SDGs時代「フードロス」のリアル 野菜の廃棄問題に挑む農家の取り組みをレポート
「規格外野菜を扱うようになったのは、台風被害にあった梨800kgを農家さんから引き取ったのがきっかけでした。食べられるのに廃棄されていく果物を目の当たりにして、このままではいけないな、と」。
こう話すのは農家支援プロジェクト「チバベジ」代表の鳥海孝範さん。野菜が捨てられない仕組みを目指し取り組んでいる。
「まっすぐなものも曲がっているものも味は一緒で、農家さんがかけた労力も同じですよね。規格外だからといって安く売ると、今度は規格内のものが売れなくなる。形やサイズなどの見た目じゃなくて、味や鮮度で価格が決められるようになって、野菜が捨てられずに食べてもらえる流通の形を作っていくべきです」(鳥海さん・以下同)。
個性豊かな野菜が大集合!
チバベジでは10~20種類の野菜を、規格内外にかかわらず農家の希望価格で販売。
「規格に合わない野菜は、自然界による個性豊かな産物という考え方から『アートな野菜』と呼んでいます」。
災害で出荷できなくなった野菜を販売
2019年の台風15号により倒壊した農家のビニールハウス。台風被害によって出荷できなくなったトマト、ピーマンはチバベジで販売したことも。
日本の「食料自給率」は超低水準
1965年時点では73%あった日本の食料自給率は、いまではわずか38%(2021年)にまで減少。右のグラフを見ても、諸外国と比べて著しく低いことがわかる。ウクライナ戦争や異常気象に起因して、物流の停滞や食料価格高騰で輸入食品の流通がストップすれば、食料危機は現実のものとなる。
■日本と諸外国の食料自給率
カナダ…266%
オーストラリア…200%
アメリカ…132%
フランス…125%
スペイン…100%
ドイツ…86%
オランダ…65%
スウェーデン…63%
イタリア…60%
イギリス…65%
スイス…51%
韓国…35%
日本…38%
家庭の「食べ残し」はもっと減らせる
日本の年間フードロス量のうち、47%(247万t)が家庭から発生したもの。これは「家庭系食品ロス」といわれ、買ったのに未開封のまま捨ててしまう「直接廃棄」、作りすぎたものを捨ててしまう「食べ残し」、野菜の皮を厚くむきすぎるなどの「過剰除去」に分けられる。
近年、恵方巻きなどコンビニやスーパーで売られる季節食品のロスが問題視されているが、まずは家庭の食べ残しを減らすことでフードロスは激減する。
撮影/玉井幹郎
※女性セブン2023年7月13日号
https://josei7.com/
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