腰痛では温湿布、冷湿布どう使い分ける?など【坐骨神経痛】Q&A
冬にその症状がでやすいという「坐骨神経痛」。
「坐骨神経痛とは、腰だけでなくお尻や下肢に痛みやシビレ、感覚麻痺などがあらわれる症状の総称であり、病名ではありません。ですが、日常的に痛みやシビレを感じるのであれば、なんらかの病気が隠れているのは確かです」
と言う医師の田村睦弘さんに、おすすめの医療器具や治療法などQ&A方式で教えてもらった。坐骨神経痛をより深く知り、一刻も早くこの不快な痛みとお別れしよう!
Q.1:坐骨神経痛は精神的な問題も原因になる?
A.:不安やうつ、仕事や対人関係のストレスなども、体が痛みを人一倍感じやすくなるという意味では、坐骨神経痛に深くかかわっているといえるでしょう。環境を変えたり、趣味などでストレス解消することも痛みには有効であると考えられます。
Q.2:坐骨神経痛は何科にかかればいい?
A.:脊椎の病気を診察する整形外科、もしくは背骨の病気を専門で診察する脊椎外来にかかりましょう。坐骨神経痛の特徴的な症状があっても、その原因が内臓などの病気にある場合もありますが、まずは整形外科へ。検査を行い、どこに原因があるか調べられます。
Q.3:筋トレ以外におすすめの運動は?
A.:プールでの歩行がおすすめです。浮力があるためひざや腰に負担がかからずに歩行できるうえに、水の抵抗力により筋力をつけやすく体幹を鍛えられます。お腹を意識しながら足を上げるように歩くと、より運動強度が上がります。
Q4:肥満と坐骨神経痛は関係ある?
A.:腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)や腰椎椎間板(ついかんばん)ヘルニアの原因が肥満だと結論づける研究報告は、現在ありません。ですが、太ることでお腹に脂肪がつくと、常に姿勢がそり気味になってしまいます。腰に負担のかからない姿勢を保つことが難しくなりますので、肥満は解消した方がよいでしょう。
Q.5:坐骨神経痛の人が選ぶべきは、どんな靴?
A.:安定して歩ける靴を選びましょう。ローヒールのひも靴は、足の甲をしっかり支えられるため正しい姿勢で安定して歩くことができます。スニーカーの場合は、靴底を曲げて足指の付け根あたりで曲がるものを選びましょう。
Q.6:市販のコルセットを使ってもいい?
A.:市販のコルセットは医療用と比べてやわらかいため、背骨の弱点を補強する効果は期待できません。ですが、使用するとお腹に意識が向き腹圧が高まり、また腰の動きを意識できます。そのため、腰に悪い急な動きをおさえられるなど利点があります。ただし、コルセットを使用すると自身の筋力が衰えます。自己判断で長期間着用しないように気をつけてください。
Q.7:冷湿布と温湿布はどう使い分ける?
A.:患部がはれて熱をもっているときは、炎症を冷やして鎮めることが必要なので冷湿布。疲労や血行不良が原因の慢性的な痛みの場合は、温湿布で患部を温めて血行をよくして痛みを和らげるのが基本です。ただし、明らかに炎症がある場合をのぞいて、自分で気持ちいいと感じる方を使用してかまいません。
Q.8:坐骨神経痛は手術をすれば完治しますか?
A.:坐骨神経痛の主な原因である腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアのために長い間圧迫されていた神経は、かなりダメージを受けています。手術により強い痛みはなくなりますが、シビレが残ることもあります。手術後も運動療法や薬物療法が必要な場合もあります。
手術は早めにすればいいものではなく、あくまでも最後の手段であり、セルフケアなどで症状を和らげながら悪化を防ぎ、できるだけ手術を避けるようにするのが治療の基本です。
教えてくれた人
田村睦弘さん/医療法人平和会平和病院副院長、脊椎外科・横浜脊椎脊髄病センター長。医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。主な著書は『徹底対策シリーズ 坐骨神経痛を自分で治す4週間プログラム』、『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(共に主婦の友社)、『女性のつらい坐骨神経痛はこうして改善する!』(PHP研究所)。
イラスト/成瀬瞳
※女性セブン2018年12月13日号
●その痛み、シビレは「坐骨神経痛」かも?セルフチェックする方法