新型コロナ対策に最新の腸活|みそ汁は「朝」、肉より「魚」
新型コロナウイルスの拡大で全国小中学校の休校が要請されるなど、その勢いは増すばかり。特効薬のない脅威のウイルスに感染しないために重要な免疫力を高めるには、「食べ方」「何を食べるかが」重要だという。新型コロナウイルスを防ぐ具体策を専門家に聞いた。
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新型コロナ対策に免疫力高める食べ方とは?
「実は免疫力の7割を腸が司っている」と話すのは、日本養腸セラピー協会会長の真野わかさんだ。食事で充分な栄養を摂ることは非常に重要だが、“食べすぎ”は免疫力の大敵だ。
「過食は腸を疲れさせ、免疫力の低下につながります。食べ物が腸に入っていない時間をつくることが必要。その間に腸は休息し、消化酵素の分泌を抑えることができ、全身の代謝やメンテナンスに力を注ぐことができる。暴飲暴食を繰り返したり、油っこいものをたくさん食べたりしていると、腸が疲れ切ってしまい、免疫力が下がります」(真野さん)
胃腸が休まる暇がないくらいに間食したり、夜眠る直前に食べるのも御法度。また、むやみに冷たいものを食べるのも避けるべきだ。
「免疫細胞が活発に働きやすいのは37℃以上。“体温を上げると病気になりにくい”といわれているのはそのためであり、腸を温かく保つことで免疫力が高まります。そのため、冷たいものを食べると腸が冷えて免疫細胞の働きが鈍ります」(真野さん)
温かく保つことに加えて、腸内環境を良好なものに保つことも重要だ。腸には100兆個もの腸内細菌が生息しており、大きく分けて「善玉菌」と「悪玉菌」、そしてそのどちらか多い方に加勢する「日和見(ひよりみ)菌」の3種類がある。腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすことが、腸内環境を整え、免疫力を高めることにつながるのだ。
秋葉原駅クリニック医師の佐々木欧(おう)さんはヨーグルトを推奨する。
「腸内環境を整えるには、ヨーグルトなど善玉菌を多く含む発酵食品を積極的に摂ること。併せて食事のなかで、善玉菌の餌になるオリゴ糖や水溶性の食物繊維を積極的に摂るのがおすすめです」
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朝のみそ汁で体温も免疫力もアップ
水溶性食物繊維は海藻、果物、ごぼうなどの根菜類に多く含まれている。一方、豆類やきのこ類に含まれる不水溶性食物繊維も、便通の改善に役立ち、腸内環境を整えるうえで一役買っているという。
「加えて、これらの具材でみそ汁を作って飲むのもいい。疲労回復効果のあるビタミンB1が豊富な豚肉を入れて、豚汁にするのもいいでしょう」(佐々木さん)
真野さんもみそ汁に注目する1人。
「みそは大豆に塩と麹を加えた発酵食品。大豆そのものを食べるより消化吸収性に優れ、免疫力を高めるといわれています。原材料は大豆なので、食物繊維も豊富で、発酵することで栄養価もさらにアップします。ただし、みそは煮立つと麹菌の活動が止まってしまいます。みそをとく前に火を止めましょう」(真野さん)
今津さんも体温を上げる観点から、「朝のみそ汁」を推奨する。
「体を温めれば血流がよくなり、内臓の機能も上がって、免疫力も高まります。24時間の中で体温がもっとも下がっているのが朝。朝に温かいみそ汁を飲めば、体が温まって元気が出る。具だくさんのスープもいいでしょう。朝は胃がもたれるという人は白湯(さゆ)でも差し支えないですが、具が入っていれば体の温め効果がより、長く続きます」(今津さん)
健康のために、起き抜けにコップ1杯の水を飲む人もいる。水分補給の点ではいい習慣といえるが免疫力アップのために“体を温める”という観点からは注意が必要だ。
「夏なら常温でもかまいませんが、冬の水道水は冷蔵庫の温度より冷たいこともある。10℃の冷水を180ml飲むと、15分以上体が冷えたままになってしまうという研究データもある」(今津さん)
免疫力上げるなら肉より「魚」に軍配
「肉を食べてパワーをつける」とよくいわれるが、免疫力を上げるという一点においては肉より魚に軍配が上がる。
「魚のいる海中は水温が低いので、魚の油は低い温度でもとけやすい。一方、お肉の脂身は焼いても残っているので、体にとっては分解するのが大変です。特に中高年には負担が大きい。よく“長寿の秘訣は肉”と言う人がいますが、それはその人の内臓が人一倍健康だから肉が食べられるというだけの話で、万人向けとはいえません」(真野さん)
加えて、洋食と和食ならば和食の方がより効果的。
「洋食はどうしても食物繊維が不足しがちになるため、腸の健康のためにはあまりよくない。食生活を全て変えようと思わず、週に数回とか、週末だけは和食にしてみそ汁を飲むとか、海藻を食べるとか、できそうなことを心がけると、腸にいいし、免疫力アップにもつながります」(真野さん)
体温UPに「葛根湯」、ウイルス感染抑制に「麻黄湯」
新型コロナウイルスは特効薬がないことも大きな問題の1つ。もし、体の不調を感じたら、漢方を使って免疫力を高めて不調に対峙する方法もある。
「葛根湯は体温を上げて発汗を促します。それだけでなく、シンナミル化合物という成分が、免疫細胞の活性化に重要な働きをするサイトカインの産生を調整し、解熱作用と抗ウイルス作用を促す。ウイルスの増殖を抑えてくれるのです。同じくかぜの初期症状に効くといわれる麻黄湯(まおうとう)にも、生薬の麻黄と桂皮(けいひ)にウイルス感染に対する抑制効果があり、サイトカインの産生にも役立ちます」(星子さん)
ただし、“予防”という点では、漢方に頼るよりも、食事を重視する方がいいそう。 「漢方は予防のためではなく、ちょっと悪寒がするとか、不調を感じたとき、免疫力を高めてくれるものとして位置づけてください」(星子さん)
教えてくれた人
真野わかさん/日本養腸セラピー協会会長、佐々木欧さん/秋葉原駅クリニック・医師、今津嘉宏さん/芝大門いまづクリニック院長、星子尚美さん/星子クリニック院長
※女性セブン2020年3月12日号
https://josei7.com/