猫が母になつきません 第349話「りょこうする_その2」
宿のお部屋は広くて居間と寝室が別になっていて、お布団ではなく和室にベッドというおしゃれなインテリアでした。宿についてからも母は「私は夕食いらない」と言いだしたり、かばんを押入れに隠してなくなったといって騒いだり、誰も同行していないのに他の宿にいる家族に連絡してくれと言ったり、とにかくいつにも増して落ち着きがなく妄想も爆発。やっと寝てくれたころには私はもうくたくた。隣室でお茶を飲んで一息ついてちょっとうとうとしていたら部屋の電話が鳴りました。こんな夜おそくに…と思いながら電話にでると「お母様がフロントにいらっしゃいます」(驚)。大慌てでフロントに行くとパジャマ姿の母がちょこんと椅子に座っていました。私が隣室にいることがわからなくて探すために部屋から出て戻れなくなったようでした。お部屋係の人には事前に母は認知症なので気をつけてもらえるとありがたいと伝えてあったので、幸い騒ぎになることもなく母をすみやかに部屋に連れ戻しました。当の本人はけろっとしていて「隣にいたのー?」。ビジネスホテルのツインルームにでも泊まっていればこんなこともなかったけど…。夜はまだまだ長い(疲)。つづく
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。