「こんなケアマネはチェンジを!」6つのNGポイント 本音座談会に学ぶ介護成功の秘訣
まずはケアマネの資質について。利用者や家族はどんなケアマネを選ぶのが正解だろうか。
A子 ケアマネの当たりはずれはありますよ。ケアマネのせいで適切な支援を受けられなくて、利用者の認知症が進んだり、寝たきりになる恐れがある。優秀なケアマネと巡り会えるかどうかで、介護は天国にも地獄にもなります。
B男 利用者や家族の話をじっくりと聞かないケアマネはダメですね。どのような手伝いが必要なのか希望を聞き出す前に、「お風呂に入れないなら、デイサービスにしましょう」などと一方的に意見を押しつけてくるケアマネは避けるべきです。すぐ「こういうサービスにしましょう」と言ってくる人は、自分の価値観で動きたいだけでしょう。
C郎 確かに、利用者や家族にしゃべる隙を与えず、自分の話ばかりするケアマネはいますね。利用者側が言いなりのようになってしまう。
D恵 介護保険やサービスは想像以上に複雑。利用者が納得できるまで、仕組みについて説明してくれないケアマネは避けるべきです。優秀だと思うのは、助言や提言をする際に、複数の提案ができるケアマネ。1つの提案だけでは、命令しているのと変わりません。
A子 なかには、「家族の支援はケアマネの仕事ではない」と考えている人もいます。考え方は人それぞれですが、困っている家族の話を聞いて、救いの手を差し伸べることもケアマネの大切な仕事だと私は思います。
D恵 その通りです。以前、介護をまっとうするために仕事を辞めようとしていたご家族がいたのですが、「私たちが親御さんを日常的に支援するので仕事は辞めず、その代わり、いざというときは支えてあげてください」と引き留めたことがあります。家族の負担が大きいと、いい介護ができているとは言い難いですから。
C郎 注意したいのは、やたらと自分の事業所のサービスを押しつけてくるケアマネかな。利用者や家族は自分の目でサービスを確かめたい意向なのに、「このサービスを使った方が話が早いから」と耳を貸さず、サービスをゴリ押しするケアマネは実際にいます。
A子 自分の事業所を使うと、賞与にも反映されたりするという話も聞きますからね。
B男 話を聞かないケアマネはもちろん問題ですが、やたらおせっかいなケアマネも危険。少し足取りがおぼつかなくなると、「車いすを使いましょう」とすぐにすすめる人。“転ばぬ先の杖”で気を回しているつもりでしょうが、そのせいで、筋力が弱って本当に歩けなくなってしまう。これは“優しい虐待”です。
C郎 私もそう思います。ケアマネの仕事は間接援助であり、直接的な介護や看護はできません。だからこそ、利用者の一面だけを見て、“それならこれが必要でしょ”と一辺倒なケアプランを組み立てる人には注意すべき。
介護サービスで料理を作ってもらうのも確かに便利だけど、利用者が手先を使わなくなったことでできないことが増えてしまう恐れもある。ケアマネは単なる御用聞きではなく、利用者の将来のため、意欲や自立心をどう引き出すかを考慮すべきです。
D恵 私は社会資源、デイサービス、ヘルパー、訪問看護の見極めができるのがいいケアマネだと思います。ケアマネは介護職ですが、高齢化が進んだいまは終末期まで見越して医療にも精通したケアマネが望ましい。そういう意味で、福祉系大学出身のケアマネは幅広い知識を身につけていて優秀な人が多いと感じます。
A子 ただ、“口コミ”では評判がいいケアマネでも、相性が悪いこともある。利用者には選ぶ権利がありますから、がまんせず変えた方がいい。
C郎 ケアマネ本人に面と向かって言わなくても、そのケアマネが所属する事業所や地域包括支援センター、自治体の窓口などに相談すれば“チェンジ”できます。
ただ、ダメなケアマネほど、「ケアマネは変えられる」という説明をしないことがある(苦笑)。
いいケアマネが育たない問題点も
介護保険がスタートして20年あまり。当初は「“介護職すごろく”の上がり」と称されるほど恵まれていたケアマネの地位は、ここ数年、下降気味だと高室さんは心配する。
「介護現場の処遇改善が進む中、夜勤のないケアマネは手取りが増えない。条件がいい別の事業所へ転職しても、そこでは新人扱いとなるため思うように給与は上がりません。
事務的な作業だけでなく高度なコミュニケーション能力も求められることから、せっかくケアマネ試験に合格しても“現場の方が気楽でいい”と、あえてケアマネにならない人も増えてきた。
ケアマネの社会的評価を上げて報酬も現在の1.5~2倍に増やすくらいでなければ、目指す人も増えないし、レベルの高い人材が育ちません」
こんなケアマネに要注意 NGポイント【まとめ】
●家族の話をじっくり聞かない
●提案が1パターンしかない
●「家族の支援はケアマネの仕事ではない」と考えている人
●自分の事業所のサービスを押しつけてくる
●利用者の一面だけを見て一辺倒なケアプランを組み立てる人
●「ケアマネは変えられる」という説明をしない人
→「ケアマネを変更したい!」3つの対応方法やデメリットを社会福祉士・ライトさんが解説
教えてくれた人
ケアマネ歴20年クラススのベテランケアマネ4名(匿名)
高室成幸さん/介護評論家・ケアタウン総合研究所代表
※女性セブン2021年12月9日号
https://josei7.com/