「名もなき家事」はなぜ減らない?増える理由を考えることが解決策に「まず不便をメモしてみよう」【家事アドバイザーが提案】
名前がついていない小さな家事を「名もなき家事」と呼び、今注目されている。細々と名前のついていない膨大な家事を減らすには、まず「名もなき家事のパターンを考えてみる必要がある」と、家事アドバイザーの矢野きくのさん。名もなき家事のパターン例と解決策を紹介する。
名もなき家事の問題点を整理「パターンを把握しよう」
近年、家事の話になると、必ずと言っていいほど出てくるのが「名もなき家事」についてです。
名もなき家事とは、掃除、洗濯のように名前がない家事のことを言います。家事というのは数え切れないほどあり、名前がついていない作業がたくさんあるものです。
この名もなき家事が話題になるときについてくるのは、「家族の協力が得られない」という話題です。
ひとり暮らしの場合は、名前がついていないような小さな家事も含めてどの家事もすべて自分がやるので問題ないのですが、家族で住んでいるとそうもいかず、家事分担していても、名もなき家事は分担されず残されていて不公平感があったり、家族が名もなき家事を増やしたりするという不満が出ることもあります。
とくにシニア世代によくあるのが、「夫が退職をして家にいるようになり、それまで妻がひとりでやっていた家事を分担してくれるようになった。しかし、夫は名もなき家事まで気づかず、結局、ラクにならない」というシチュエーションです。
そんな名もなき家事をラクにするために、まずは家事そのものの問題点を整理していく必要があります。名もなき家事にはいくつかのパターンがあります。
【パターン1】家族に分担できるのにやってもらえていない名もなき家事
家族が最後までやってくれれば、家事として増えないのに、やってもらえないことで名もなき家事が増えるというパターンが考えられます。
家族がやらないゴミの分別
一例として、ゴミの分別があります。分別せずに適当に捨てられてしまうと、あとから家事をメインでやっている人が分別をし直さなければならず、名もなき家事が増えてしまいます。
このような場合は、今の状態を見直し、家族がやりやすいような環境に作り変えることで、名もなき家事を減らすことができます。
【パターン2】メインで家事をやる人から離れられない名もなき家事
ささいな名もなき家事だけに、その作業を独立させることができず、どうしても家族の中でメインで家事をやっている人から切り離すことができないものもあります。
洗い物の後に「水切りかごの掃除」
この例としては、食器洗いの水切りかごの水受けに溜まった水を捨てる。またはヌメリがあったら洗うなどです。
このような場合は、今やっている方法変えてみることで、その作業自体をなくすことができるかもしれません。
水切りかごの水受けが問題ならば、いっそのこと水切りかごを変えてみるのもひとつの手。流し台に直接水が落ちるようにロールタイプのものや、シンクに掛けられる深さのある水切りかごにすれば、水受けをなくすことができます。
調理後の「テーブルを拭く、配膳をする」
調理をしている人は調理が忙しい。だからこそ、他の誰かがやってくれるとラクな名もなき家事が、食事をするためのテーブルの準備です。
テーブルを拭く、箸を出す、コップとお茶を出すというのは料理を作っている以外の人にやってもらいたいですね。言ってもやってくれないご家族であれば、それぞれの作業のハードルを少し低くする工夫が必要かもしれません。
テーブルを拭くためのセットはテーブルのすぐ近くに置いておく。箸やコップもまとめて出しやすいようにしておく等。
このように、名もなき家事は名がないだけに、本当に細かいことばかりです。そのため、気づいたときに、手帳やスマホのメモ機能に「不便を感じている名もなき家事」を書き留めていくようにしましょう。その上で、それぞれの名もなき家事の解決策を書き込んでいくようにします。
ひとつひとつ名もなき家事を見ていくと、それまでは我慢してやっていたことも、解決策が見えてくるものです。
執筆
家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
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