シニアの自宅リフォーム術チェックポイント|住宅改修は定年前にやるべき
高齢者住環境研究所代表の溝口恵二郎さんは、「自宅のリフォームは定年前にやっておくべき」と話す。
「高齢になると荷物の片づけが大変ですし、介護が始まってからでは仮住まいができない可能性もある。体力や判断力がしっかりしている50代後半~60代前半に行うのが最適です」
まず取り組みたいのは毎日使う「風呂場」と「トイレ」。特に風呂場は転倒して溺れたり、ヒートショックで命を落とす危険がある。
「風呂場とトイレは、早めに暖房と手すりをつけて損はありません。反対に廊下や玄関の手すりは元気なうちにつけると、腰が曲がってから高さが合わなくなるといった問題が生じるので、必要になってからでいいでしょう」(溝口さん)
快適な家はまず安全から。
ひんやりした風呂場、ガタついて開けにくいドア、長く伸びた家電のコードなど、些細な問題点が命にかかわる事故につながる危険が潜んでいる。
早速、自宅の危険度をチェック&改善しよう。
【目次】
- チェックポイント【全体】2階は物置にして居住空間を1階に移す
- チェックポイント【全体】玄関・トイレ・風呂場・廊下の段差をなく
- チェックポイント【全体】ドアノブはレバー式にする
- チェックポイント【全体】家電はコードレスを選ぶ
- チェックポイント【全体】床はフローリングにする
- チェックポイント【リビング・寝室】手すり代わりに家具を配置する
- チェックポイント【リビング】ソファは硬めにする
- チェックポイント【水回り】トイレ、脱衣所には赤外線セラミックヒーターを
- チェックポイント【水回り】風呂場1坪、脱衣所1坪、トイレ0.5坪の広さを確保
- チェックポイント【玄関】ドアは引き戸にする
- チェックポイント【廊下】手すりは後で。まずは下地の壁を仕込む
- 教えてくれた人
→介護リフォーム(住宅改修)前に検討しておきたい4つのポイント
チェックポイント【全体】2階は物置にして居住空間を1階に移す
高齢になるほど階段は転倒リスクを高めるので、利用せず済むようにしたい。吹き抜けにするという改築も人気だが、費用が数百万円もかかるうえエアコンの効きが悪くなるといった難点がある。
チェックポイント【全体】玄関・トイレ・風呂場・廊下の段差をなく
最も起こりやすいのが、室内での転倒。骨折により介護が必要になるケースは多い。屋外のスロープは車いすが必要になってからでも構わないが、室内の敷居をなくしてバリアフ リーにするほか、段差の大きい場所には踏み台を置くようにしたい。
チェックポイント【全体】ドアノブはレバー式にする
球状のノブは握力が弱くなると回しにくい。レバー式ならリウマチで関節が曲がりにくくても、こぶしでドアを開けられる。同様に、蛇口もレバー式にしておくといい。
チェックポイント【全体】家電はコードレスを選ぶ
コードにつまずきやすいので、家電はなるべくコードレスにしたい。また、動き回るロボット型掃除機もつまずく危険性があるので、避けた方がベター。リフォーム時には家電とコンセントの配置を考慮して。
チェックポイント【全体】床はフローリングにする
足を引きずるようになると、畳やカーペットは引っかかりやすくなるのでフローリングが安心だ。滑りやすさが心配な場合、必要な場所だけラグやマットを敷くといい。
チェックポイント【リビング・寝室】手すり代わりに家具を配置する
手すりを設置しなくても、出入口のそばやベッドの近くなど、歩くときや立ち上がるときにつかまりやすい場所に家具を置くことで、手すりの代わりにできる。家具が転倒しないよう、しっかり固定することを忘れずに。
チェックポイント【リビング】ソファは硬めにする
座った状態から立ち上がるときに腰を痛めやすい。体が沈み込むような柔らかいソファや、座いすを愛用している場合は、座面が硬めで高さのあるソファに交換を。
チェックポイント【水回り】トイレ、脱衣所には赤外線セラミックヒーターを
ヒートショック予防のため、風呂場も含め、水回りにはすべて暖房をつけたい。脱衣所とトレイは温風暖房を内蔵するよりも、遠赤外線セラミックヒーターを置く方が瞬間的に暖まるのでおすすめだ。
チェックポイント【水回り】風呂場1坪、脱衣所1坪、トイレ0.5坪の広さを確保
水回りは広めにし、横一列につなげて配置しておくと、車いすや介助者の移動がスムーズに。また、夜間の危険を最小限にするため、寝室とトイレは最短ルートにしたい。
チェックポイント【玄関】ドアは引き戸にする
片開きのドアは足元がふらつく人には開けづらく、転倒する危険性が高い。引き戸なら握力が弱くても開けやすく、ドア幅を80cm以上にしておけば、車いすになってからもゆとりを持って出入りできる。
チェックポイント【廊下】手すりは後で。まずは下地の壁を仕込む
手すりを固定するビスを打ち込むためには、壁の裏側に補強用の木の板(下地)が必要になる。前もって工事しておけばホームセンターで買った手すりを自分でつけることも可能だ。壁の表に補強板をつける方法もあるが、廊下が狭くなるというデメリットが。
教えてくれた人
溝口恵二郎さん/高齢者住環境研究所代表
※女性セブン2020年3月26日・4月2日号
https://josei7.com/
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