「ぐっすり快眠」のための食品Best18を専門家22人が判定「1位は朝のバナナ」
堂々の1位に輝いた「バナナ」も、トリプトファンを多く含む。管理栄養士の中沢るみさんが解説する。
「トリプトファンは体内に取り込まれた後、太陽の光によってセロトニンの分泌を促す働きを活性化する特徴がある。光によって増えたセロトニンは、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンに変化します。この過程に長い時間を要するため、バナナは朝に食べるのが最適です」
“朝バナナ”のメリットはトリプトファンだけではない。
「食べてすぐにエネルギー源となる良質な糖質も魅力的な栄養素のひとつ。日中、元気に動くことができれば夜の入眠もスムーズです」(管理栄養士の磯村優貴恵さん)
2位の「牛乳」もトリプトファンの豊富な食品だ。一票を投じた医学博士の福田千晶さんが解説する。
「吸収率がよく、調理の必要なく手軽に摂れるうえ、幼い頃から慣れ親しんだ安心感のある食材はリラックス効果も高い。寝つきが悪い日は、温めた牛乳に、はちみつなどを少し加えて甘みを足せばさらに癒し効果もアップします」
トリプトファンと同様、スムーズな入眠に必要不可欠な成分のGABAを理由に多くの票を集めたのは5位の「玄米」だった。
「玄米は白米と比較してGABAの含有量が多い。朝食のみ置き換えるだけでも大きな効果があります。特有の“噛み応え”もポイント。咀嚼(そしゃく)回数が増えると、血流が促され、体が温まって入眠しやすくなります」(管理栄養士の望月理恵子さん)
玄米を加工して発芽させた「発芽玄米」はさらに効果が増す。
「GABAの含有量がより豊富で、睡眠の改善効果がダントツに高い。ただし、消化吸収に時間がかかるため、朝食か昼食に摂るのがおすすめです。夕食として食べる場合、早めの時間に少量を心がけてください。胃に負担をかけて、かえって睡眠に悪影響を与える可能性があります」(角谷さん)
腸内環境を整えることが女性の快眠に効果
最強食品ランキングの常連「納豆」は、トリプトファンとGABAの両方が含まれていることから、今回も3位にランクイン。
「植物性たんぱく質をはじめとしてそのほかの栄養素も申し分なし。調理の手間なく食卓に一品加えられるのもいい。発酵食品であるゆえ、腸内環境も整います」(磯村さん)
「腸内環境」は特に女性の睡眠において重要なキーワードのひとつだと角谷さんは話す。
「近年、腸内環境と睡眠の相関関係を指し示す研究が進んでいます。実際、現場で多くの人に睡眠改善指導を行ってきた記憶を振り返っても、男性は多少、腸内環境が悪くても寝つけるという人が多い一方、女性は胃腸の不調が不眠に直結している印象がありました。納豆が含有する植物性の乳酸菌は腸の中で3~7日ほど滞在するため、いつ食べても同様の効果が期待できます」(角谷さん)
ヨーグルトに一票を投じた中沢さんも、腸内環境を整える重要性をこう話す。
「“脳腸相関”という言葉があるほど腸内環境と脳は密接に関係しており、腸内環境が改善されることで脳もリラックスして睡眠にもいい影響がある。特にヨーグルトをはじめとした乳製品はトリプトファンが豊富なうえ、精神の安定につながるカルシウムも多く含みます」
えびとキムチで体温を下げる
睡眠を促す成分をしっかり摂りつつ、腸内環境を改善する―体の内側から入眠準備を整えた後、最後に意識すべきは体温を下げること。
快眠セラピストの三橋美穂さんが解説する。
「心地よい眠りを実現するためには、体の中心部の温度である『深部体温』を下げることが必要になります。眠気を感じると手足が温かくなるのは、熱を放出して深部体温を下げようとしているためです」
ランキングにも深部体温を下げる効能を持つ食品が多数挙がっている。
「6位のえびに豊富な『グリシン』というアミノ酸は、手足など末梢の血管の血流を促進することによって深部体温を下げる効能があります。特におすすめなのは、桜えび。殻ごと食べられて、カルシウムも同時に摂取できます」(中沢さん)
三橋さんが推奨するのは、唐辛子がたっぷりの「キムチ」だ。
「唐辛子の『カプサイシン』には一時的に体温を上げる効果があり、それを元に戻そうとすることで深部体温が下がります。夕食として摂ることで、睡眠時には最適な体温が期待できます」(三橋さん)
※女性セブン2022年10月27日号
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