朝の入浴は要注意!交感神経が優位になって血圧が変動しやすい
元プロ野球選手の野村克也さん(享年84)が、自宅の湯船で亡くなっているのが見つかったのは2月11日のこと。死因は「ヒートショック」だったとみられている。ヒートショックは急激な温度変化により、血圧が急上昇することで起こる。
→入浴中の心肺機能停止で助かる可能性は1%
お風呂と健康の関係を医学的に研究している医師で、東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉さんは言う。
「寒い脱衣所で服を脱ぐと、血圧が30~40ほど上がり、それからすぐに熱い湯船につかることで、血圧はさらに10~20ほど上昇します。短時間の間に血圧は一気に50も上がってしまうわけです。中高年になると血管の動脈硬化が進んでいる人は多く、大きな危険を伴います。急激な血圧の上昇によって頭の中の血管が切れれば脳出血、血管が詰まれば脳梗塞。心臓に負荷がかかることで、心筋梗塞や心不全も起こり得ます」
朝の入浴はヒートショックの危険度が増す
ヒートショックは夜間に発生することが多いが、これは夜に入浴する人が多いから。実は最も危険な時間帯は「朝」だという。
寝ている間はリラックスしているときに働く副交感神経が優位な状態にあるが、朝になると日中に活動するために交感神経が優位の状態にスイッチが切り替わる。血圧が大きく変動しやすい時間帯なので、そのタイミングで入浴するとより危険度が増すといわれている。
ヒートショックを防ぐためには、温度変化を小さくすることがポイントだ。
寒い時期には脱衣所をあらかじめ暖め、リビングとの室温差を5℃以内にする。浴室内も浴槽にお湯を張るときに蓋を外して湯張りをし、さらに熱いシャワーを床にかければ室温を上げておくことができる。足元から充分にかけ湯を行うことも忘れてはいけない。
「安全面でいえば、お湯の温度は40℃がいい。高くても41℃までにしておくことで、湯船につかったときの急激な血圧上昇を抑えることができます」(前出・早坂さん)
3月とはいえ、朝晩の冷え込みも厳しい時期。ヒートショックには充分気をつけたい。
教えてくれた人
早坂信哉さん/医師。東京都市大学人間科学部教授。お風呂と健康の関係を医学的に研究している。
※女性セブン2020年3月19日号
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