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健康

肩のこり、めまい、腰痛、むくみ…「天気が悪いと調子が悪い」理由と5つの対策法

 雨が降ると古傷が痛む、台風が近づくと頭痛が起こる、晴れてもだるい…こうした不調、実は“天気のせい”かもしれません。こうした変調を感じない人も自覚のある人も試してほしい、「いますぐやるべき対策法」をお伝えします。

患者数が年々増えている「気象病」

「天気の影響を受けて体調を崩す『気象病』のうち、最も多い症状は頭痛。それ以外にも首や肩のこり、めまい、腰痛、耳鳴りといった直接痛みが現れるものから、むくみやだるさといった不調、さらには、気分の落ち込みやうつ症状などのメンタルに関与するものまで、その症状は多岐に及びます」

 そう話すのは、『1万人を治療した天気痛ドクターが教える「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本』(アスコム)著者で、医師の佐藤純さんだ。

 佐藤さんはそれら気象病の症状の中でも痛みを伴うものを「天気痛」と名付け、30年以上にわたり研究。日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設した。

「患者数は年々増えています。ただでさえ、日本は3日に1度は雨が降るような“気象病大国(※1)”。昨今の異常気象もあいまって天気の影響は避けて通れない状況にあります。それに、コロナ禍の運動不足やストレスなども気象病の要因となっているのではないかと感じています。実際、私の患者さんの約5人に1人は10代で、最少年齢は5才のお子さんと、若い世代にも気象病で悩む人は少なくありません。気象病の推定患者数は1000万人といわれています(※2)が、もっと多いと推測されます」(佐藤さん・以下同)

(※1)『統計で見る都道府県のすがた2023』(総務省統計局)より。1mm以上の年間降水日数、全国平均で年間114日。降水日1位は秋田県175日、47位は山梨県86日。

(※2) 2015年に愛知県尾張旭市で行った20才以上の住民アンケート調査より。回答があった2628人を、日本の人口に当てはめて換算。

 それを裏付けるかのように『クローズアップ現代』(NHK)をはじめとするニュース番組では気象病がたびたび取り上げられ、SNSでも連日「#気象病」「#気圧のせい」という文字が躍るようになった。

「気象病」の原因は3つのタイプが

 いまや“国民病”ともいえる気象病だが、果たしてその正体を知っている人はどれほどいるだろうか。

「一口に気象病といっても、その原因を辿っていくと『気圧』『気温』『湿度』の3タイプに分かれます。しかし天気と不調が関係あると感じながらも、どんな天気のときにどこが不調になるのかを把握していない人や、間違えた対処法を実践している人も多く見受けられます」

 まず「気圧」に弱いタイプは、内耳が敏感なことが直接的な原因になっている。

「もともと私たちの体は、気圧の低下や上昇が起こった場合、気圧の変化を内耳センサーがキャッチして脳に信号を送り、その状況に体を対応させようと自律神経が働いています。ですがその際、内耳が敏感な人はわずかな気圧の変化でもキャッチして自律神経が過剰に反応してしまう。それで自律神経のバランスを崩し、さまざまな不調につながると考えられています(下図)。気象病の大半はこのタイプで、約8割が気圧起因とするデータ(※3)もあるほどです」

(※3)『天気痛調査2020』(ロート製薬×ウェザーニューズ)より。

■気圧の変化で体調が悪くなるメカニズム

気圧の変化で体調が悪くなるメカニズムのイラスト

【1】気圧の変化

【2】内耳が反応

【3】自律神経が過剰に反応

【4】さまざまな不調に

 一日の間に“波”があるのは、海の潮汐(ちょうせき)と同じように月や太陽の引力の影響でも大気の潮汐現象「大気潮汐」が起こるため。それよりも小さな「微気圧変動」を感じ取りやすい人は、低気圧の接近や積乱雲の発生などを感知しやすいという。

「『気温』や『湿度』が原因の場合は、自律神経が大きく関係しています。というのも、気温や湿度の上がり下がりを感知するセンサーは、皮膚や粘膜、中枢神経や内臓などに存在しているのですが、これらもまた気象が変化すると変化に対応しようと脳に信号を発信。交感神経が過剰に反応し、自律神経のバランスを崩すと考えられています」

 また、気温が上昇すれば血管が拡張して片頭痛が起こりやすいうえ、寒暖差が7℃以上あると頭痛やめまい、眠気、冷えなどを伴う「寒暖差疲労」にもなりやすいという(下図)。

■気温の上昇で頭痛が悪化

気温の上昇で頭痛が悪化する仕組みのイラスト

 なお、「湿度」上昇時にのみリウマチの症状が悪化することも知られている。梅雨時の湿度管理は重要だ。

「気象病は症状に個人差があり、免疫力が下がっているときやPMS(月経前症候群)、更年期障害と重なって症状が悪化することもあります。そのせいで自分が気象病だと気づかないうえ、周囲にもなかなか理解されず、“気のせい”や“サボり”と言われることも少なくない。それがうつ病の原因になったり、子供の場合は不登校の原因になったりすることもあります。気象病を軽視せず、正面から向き合っていただきたいですね」

 では、気象病を改善するにはどうすればいいのか?

「気象病の多くは、もともと持っていた痛みや症状が天気の影響を受けて悪化したものを指します。最終的には痛みのもとになっている病気の治療が必要ですが、すぐにできることは2つあります。それは、【1】天気との因果関係をはっきりさせ、天気予報から痛みを未然に防ぐこと。【2】“痛くなったらこの薬をのめばいい”ではなく、痛くなる前に症状を和らげる方法を知ることです。天気をコントロールすることはできませんが、不調の原因が天気とわかれば、気が楽になり、天気に左右されにくい体を作ることも可能です」

気象病タイプ チェックリスト

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