孫を呼べる部屋にしたい!介護のニオイが気になる母と私の格闘【実家は 老々介護中 Vol.17】
80 歳になる父は、がん・認知症・統合失調症と診断され、母が在宅介護をしています。美容ライターの私はたまに実家を手伝い、父が身ぎれいにして気分よく過ごせるよう気を配っています。今直面しているのは介護のニオイ問題。子どものころ暮らした、爽やかな家を取り戻したくて、格闘しているのですが… 。
ニオイ対策に困っています
「お父さん、お風呂に入れてもらってキレイにしてるけど、部屋が少しくさいでしょ。孫たちが来るんだったら、なんとかしなきゃ。」
最近、実家のニオイが今までと違うんですよね。がんという病気にニオイがあるのか、年齢で体臭が変わったせいなのか? 体臭とカビのニオイ、それに何か腐ったようなニオイが混ざり合っています。兄にニオイ対策を任せたつもりが、全然手伝いに来ないので、私と母で頭を悩ませています。
うちの場合、父が今、ほぼオムツでおもらしもなく、アンモニア臭は少なめなのですが、何ともいえないニオイが取れないんです。
ヘルパーさんのおかげで洗濯も掃除も行き届いており、消臭スプレーまでまいてくれているのにどうしてでしょう? やっとコロナが落ち着いた今、孫に会わせてやらねばと思った矢先、ニオイに阻まれるとは!
ちょうど、「どうですかー?」とケアマネさんが覗きに来てくれたので、父に聞こえないようこっそり相談してみました。
「何が臭ってるんですかね? 父の体をかなりこまめに拭いてるし、オムツは消臭袋に入れてニオイが漏れない専用のゴミ箱に捨てて、しかもベランダに出しちゃってるし、ちょっとオムツからはみ出ちゃったものがあっても、服はすぐに介護用洗剤で洗って、ニオイは取れていますし。ポータブルトイレで用を足せたときも、すぐ処理してるんです。それでもニオうなんて、どうしてでしょう?」
「そうですよねえ。私もこの間まで施設の介護士をしていたので、ニオイの大変さ、よくわかりますよ。寝室が気になりますか? 例えば、寝室を日が当たる部屋に変えてはどうでしょう。ベッドのあたりを太陽が殺菌してくれて、少しいいと思いますよ」
これは、寝る部屋を変えるのは本人がイヤだと言い張り、すぐボツになってしまいました。
「あとは換気ですが、寝室の窓が1つしかないんですよね。寝室のドアを開けておいて、隣の台所の換気扇をつけると、結構空気の流れができるんですよ。あとは扇風機を窓に向けて風を送り、外の空気を入れるのがいいですかね」
早速、台所に行き換気扇をオンにしましたが、扇風機はどうしよう、と。花粉の時期だったので、母の花粉症がひどい状況でした。父も花粉症だったのに、だいぶ反応が鈍くなり、今は症状が出ないのですが。
「それじゃあ、窓開けを短時間にして、窓から入ってきた花粉をキャッチするために、空気清浄機を窓の逆側の角に置くのはどうでしょう。花粉は角に集まるらしいです」
へえー。ここは若い私が、空気清浄機を持ち上げて角に移動。換気したおかげで少しニオイが和らいだような気はします。
別の日には、ヘルパーさんもニオイ対策のアイデアをくれました。飲み終わったドリップコーヒーのかすで消臭剤を作れる、とのこと。レンジで乾燥させ、うちにあったコーヒーフィルターに詰めて口をクリップで留め、部屋に置いてくれました。ニオイを吸い取るのだそう
で、コーヒーの香りはもうしないけど、なんだか良さそう。
いろんなワザを習得しましたが、母は結局、「やっぱり介護用の消臭スプレーがよく効くね」と、スプレーを徹底することにしたみたい。父が使う直前のオムツにまで、消臭スプレーをシューシュー。えっ! と思いましたが、その後のオムツ替えでは、ニオイが抑えられたような気も。直接肌にあたらないところにだけスプレーしたほうが良さそうですが。
さて、母としてはこれで孫を迎えられる部屋になったようです。父母は孫の顔を見ると、それはそれは喜ぶので、やっと連れて行けるのがうれしい。今からとても楽しみです。
文/タレイカ
都心で夫、子どもと暮らすアラフィフ美容ライター。がん、認知症、統合失調症を患う父(80才)を母が老々在宅介護中のため、実家にたびたび手伝いに帰っている。
イラスト/富圭愛
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