『緊急取調室』8話 作品観とリンクする主婦たちのチームプレーが熱い、最終話は盛り沢山
天海祐希主演の大人気シリーズ『緊急取調室』第4シーズン(テレビ朝日木曜夜9時〜)。第8話は、アルバイト主婦たちの連帯が熱かった。主婦たちとキントリ班の面々が重なる構成でもあり、最終回に向けて、チームプレーの重要さが胸に迫った。ドラマを愛するイラストレーター・オカヤイヅミが『キントリ』の魅力を絵とテキストで振り返ります(ネタバレを含みます)。
部長(池田成志)は本当は優しい?
ハイジャック犯の大國塔子(桃井かおり)が獄中で死亡した。「急死」としか報道されず、真相を調べたくてたまらないキントリ班の動きを相変わらず刑事部長の北斗(池田成志)が阻んでくる。
物流会社のアルバイト、上原あゆみ(宮澤エマ)が迫ってきた上司・桜田剛(須田邦裕)を押しのけたら落ちた、という事件の捜査がなぜ他に手を回しようがないほどの大仕事かといえば、当日出勤していた従業員とアルバイト全員に事情聴取する必要があるからだ。なんて地味で嫌なタイプの大仕事!
そして北斗部長はさらに、無事に解決したら(大國のことを探らなければ)キントリの解散を撤回してもいい、という釘を差してくるのだけれど、なんとなく、部長は本当に優しいのでは、というはうがった見方過ぎるだろうか。キントリが存続する可能性を作ってしまうのは、いくら口止めのためとはいえ本当に爆弾や黒幕である宮越肇(大谷亮平)の汚職を隠蔽するには不利だという気がするし、宮越と話している時の北斗部長はどうも含みがありそうだ(常に含みがありそうな顔ではあるが)。だいたい、キントリに探るなと言っても探ってしまうだろうって、そろそろ身に染みているだろうし。
もう一人、キントリとの距離感をまだとりかねている山上善春(工藤阿須加)のことも気になる。北斗部長に言われて菱やんを尾行する一方、なんとなく仲間に入りたそうにも見える。元キントリ班メンバーの善さん(大杉漣)の息子である、という設定も物語内でまだ大きくは扱われていない。陰のある山上の側にいてすっかりいい人の渡辺刑事(速水もこみち)をいい先輩のままで居させてあげたい気もする。つまり次のシリーズもあって欲しい、北斗部長も山上くんももうちょっと観たいなーという一視聴者の希望だ。
アルバイト主婦たちとキントリ班が似ている
さて、面倒臭い事件の方はというと、とにかく一人での犯行だと言い張る上原あゆみだったが犯行時刻に監視カメラに映っていなかった他の四人の存在がわかってくる。取り調べ室に呼ばれる四人+上原はキントリ班(と玉ちゃん/塚地無我)にそっくりだ。
実は、被害者の上司は、アルバイト主婦たちを利用して悪事を働かせ、その事実をもって脅迫していた。悪の連鎖を断ち切ろうと殺害計画をたてた主婦仲間たちは、よく見るとどのシーンでも各々決まった色の服を着ている。横一列に並んで颯爽と犯行現場に赴く様はさながら戦隊ヒーローだ。犯行時のアクシデントによって結果的に犯人は上原一人になったわけだが、お互いを思い、それぞれの役目を発揮する様はキントリ班と重なる。
最終回で気になるのは、宮越の元に単独で乗り込んだ菱やんの真意、山上刑事の揺れる心、北斗部長は保身をしつつも正義を忘れていないのか、大國の死の真相、宮越はどんな容疑で、どこまで罪を暴かれるのか。そして、キントリ班は解散してしまうのか。盛り沢山な最終回を楽しみたい。
イラストと文/オカヤイヅミ
漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。趣味は自炊。