森昌子さんも経験した”子宮筋腫”の苦しさ コロナ禍の受診控えに注意を【医師監修】
約3人に1人が抱えているという子宮筋腫。経過観察を重ねながら「大きくなってきたら、取りましょう」と言われたことのある人も多いだろう。コロナ禍によって受診控えをする人が増えて、気づけば手遅れになっていることも…。歌手の森昌子さんも経験したことがあるという子宮筋腫手術。どのような症状があるのか、今後どうすべきなのかを医師の解説とともに紹介します。
コロナ禍の受診控えが重大な病を見逃す原因に?
「これはマズい…」――データを見た医師たちは黙り込んでしまった。
11月25日、国立がん研究センターが2020年度の新規がん患者数を発表。報告書の内容は「2019年度と比べて6万人減」というものだった。
がん患者数が減少するのは、集計開始以来初のこと。一見、喜ばしいように思えるが、医師は警戒すべき事態だと語る。
「コロナ禍で、がんの発生が減ったとは考えられず、受診控えで発見されていないがんが統計に反映されていないのだと思います」(レディースクリニック市ヶ尾院長・高橋誠治さん)
実際に日本対がん協会が発表しているデータによると、202年の上半期に厚生労働省がすすめる5つのがん検診(胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5種)を受けた人は、2019年の同1時期と比べて17.4%少なかった。
子宮筋腫の悪化を招くことも
「これは、がんに限ったことではありません。コロナ禍が理由で、病院での検査全般を控える傾向にあり、その結果、症状が表れにくいものや、良性だとされてきた腫瘍、経過観察の持病が悪化し、気づいたら治療が困難になっていたというケースもあります。
特に婦人科検診で診断される病気にはこの手の“気づきにくいもの”が多いといわれています。成人女性の約3分の1が持つといわれる子宮筋腫もその1つです」(高橋さん)
子宮筋腫は簡単にいうと、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のこと。無症状のことも多く直接命にかかわるケースは少ないが、コロナ禍で放置していたことで急激に大きくなったり、悪性化するケースもある。
約2年前に2cmの子宮筋腫を指摘されたまま婦人科の検診を後回しにしていた大阪府の佐々木綾子さん(47才・仮名)はこう振り返る。
「徐々に生理が重くなっている感じがありましたが、子供や夫がずっと家にいるストレスのせいだろうと甘く見ていたんです。でも、最近あまりにも経血量が多くなり病院へ。すると、子宮筋腫が5cm以上になっていました。幸いにも薬で症状が落ち着きましたが、もっと早く病院に行くべきだったと反省しています」
純子ウイメンズクリニック自由が丘院長・矢内原純子さんはこう解説する。
「子宮筋腫の主な症状としてあげられるのは、経血量の増加や生理痛、腰痛など。子宮の前にある膀胱や内臓が圧迫されることで、頻尿や便秘を起こすこともあります。悪性の腫瘍ではないため、すぐに摘出することはまれで、経過観察となるケースがほとんどです」
森昌子さんも子宮筋腫で苦労
子宮筋腫で苦労した芸能人も多くいる。2019年12月に芸能活動を引退した森昌子(63才)も子宮筋腫と更年期に挟まれ、苦しんだ1人。2010年に子宮を全摘している。
「当時、昌子さんは本当につらそうでした。50個もあった子宮筋腫をレーザーで除去したものの、また新しい腫瘍ができてしまった。毎月洗面器1杯分ほどの出血があり、貧血で倒れてしまったことも。
そこに更年期特有のうつ症状も加わり、毎日立っているのが精一杯の状況に。苦しさから逃れたい一心で、卵巣を残した形での子宮全摘を決断したそうです」(森の知人)
自己判断でただの便秘、ただの頻尿と放置するのは禁物だ。知らぬうちに子宮筋腫が大きくなったり、より重篤な病気を見逃してしまっているかもしれない。
写真/高柳茂 イラスト/藤井昌子
※女性セブン2021年12月16日号
https://josei7.com/
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