「痛み」はストレスで増す!? やってはいけない生活習慣と予防体操を医師が指南
痛みはけがややけど、炎症といった身体的なものだけでなく、心因的な要因も関係する。ストレス、暴飲暴食、慢性的な運動不足や睡眠の質の低下は、痛みをさらに増強させる。痛みにとって悪影響となる生活習慣を送っていないか、見直してみよう。さらに痛みを予防する簡単なストレッチも紹介するので合わせて実践してみてほしい。
たばこやお酒は痛みを増大させる
「喫煙は血管収縮作用があるため、痛みを悪化させます。ニコチンを慢性的に摂取していると痛みを過敏に感じる作用が働くようになるんです」
そう麻酔科専門医の柏木邦友さんは警告する。アルコールは少量であれば血流をよくする作用があるが、飲みすぎは厳禁だ。
「アルコールが体内で分解されると『アセトアルデヒド』という物質になりますが、これが過剰になると、頭痛、胃痛、吐き気、二日酔いの原因になります。飲むならジョッキ1杯程度のビールにとどめて、水分もしっかり摂るようにするといいですね」(柏木さん・以下同)
孤独やうつ、不安が強いと痛みを感じる
不安やストレスもまた痛みを強くする要因となる。
「不安なときは幸福物質と呼ばれる『エンドルフィン』が出にくくなるため、痛みを感じやすくなるといわれています。逆に、楽しいことを考えているときやリラックスしているときには『エンドルフィン』が分泌され、痛みを感じにくくなります。過去の研究論文では、痛みについて人に話すことで痛みの軽減につながると示唆したものもあり、周囲に理解されることも、不安を減らし、痛みを和らげる効果が期待できると考えられます」
誰かが痛みに苦しんでいるとき、「大丈夫?」と言いながら背中をさするだけでも、相手は痛みを理解してくれたと感じて、楽になるそうだ。
夜、眠れなくなると痛みがどんどん増す
人間はそもそも夜に痛みを感じやすいという。
「人間は、昔はマンモスなどの敵と戦わないと生きられなかったため、昼間はアドレナリンやステロイドホルモンが出て痛みを感じにくくなっています。夜は傷ついた体を修復するため、これらのホルモンは抑えられ、痛みを感じやすくなるとされています。進化した現代でもこのメカニズムは変わっていないようです。また、睡眠不足は免疫機能の低下も引き起こします。慢性の睡眠不足であれば、医師の指導のもと、睡眠薬の導入も検討した方がいいでしょう」
腰痛以外の痛みにも◎ 1か所30秒腰痛予防体操
腰痛や肩こりなど慢性的な痛みには、運動療法が推奨されている。
「ウオーキングや水泳などがおすすめです。筋肉を強化し、体全体をほぐす目的としてストレッチもいいですね。血流もよくなるので、体全体の痛みの解消にもなります」(柏木さん)
息を止めずにゆっくりと吐きながら、1か所20~30秒、痛みのない程度に、それぞれの筋肉を伸ばし続ける。元の体勢に戻るときは、5秒くらいかけて、ゆっくりと戻る。1か所に対して1~3回程度行おう。
教えてくれた人
麻酔科専門医・柏木邦友さん/東京マザーズクリニック麻酔科医、アネストメディカル代表。著書に『とれない「痛み」はない』(幻冬舎新書)が。
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/沼田健 資料提供/柏木邦友さん
※女性セブン2023年2月23日号
https://josei7.com/
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