「糖質カット炊飯器」の開発・販売する広告代理店 大手メーカーと勝負せずにヒットの秘策
糖質を45%カットできる炊飯器『LOCABO』がクラウドファンディング上で熱烈な支持を集めている。開発したのは、広告代理業を展開する会社。同社がなぜ炊飯器を商品化することになったのか? 理由に迫った──。
開発のきっかけは、代表の食事制限
『LOCABO』を販売するforty-fourは、広告代理店業務を行う会社だ。その会社がなぜ炊飯器を開発することになったのか? きっかけは、同社代表・獅子内善雄さんがステイホームをきっかけに始めた食事制限。「糖質制限をしていたのですが、やはりお米は食べたい。そんなとき、ダイエット仲間でもある知人から、お米の糖質をカットできる炊飯器があると聞いて、さっそく試してみたんです」と獅子内さんは話す。
いろいろ調べ、試してみたものの、米の炊き加減が難しかったり、デザインがいかにも“炊飯器然”としていたりと、獅子内さんが納得できる商品はなかった。ならば、自分が求めるものを自社で作れないかと考えた。
手探りの状態だったが、既存メーカーの炊飯器を分解したり、ラベルを見て工場に直接相談をしながら開発を進めた。その過程で、米の専門家に「どうしたらおいしい米を炊けるか」と相談することもあったが、わかったのは、炊飯の奥深さ。米と炊飯器の研究を長年続け、熾烈な開発競争をしている大手メーカーと勝負したところで勝機はないということだった……。
コンセプトは“2代目の炊飯器”
ならば、肩の力を抜いて、自分が欲しいものについて考え抜いてみた。そんなときに浮かんだのが“2台目炊飯器”というコンセプト。具体的には「お父さんのメタボ体形が気になるから、お父さんだけ糖質カット」「ダイエット期間だけ使いたい」「昨日食べすぎてしまった分、今日は糖質カットで調整したい」など。
・お茶碗1杯分(白米200g)当たりに含まれる糖質を31.1gカット!(一般的な炊飯器は69g、「LOCABO」は37.9g)
・お茶碗1杯分(白米200g)当たりに含まれるカロリーを137.3kcalカット!(一般的な炊飯器は312kcal、「LOCABO」は174.7kcal)
“使いたいときだけ”に最適なデザイン、サイズ感
近年、個人と米の関係性が変化している点に注目して、使いたいときだけあれば便利で、邪魔にならないサイズとデザインのものを追求しようと考えたのだ。もちろん、糖質カットでもご飯がおいしく炊けるというのは大前提で、だ。
「広告代理店という立場でいろいろな商品を見てきた経験を生かし、最低でも10年続くビジネスモデルを構築したいと考え、売り手よし、買い手よし、世間よしの“三方よし”の商品を意識しました。実際に食べていただいたかたから、『これ、糖質カットなの? 普通のご飯と同じ味だね』と言ってもらえるまで、試行錯誤を重ねました」(獅子内さん)
およそ1年半の開発期間を経て、今年7月にクラウドファンディングを実施すると、目標金額30万円に対して約7800万円もの資金を集めることに成功した。同社が掲げたコンセプトが大いに共感を集めた成果だった。その結果、増産体制がかなうこととなり、現在は公式サイトから販売中。今後は量販店での販売も視野に入れているという。
糖質はオフしたいけれど、ご飯は大好き! そんなかたにも試しやすい価格で、まさしく“2台目炊飯器”としての認知が広まりそうだ。
【データ】
一般的な炊飯器は水と一緒に米を炊くため、糖質が米に付着したままだが、蒸し器のような構造で米を炊くことで、糖質を45%カットできる。カラーは白と黒。『LOCABO』2万4000円/電話:0120-12-0149(LOCABO)
※女性セブン2020年9月2日号
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