猛暑でハゲる!? 怖いのは紫外線だけじゃない、汗で頭皮にカビも【役立ち記事再掲載】
強烈な紫外線に、大量の汗――髪にとっては最悪な季節がやってきた。こうも暑いとあれこれ面倒くさくなるものだが、ホントに何もしないでいると、顔以上に髪と頭皮はボロボロになるってご存じですか?
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上の子は野球、下の子はサッカー。母としては応援を欠かせない。そう思って、毎日のように、炎天下でわが子に声援を送っていた松本由美さん(50才・仮名)。
子供たちと帰宅すると食事の支度などに追われ、髪を洗って乾かす時間が惜しい。シャワーは朝に回して、ベッドへ。そして朝、誰よりも早く起き、たっぷりのシャンプーでしっかり髪を洗い、ブラッシングをすると、しゃきっと1日を始められる。こんな生活を2週間ほど続けていたある日、シャンプー中に違和感が。手を見ると、大量の髪がごっそりと絡みついていた。「キャーーーッ!!」
紫外線、冷房、汗があなたの髪を薄くする
「この猛暑ですから、今年の夏の髪へのダメージは例年を上回るでしょう。髪は黒くて光を吸収するため、肌よりも多くのダメージを受け、その結果、抜け毛が増える恐れがあります」
こう話すのは「私のクリニック目白」の院長で医学博士の平田雅子さんだ。
猛暑が髪の大敵になるのには、髪の構造が大きく影響している。聖心美容外科クリニック名古屋院院長の加藤大典さんが説明する。
「髪は大きく分けて3層構造になっています。いちばん外側がキューティクルで、保湿の役割を果たします。中間部はコルテックスと呼ばれ、繊維状のたんぱく質が主成分で、髪の毛の85~90%を占めます。中心部はメデュラと呼ばれ、柔らかいたんぱく質が主成分です」
最も外側にあるキューティクルにとって、太陽光に含まれる量が冬場の3倍以上にもなる紫外線は大敵だ。
「キューティクルは紫外線によってめくれたりはがれたりします。キューティクルが傷むと、髪の水分や栄養がなくなるので、パサついたり切れやすくなったり、抜けやすくなったりするのです」(加藤さん)
紫外線は髪そのものに対してだけでなく、頭皮にもダメージを与える。頭皮は髪に守られているとはいえ、今年の日差しはあなどれない。
「特につむじや髪の分け目などは、大きなダメージを受けます。充分な対策をしないと、頭皮や毛穴が荒れるなどして、毛根に充分な栄養が行き渡らなくなり、やはり脱毛の原因となる可能性があります」(平田さん)
では、日差しを避けて室内にいればいいかというと、話はそう単純ではない。加藤さんは冷房も髪に悪影響を与えると警鐘を鳴らす。
「外気と比較すると、冷房の効いた室内は湿度がずっと低くなっています。乾燥した室内は静電気が起こる原因となり、静電気を起こした髪はキューティクルがはがれやすくなります」
髪は乾燥を苦手としている一方で、汗をかいたときにも注意が必要だという。
「汗をかくと、たとえその後、涼しいところで過ごして汗が引いても、肌に汗の成分が残ります。特に、頭皮のように脂の多い場所では汗の成分からカビが生えやすく、抜け毛の原因になります」(平田さん)
紫外線、冷房による乾燥、汗、これらの蓄積は、2週間ほどして、抜け毛を引き起こすという。
「皮膚が完全に入れ替わるのに約1か月程時間を要します。そのうち半分は2週間で生まれ変わるので、2週間前に受けたダメージの影響が出ます」(平田さん)
髪にダメージを与える生活が続いたら、2週間が1つのチェックポイントとなる。
「日に当たった直後は髪に負担をかけるのでおすすめできませんが、頭皮にダメージを受けていない状態なら、優しくブラッシングしてみてください。毎日、髪を洗う前がいいでしょう。
そうして地肌の血流をよくしながら、髪がいつも以上に抜けていないかチェックします。もしも2週間前後で抜け毛が徐々に増えているようなら、しっかりとしたケアが必要です。ここでのケアが、5年後、10年後の髪の状態を大きく変えることになります」(平田さん)
抜け毛に加えて、くしの通りが悪い、いつもの整髪剤がしみる、頭皮が張っているような気がする…こんな変化が見られたら、髪が夏バテしている証拠だと平田さんは言う。
最悪の事態”猛暑ハゲ”を避けるため、今すぐできる対策を紹介する。
“猛暑ハゲ”を避ける!今すぐできる対策5
1.シャンプーは3倍に薄める
一般的にシャンプーの適量はセミロングの人で小さじ2杯程度といわれるが、夏場は薄めて使うのがいいという。
「日焼けした後の髪と頭皮は傷んでいるので、刺激しないこと。シャンプーは洗浄力が強いので、3~5倍に薄めて使いましょう。ゴシゴシと洗わず優しく行い、コンディショナーは頭皮に直接つかないように注意してください」(平田さん)
爽快感を求めての2度洗いも、過度な刺激になるのでおすすめできないという。
2.家に着いたら即、シャワー
前述の通り、汗をかいたままにしておくと頭皮にカビが生える原因に。
「朝シャワー派の人も、汗をかいて帰宅したら、ぬるめのお湯で優しく洗って汗を流してください。朝も髪を洗うなら、このときはシャンプーを使う必要はありません」(平田さん)
3.頭皮にも日焼け止め
顔用の日焼け止めを頭皮にも塗ると、ダメージを軽減することができる。
「塗る場所はつむじや分け目など。汗をかくと落ちてしまうので、3時間を目安に塗り直してください。外出時には日焼け止めを持ち歩きましょう。最近、ドラッグストアなどでよく見かけるようになった、のむ日焼け止めも積極的に使うといいでしょう」(平田さん)
4.ポニーテールは下の方で
「ポニーテールは頭の下の方でゆるめに束ねてください。頭皮が傷んでいる状態だと、大きな負担になります。束ねるときは、ブラシで引っ張るのではなく、手ぐしで優しくまとめてください」(平田さん)
5.たんぱく質を摂る
「髪の主成分はたんぱく質なので、食べ物で補うといいでしょう。特に髪のほとんどを占めるコルテックスは、ケラチンと呼ばれるたんぱく質でできているので、そのケラチンを体内で合成するために、卵や鶏肉の摂取が有効的です」(平田さん)
たんぱく質のほか、鉄や亜鉛などのミネラルも健康な髪には不可欠だ。これらはレバーに多く含まれる。たんぱく質もミネラルも、食品から摂り続けるのが難しければ、夏の間だけでも、サプリメントを取り入れるなどして、不足しないような工夫をした方がいい。
髪と頭皮が夏にノックアウトされるのを防ぐのは、正しい知識とこまめなケア。健やかな髪で秋を迎えるためにも、くれぐれも髪の夏バテにご用心を!
※初出:女性セブン
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