SDGs時代「フードロス」のリアル 野菜の廃棄問題に挑む農家の取り組みをレポート
最近よく聞くようになったフードロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまっている食品のこと。賞味期限が切れた食品や、家庭や飲食店での食べ残し、形が崩れた規格外の野菜などその種類はさまざまあるが、その大半は本来ならおいしく食べられたはずのもの。SDGs時代に考える「フードロス」のリアルと「食料危機」の実態をご紹介する。
世界で年間13億tのフードロスが発生
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では年間に食料生産量の3分の1に当たる約13億tの食料が廃棄されている。2021年にはWWF(世界自然保護基金)と英国の大手小売企業が約25億tに増加していると発表。そのうち日本のフードロスは522万tで、これは飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2021 年は年間約440万t)の1.2倍に相当する。
日本の食品ロス量の推移
大量に捨てられる「規格外野菜」って何?
食料危機を避けるために私たちにできることとして、フードロスの削減とともに「国産食品の消費」がカギになる。国内の農家、畜産業、酪農、漁業が元気になることで持続可能な食が可能となる。そこで見逃せないのが、規格外野菜。
野菜の流通においては生産地によって大きさや色、形などが規格として定められ、そこからズレてしまったものは「規格外」としてほとんどが出荷されることなく廃棄されているのが現状だ。その量はなんと生産量の30~40%にのぼる。
農場「シェアガーデン」廃棄を減らす取り組みも
2016年の設立当初から農薬や化学肥料を使わない野菜作りを続けるのは千葉県八街市の農場「シェアガーデン」だ。
「農薬は、人体への影響だけでなく環境への被害も懸念されています。無農薬で育った野菜にはどうしても変形したものや曲がったものが出てしまうのですが、そういったものも受け入れてくれる出荷先を開拓しています。出荷が難しいものは自宅で料理に使う、農場で堆肥にするなどして廃棄量を極力減らしています」(齋藤さん・以下同)。
上の写真は、規格をクリアしたにんにく(右)と、皮がはがれてしまったために規格外となってしまったにんにく(左)。中身はまったく同じだ。
「規格外のものは1片ずつバラして、皮がはがれていないものを詰め合わせて販売しています」。
ケールも無農薬なので、ネットをしていても虫に食われてしまうことも。
「出荷できないものは畑の堆肥にすることが多いです。食べられるものは自宅で食べます。鍋にするとおいしいですよ! キムチがおすすめです」。