『ドクターX』2話。いきなり新型コロナが収束した世界に「もう少しコロナで突っ込んで欲しかった」
『科捜研の女』『相棒』と並ぶテレビ朝日の人気ドラマシリーズ、米倉涼子主演『ドクターX』第7シリーズ(テレビ朝日系・木曜21時~)の第2話。コロナ禍まっただかなかの大病院を舞台に、大門未知子(米倉涼子)も、(コロナじゃないけど)感染症に感染! というショッキングなスタートから一週間、ドラマ内ではもっと時間が過ぎていたようで……。シーズンすべてを観てきたライター&イラストレーターの北村ヂンが考察していきます。
コロナ、落ち着いちゃった?
『科捜研の女』『相棒』と並ぶテレビ朝日の人気ドラマシリーズ、米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』第7シリーズ(テレビ朝日系・木曜21時~)第2話。
新型コロナウイルス以上に怖い感染症・ラッサ熱に感染した患者の手術に挑んだ大門未知子(米倉涼子)。手術は成功したものの、大門自身もラッサ熱に感染してしまう。
……が、第2話では一気に数か月経ち、ラッサ熱からアッサリと回復。ついでにドラマ内では新型コロナの流行もすっかり落ち着いたようで、飛沫は気にするものの、マスクやアクリル板は誰もしていないという不思議な世界になっていた。
通称ホワイト・ジャックのスーパードクターK(興梠)登場
蜂須賀隆太郎内科部長(野村萬斎)の肝いりで招かれた、スーパードクターと呼ばれる外科医・興梠広(要潤)が登場。
専門は脳外科医で、海外ではブラック・ジャックならぬホワイト・ジャックと呼ばれているんだとか。海外でも「ブラック・ジャック=医者」というイメージは浸透しているんだろうか!?
蜂須賀は、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて外科手術件数を激減させ、外科を分院へと追いやった。さらに、数少ない外科手術も興梠に任せることで、外科医局の力を削ごうと考えているのだ。
蛭間重勝外科部長(西田敏行)率いるお馴染み外科医局の面々と、蜂須賀&興梠率いる内科医局が対立するという、いつもの構図が出来上がった。
大門はどちらの側にも与しないが、「私に(患者を)切らせて~!」という一心で、権力争いに巻き込まれることになる。
外科医局のカバン持ちが内科部長に
今回、蜂須賀がなぜ外科医局をここまで目の敵にしているのかという理由も明かされた。
蜂須賀はかつて外科医局に属していた。海老名敬(遠藤憲一)の2年後輩、加地秀樹(勝村政信)の1年後輩だが、「頭でっかちで理屈ばっかりこねて、医局員として一番大事な〝忖度〟が欠けてた」という。
蛭間のカバン持ちとして銀座のクラブにお供したときには、翌日の朝から手術を控えている蛭間に、
「この周辺では変異したノロウイルスの集団感染が発生してましたし、手術前に感染したら大変です!」
と進言したところ、
「黙っとけ、お前は。この感染バカは!」
と恫喝された。
やがて、蛭間にウザがられた蜂須賀は外科医局からはじき出され、地味な感染症の研究室に移ることに。そして、この新型コロナウイルスの感染拡大のおかげで一気に立場が逆転したのだ。
蜂須賀が、素直に外科手術した方がよさそうな患者さえ内科的治療にこだわる理由は、外科医局に対する恨みからくるものだろう。
まあ、手術をないがしろにして銀座のクラブで飲んだくれている蛭間に憤慨したのは正しいんだけど、その正義感が、急に権力を持ったことで変な方向に向かってしまっている。
蜂須賀に招かれた興梠もワケありだった。
大門が新型コロナでロックダウンしたニューヨークの病院で奮戦していた頃、興梠も同じ病院にいたという。新型コロナに立ち向かう医師たちが何人も感染し、死んでいく中、興梠は「こんなところにいたら殺される~」と逃げるように日本に帰国していたのだ。
ここからは、上から目線のいけ好かない敵役が大門の指摘を無視して手術をはじめるものの、トラブルが起こってどうにもこうにもならなくなる→大門登場……といういつものパターン。
ラッサ熱の後遺症……ナシ!
今回の患者は、蛭間たちが“銀座視察”に訪れたクラブのママ・二木麻也子(夏川結衣)。最初、興梠は「脳動脈瘤」と診断していたが、大門の指摘で「頸動脈狭窄」も発見される。
それでも興梠が執刀医に指名され、手術が開始されるが、さらに「右房粘液腫」が発見されてアワアワに。
「頸動脈だけでも大変なのに、同時に心臓の腫瘍摘出だなんてハイリスクにも程がある。患者を殺すことになります! こんな手術には付き合えません」
と興梠が逃げ出して……。
“凄腕”という触れ込みで登場した敵役が、大門に敗れて化けの皮がはがれるというのは定番パターンだが、ホワイト・ジャックの化けの皮がはがれるの、早かったなぁ。
今や、面白キャラのひとりになっている加地先生も、登場時には「腹腔鏡の魔術師」だっただけに、興梠も面白キャラでレギュラーとなってしまうのかも!?
興梠から執刀医を引き継いだ大門だが、ラッサ熱からの病み上がりということで、事前に念入りにリハビリを行っていた。
後遺症で手術の腕が鈍っているとか、途中で倒れちゃうとか、決めゼリフ「私、失敗しないので」を封じる伏線になっているのかなと思っていたのだが、特にそんなこともなく100%完璧な手術をサクッと成功。
安心感とともに、そろそろ思うように手術ができずに苦労する大門未知子も見てみたい気もするのだが……。
ラッサ熱からの回復とともに、すっかりなかったことになっている新型コロナ。わざわざ医療ドラマでコロナ禍を扱ったのだから、もう少し突っ込んで欲しいところ。
これだけみんなノーマスクになっていると、ドラマの世界でも、これからリバウントを起こしてもおかしくないと思うけど……。やっぱり現段階でコロナ禍を真っ正面から取り上げるのは難しいのか?
文とイラスト/北村ヂン
1975年群馬県生まれ。各種おもしろ記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。……といいつつ最近は漫画ばかり描いています。