《69歳オバ記者、原チャで初ソロキャンプ》テントはまさかの夏用で極寒地獄! ”初心者の失敗”を全部やって「葛根湯」をあおった秋の夜
「キャンプブーム終了? 69歳で野宿なんて無理?」そんな周囲の囁きをよそに、オバ記者ことライターの野原広子氏が亡き母の形見の原付バイクで念願の「初ソロキャンプ」へ! 親の介護や自身の大病など怒涛の60代を経て挑んだ“初体験”はいかに──。アラコキの痛快ドタバタ奮戦記をお届けします。
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茨城、原チャで初ソロキャンプ
「キャンプブーム? 終わったでしょ」という声があちこちから聞こえている令和8年の秋。「てか、キャンプって野宿でしょ? 69歳のオバはとっくにキャンパー年齢、終わってるって」というヒソヒソ声も、はい、ちゃんと届いていますって。
そもそも私がキャンパーに目覚めたのは2018年秋のこと。60歳で原付きバイクの免許を取ってすぐ、親戚の若者、K君にお願いして新宿から青梅市の釜の淵公園までツーリングに同行してもらったの。その時にバイクの乗り方を実践で教わったんだけど、私は緊張でコチコチよ。特に怖かったのがトンネルで後ろからトラックに追い抜かれるたびに「ヒェーッ」と声を上げていた私。
こうしてたどり着いた釜の淵公園では、何人かのグループがテントを張ってキャンプをしていたんだよね。それを見ていたら、いつか原チャでキャンプをしたいという願望が頭の中に刷り込まれたんだと思う。
キャンプ動画でギアを買い集めた
その願望を形にすべく、キャンプの動画を見て手軽なキャンプ道具(ギアという)からコツコツと買い集め始めたオバ。そうしたらまぁ、人生の荒波っていうの? 父が倒れ、飼い猫が老衰で亡くなり、母親の介護が始まり、それが終わったら私が大病に倒れた。親友が病がわかって2か月で他界した。もう、これでもかってほどのことが起こり、キャンプをしたいと思っていたことすら忘れた60代だったんだよね。
そんな私を今年の晩春、キャンプに誘ってくれたのがひと回り年下の男友達のU氏なの。その時はテントの設営をちょっと手を貸したくらいで後は料理も全部、U氏。でもやってみたら、私ひとりでもやれないことはないかなと、そう思っちゃったんだね。
とはいえよ。東京から原チャで行くとなると命がけになるので、まずは電車で茨城の弟の家までキャリーカーでキャンプ道具を運ぶ。で、原チャに積み替える。原チャは母ちゃんが乗っていたホンダDiOで、これは帰省介護の間、私の足になり、介護ストレスを慰めてくれた愛車だ。
夜の暗さ、虫の音色、秋の枯れ葉の匂い
が、何年も放置していたからバッテリーがあがり、オイル交換は必須だったけれどすでにこの日のために整備を済ませてある。
「レッツゴー!」とやる気まんまんの私を11歳年下の弟は「大丈夫かよ」と心配顔で送り出してくれた。キャンプ場まで農道を走って40分。
が、いざ設営を始めたら、「あれ? あれ?」の連続よ。テントを張るのも初めてなら、夜具や煮炊きの準備をするのも初めてだもの。何ひとつスンナリ出来ないし、忘れてきた物もあって愕然、ぼう然。そうこうしている間に手元が暗くなって身動きが取れなくなった。けれど、そんなことがみんな楽しいんだよね。
夜の暗さ、虫の音色、秋の枯れ葉の匂い。ああ、ほんとうに私、ひとりで闇の中に横たわっているかと思ったら、楽しいんだか、こわいんだか。
そして夜具の中でウトウトとしたとたん、「だから言わんこっちゃない」という声が聞こえたような。な、なんなの、この寒さは! 深夜1時、2時、3時。万が一のために荷物の中に放り込んでいたアルミの防寒シートを身体に巻いて震えて寝られたもんじゃない。
朝方ようやく寝ると、カラスに起こされた!
原因は、キャンプ経験者ならおわかりでしょうがテントを選び間違えたこと。これ、真夏用だったんです。だから2面に網目がついていてって、夜まで気づかなかったんかい!
はい、実はテント、買ってから一度も広げませんでした。椅子もそう。前日の夜、1時間以上格闘してもとうとう組み立てられなかったのは、事前にチェックしなかったから。初心者が陥る失敗、みんなやってる!
それでも朝方、とろっと寝たのね。カラスに起こされたのだけど、ああ、やっちゃった! ノドに違和感があるのよ。そりゃあ、そうなるわな。でも、それはそれ。キャンプの朝は、お湯を沸かしてコーヒーを飲まなくちゃ。これだけはしなくちゃと、いそいそ焚き火の準備を始めた私。
月曜の朝、キャンプ場には2組のおじさんソロキャンパーがいるのみだ。盛大に出した煙が秋の曇り空に吸い込まれていく。
が、そうこうしている間に雨がパラついてきた!これから弟の家まで原チャで40分飛ばさねばならぬ。雨具は、忘れました!
アラコキの無理はみんな、自分の身体で精算することになる。わかっちゃいるけど、無理、無茶が出来るうちにやらないでどうすると威勢のいいことを言いながら、葛根湯をあおって自宅で早寝をする私。
さぁて、次のキャンプでは絶対に快適に過ごすぞと、あれからずっとそればっかり考えている。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。https://obakisha.com/
