SDGsで注目の”代替食品” 大豆ミートに続く新商品に注目!「こおろぎせんべい」は人気で品薄に
SDGsや健康意識の高まりから「代替食品」市場が拡大中だ。大豆で肉の食感や味を再現した大豆ミートをはじめ、さまざまな商品が登場して話題を集めている。そこで、トレンドウォッチャーのくどうみやこさんに、ブームの背景や注目の商品を聞いた。
SDGsや健康意識の高まりで注目の「代替食品」
「代替食品」とは、肉や乳製品など本来は動物性の食品を植物由来の原料で置きかえたもの。
以前は、動物性の食品を排除し菜食を提供する“ビーガン”専門店や高級スーパーなどで扱われていたが、ここ最近、一般的なスーパーや大手外食チェーン店でも目にする機会が増えている。
代替食品が注目を集める理由は、2つ。
1つは、環境破壊など社会的背景に関心が集まっていること。2つ目は、健康意識の高まりが大きな要因になっているとトレンドウォッチャーのくどうみやこさんは分析する。
社会的背景は、世界的な人口増加による動物性たんぱく質の将来的な不足が挙げられる。また、家畜や魚を育てることによる二酸化炭素や汚水の排出などの環境悪化も問題になっている。
「持続可能な社会を作るための目標を示すSDGs※という言葉は、いろいろなシーンで見聞きするようになりました。温室効果ガスの抑制など、環境問題に注目する企業が増え、環境に配慮した商品の開発が盛んです。
広告や商品パッケージで環境に配慮して作られていることをアピールする商品が、どんどん増えていて、消費者の商品を選ぶ意識も変わってきていますね」(くどうさん、以下同)。
※SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、サステナブル・ディベロップメント・ゴールズの略で、”持続可能な開発目標”という意味。2015年に国連が掲げた世界共通の目標であり、地球環境、人、社会の発展のための取り組みのことを指す。
味も進化し、高齢者や健康を気にする人に
健康を意識する人が増えていることも、代替食品ブームの流れを加速させているという。お肉をたくさん食べられない高齢者や、脂肪分が多くコレステロール値が気になるという人など、健康を気づかう人にとって、代替食品は食事の選択肢の幅を広げてくれる。
代替食品がここ数年でメジャーになった大きな理由は、ずばり”味”のクオリティーがアップしたことだと、くどうさんは語る。
「代替食品市場は、アメリカが先行していますが、日本でもここ1~2年で市場が盛り上がり、お肉の代替食品については、格段に味がよくなっています。代替肉のハンバーグは、お肉の弾力や食感、風味が本物にすごく近づいています。
また、以前は高価なイメージでしたが、価格もこなれてきて気軽に購入しやすくなりました」
無印良品『コオロギせんべい』は入荷待ちの人気
代替食品の中でも今話題なのが、お肉や魚にかわる食材として、“昆虫”を原料にしたもの。たとえばコオロギには、たんぱく質を中心にカルシウムや亜鉛などのミネラルも豊富。
『無印良品』では、昨年、コオロギを粉末状にして生地に練りこんだ『コオロギせんべい』を発売し、大きな反響を呼んだ。現在は1~2か月に1度入荷されるが、品切れが続いている。同社広報によると、店舗に出すとすぐに完売するという売れ行きで、次回の入荷は12月中旬頃だという。
「無印良品の『コオロギせんべい』は、代替食品のおやつの中では大ヒット商品。えびせんよりも淡白な味で食べやすく、コオロギが粉砕されているので見た目には虫だとわかりません。
無印良品をはじめ、代替食品に参入する企業も増えています。以前は食品メーカーが細々と扱っていた印象でしたが、主力商品として扱いはじめています。さらに、代替食をメインで開発・輸入するベンチャー企業も出てきています」
注目の代替食品3選「新ジャンルも登場」
代替食品といえば、お肉のイメージが強いが、新たにツナやお米など新ジャンルも登場して話題に。今、注目の3つをピックアップ!
※価格は税込みです。
1.お米の代替食『ダイズライス』
大豆でできたお米の代替食『ダイズライス』。お米より高たんぱく&低糖質でヘルシー。代替肉として使われることの多い大豆は、いかに豆の風味を消すかが肝だったが、独特な香りは消しつつ旨みや甘味を活かし、ポソポソする食感を改良。プレーンなタイプもあるが、ガパオはナンプラーやバジルが香り、目玉焼きをのせればより本格的。
「ご飯の代替食として一時注目を集めたカリフラワーライスは食感が違いすぎて、習慣にはなりませんでした。でも、これはプチッとした食感が雑穀米のよう。レンジでチンして食べられるのも手軽ですね」
【データ】
商品名:Beanus(ビーナス)ダイズライス ガパオ(165g)
メーカー:フジッコ
価格:500円
https://www.bean-us.jp/shop/g/g013972/
2.魚を使わない植物性のツナ『NEXT ツナ』
今年10月初旬の発売初日に完売した話題の”ツナ”の代替食品。缶詰でおなじみのツナを、マグロやカツオは一切使わず、大豆由来の100%植物性の原料で仕上げた。缶詰なので期間保存でき、非常食にもぴったり。現在入荷待ちで、12月に再入荷予定。販売は公式オンラインショップのみ。
「お肉に比べると、魚は代替食品の開発は遅れていましたが、ついに日本でも食べられるようになりました。魚の養殖も、畜産の飼育と同様に排水などの環境問題があり、乱獲によって資源も減りつつあるので、魚の代替食品は今後普及が期待されるジャンルです」
【データ】
商品名:NEXT ツナ(90g)
メーカー:ネクストミーツ
価格:5缶セット 1950円
https://shop.nextmeats.jp/products/tsunacan?variant=41195645403321
3.乳不使用!植物生まれの『ビオバター』
植物性チーズ代替品の世界的ブランド「Violife(ビオライフ)」が今年9月に日本初上陸、関東地方1都6県で先行発売。植物性チーズの代替品4種類『植物生まれのとろけるスライス チェダータイプ』『植物生まれのとろけるスライス モッツァレラタイプ』『植物生まれのシュレッド チェダータイプ』『植物生まれのクリーミィ』と、乳不使用のバター『植物生まれのビオバター』の5商品をラインナップ。
通常は牛乳が使われるバターだが、ココナッツオイルなどの植物性素材で再現。バターの風味はそのままだが、さっぱりした味わい。溶けやすいのでトーストに塗りやすく、お菓子作りにも向いている。
「乳製品やナッツ類を一切使っていないので、アレルギーがある人も食べやすいですね。クセのない味で、バターの香りと遜色ありません。ややさっぱりしているので、どんな食材とも相性がよさそうです」
【データ】
商品名:Violife(ビオライフ) ビオバター(125g)
輸入メーカー:J-オイルミルズ
価格:300円台(編集部調べ)
https://www.j-oil.com/consumer/product/cp_vl_viobutter.html
教えてくれた人
トレンドウォッチャー・くどうみやこさん
大人世代のライフスタイルからトレンドまで、時流をとらえた独自の視点で世の中を分析。メディア出演や執筆で情報を発信したり、商品プランニングを行うなど、幅広く活躍している。
取材・文/西谷友里加