脳卒中の後遺症と再発予防!日本初の専門トレーニング施設「リハジム」がオープン
片麻痺や言語障害、嚥下困難などの後遺症や再発に苦しむ人の多い脳卒中だが、回復がままならならず、再発を起こす理由のひとつに、適正な時間のリハビリが行われていない点があげられるという。
脳卒中のリハビリ、医療保険内では時間が不足する
脳卒中のリハビリは、訓練した時間に比例して効果が得られることがわかっている。しかし、現行の医療保険下での外来リハビリ訓練では、最高で40分(理学、作業、言語療法毎)と、時間が定められてしまっている。この時間内では、機能回復に十分なリハビリトレーニングを病院で受けることは難しいのが本当のところだ。
脳卒中のリハビリ時間制限を打破するために、この春、東京八王子に開設された訓練施設が「リハジム」である。
「日本初の脳卒中の後遺症を持つ人の専門トレーニング施設」であり、運営する株式会社P3では、脳卒中は再発率が10年で50%と高い確率で報告されているため、再発予防も含めた訓練とサポートを提供するとしている。
エビデンスに基づいたリハビリが効果を発揮する
脳卒中で効果があると言われている治療法は、英国の権威ある雑誌「ランセット」によって「CI療法」と「反復促通療法」のふたつのみと報告されている。
●CI療法:強制的に麻痺側を使わせるもので、4~6時間を要する。
●反復促通療法:電気治療器を使って特定の動きを300~500回繰り返す。
いずれも時間のかかる訓練だが、時間制限のない「リハジム」であれば十分な訓練が可能。また、所属しているセラピストは、すべて反復促通療法のコース修了者であるため安心して訓練を受けることができる。
リハビリの施設とは思えぬような、ベンチプレスやダンベルが設置されており、麻痺の訓練と、定期的な運動を同じ場所で行うことができるのも、「リハジム」の特徴だ。血流を改善するミストサウナも導入されており、今後、血管の状態を測定できる専門の機器の導入予定もあるという。
「リハジム」の開設には、運営会社の代表取締役、中村氏の思いが大きく影響している。
理学療法士として12年間医療介護分野を経験した中村氏だが、脳出血で亡くなった祖母を救えなかった悔しさが背景にある。
エビデンスが乏しくても慣習的な治療法が医療現場に蔓延していること、また効果が認められていても訓練時間に制限があるなど、専門家として現行の脳卒中の訓練に不甲斐なさを感じて「リハジム」の開設に至ったという。
保険適用外だからこそ可能な、柔軟性のある治療法に期待したい。
【データ】
リハジム:http://reha-gym.com
文/鹿住真弓
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