家 佐藤みい子さん(99才)
「『99才で展示会なんてできるかな』と心配したけれど、“継続は宝”だと思ったわねえ」
大正13年5月5日宮城県生まれ
好きなもの:パッチワーク、麻雀、料理
今年の5月、佐藤みい子さんの99才記念のパッチワーク展示会が仙台市内で行われた。88才のときに第1回が開かれて以来、4年ごとに回を重ね、今年で4回目となる。
「6日間の会期中、5000人以上の人が来てくれたのはびっくり。99才で展示会なんてできるかしらと心配したけれど、継続は宝だと思ったわねえ」と、みい子さんは振り返る。
作品の多くは170×150cm前後の大作で、昨年だけで4点もの新作を作り上げた。
「配色も図柄の組み合わせも、頭の中で自由に思い描いてつなぎ合わせているの。でも、手が悪くなって、縫い目があちこち踊るようになってしまったわ」(みい子さん・以下同)
パッチワークを始めたのは58才の頃。夫の死後、家を片付けていたときにたくさんの端切れを見つけ、それらをつなげて玄関マットや小物などを作り始めたのだった。
「そのうち、民生委員の活動で仲よくなったかたがたが『みい子さん、これ使って』と布地をくださるようになりました。私の作品はみんな、お友達からもらった布で作られているんですよ。だから、出来上がった作品を見せると『このパーツは私の着物だわ』って喜んでくれるんですよ」
パッチワークを作るのは、根気が必要な作業だが、続ける秘訣は?
「100才間近になり、自分がどのくらいできるのか知りたくてやっています。『自分への挑戦』だね。毎朝5時に目覚まし時計が鳴ると『みい子さん、がんばって起きれ!』と、自分で自分に気合をかけているのよ(笑い)」
認知症予防のため、90才で麻雀も始めた。
「習い始めで役満をとり、新聞に載ったの。パッチワークと麻雀は死ぬまで続けたいね」
友人の多さも、みい子さんの元気を支えているようだ。たとえば40才で料理教室、69才でハーモニカ教室、75才でパッチワーク教室を開き、その間に民生委員も務めるなど、その活躍ぶりは目覚ましい。
●誰かの役に立つことが俄然(がぜん)うれしくなる
「でもね、私がやりたいからではなく、友達が『面白そう』『じゃあやってみる?』と始まったものばかり。教室というより、ごちそうを食べながらみんなで楽しむ会。そうやって友達が増えていきました。教室はもうやっていないけれど、いまも毎日誰かが家に来るから、冷蔵庫には何かしら用意しているの。みんなで食べるとおいしいのよ」
99年の人生は長いのか、それともあっという間なのか。
「どうだろうねえ。長いような短いような。周りの人は『普通の99才よりずっと元気だよ』と言ってくれるけれど、いまは何事もゆっくりで、1日の計画の5分の1も進めばいい方。“情けないな”と焦りを感じることもあるし、もうすぐ100才だもの、仕方がないと思うことも…。でも、もっと挑戦できるとも思っています。そう思えるのは、ただ生きているのではなく、自分の楽しみを持っているから。この前もデイサービスの人から『カラオケ大会でハーモニカを吹いて』と頼まれたの。もう何十年も吹いてないのにと躊躇(ちゅうちょ)もしましたが、誰かの役に立つと思うと俄然うれしくなり、やりがいを感じました」
針目の一つひとつに思いが刻まれたみい子さんのパッチワーク。これからもまだ、新しい作品を見ていきたいものだ。