「糖尿病」予防対策5箇条「運動は食後に。ダイエットのための糖質オフはNG…」
「糖尿病」と聞くと遺伝的な病気と思いがちだが、肥満、運動不足、ストレス、喫煙などの影響も強く受ける。この2年、“コロナ”ばかりを気にする生活が続いているが、ほかの不調にも目を向けないと、寄る年波には勝てない。糖尿病が発病してからでは遅い、しっかりと予防していこう。
規則正しい生活習慣が大事!
糖尿病は遺伝的要因と環境因子(肥満、運動不足、ストレス、喫煙など)の影響を強く受ける。
「治療しても完治はなく、一生つきあうことになるので、発病する前に生活習慣を整えることが重要」(相原内科クリニック院長・相原一夫さん・以下同)。
その方法は以下の5項目を参考にしてほしい。
【1】運動は食前ではなく食後に!1日5分の水中歩行が◎
糖尿病予防に運動は必須。ウオーキングや水泳などの有酸素運動とスクワットなどの筋トレを並行して行おう。
「有酸素運動と筋トレが同時にできる水中歩行は特におすすめ。長時間やるよりも5分でいいので毎日続けることが大切。食後は急激に血糖値が上がり、体に負担をかけるので、それを防ぐためにも、運動は食後に行うのが効果的です」。
朝食前など、空腹の状態で運動を行うのは逆効果なので、なるべくやめた方がいいという。また、平日に運動ができない人は土・日曜にそれぞれ約1万歩ずつ歩く習慣を。
【2】ダイエットのための糖質オフはNG!
「人間の体は、エネルギーとなる糖質がなければ動けません。低糖質になると、疲れやすい、だるいなどの症状が出るので、1回の食事で50g程度の糖質を摂るのがベター」。
ただし重度の肥満の場合、糖質制限が必要な場合もあるので、自己判断せず医師に相談を。
【3】肥満かどうかは体重よりBMI値を目安に
BMIとは肥満指数のことで、「体重(kg)÷【身長(m)×身長(m)】」で算出できる。
「女性の適正数値は、50代が20~22、60~70代前半が22~23、75才以上が23~25。これらの数値はあくまでも目安ですが、体重よりも正確に自分の肥満具合を把握できます」。
【4】よく噛んでゆっくり食べる習慣をつける
糖尿病になると血糖値を抑えるインスリンの分泌量が減るので、血糖値が乱高下し、血管にダメージを与える。
「それを防ぐには、よく噛んでゆっくり食べる、GI値(※)の低い食品を選ぶ、野菜から食べる、きのこや海藻類など食物繊維を多く摂るのが有効です」。
(※)食品に含まれる糖質の吸収率。
【5】糖尿病の遺伝因子があるか 確認すれば早期予防が可能
「血縁に糖尿病の人がいる場合は特に、経口ブドウ糖負荷試験(保険適応)を受けてインスリンの分泌状況の確認を」。
検査は空腹の状態で採血、採尿をして75gのブドウ糖液を飲み、経過を見る。
「事前に体の状態がわかれば発症前から予防がしやすくなります」。
教えてくれた人
相原一夫さん/相原内科クリニック院長
日本糖尿病学会認定専門医、日本循環器学会認定専門医。糖尿病、高血圧、脂質異常症の管理治療、それに伴う血管合併症の治療を専門とする。診療所では管理栄養士による食事指導も行う。
取材・文/佐々木めぐみ、鳥居優美
※女性セブン2022年1月20・27日号
https://josei7.com/
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