ペットと暮らせるなど“自分らしく生きる”ための高齢者ホーム最新事情|専門家が太鼓判
アクティブシニアの増加、技術の進化、暮らしの多様化など、時代と共に高齢者ホームはますます多種多様に進化中です。介護のプロがさまざまな視点から、施設選びのポイントや注意点などをアドバイス。注目トピックで最新事情を紹介します!
【データ】の見方
施設名/所在地/電話番号/入居一時金/月額費用/施設分類、の順に記載。
「入居一時金」「月額費用」は特記があるもの以外、80才の人が一般または介護居室に1人で入居した場合の金額です。管理費、食費、光熱費など、月額料金に含まれる費用は施設によって異なります。また、入居一時金と月額費用は基本的にそれぞれ最低金額から表記しており、多くの施設では“入居一時金が低いほど、月額費用は高額”となります。
“人生のゴール”から“通過点”としての住まいへ
かつての高齢者ホームといえば介護や医療が充実した場所、というイメージだった。しかし最近では“健康で自立”していながらホームに入居する人が増えている。
「かつてのように“最後まで住める”安心より、“今を快適に楽しく暮らす”ことに重点を置く人が増加し、高齢者ホームもそうしたニーズに応えるものが増えてきています」(シニアの暮らし研究所・岡本弘子さん)。
女性の年金でも暮らせる手頃な価格帯の“分散型サービス付き高齢者向け住宅”や、飼い犬や猫と暮らせるホームなど、ライフスタイルを大きく変えずに過ごせる住まいの需要が高まっているのだ。
高齢者ホームのキホン
【自立型】自由にアクティブに暮らす
入居時に自立生活ができるシニアをメインとした「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」など。
【介護型】安心安全なサポート付き
介護が必要な人向け。「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」など。要介護度によって選ぶ必要がある。
大好きなペット(家族)と一緒に暮らす幸せ
最後まで家族と共に過ごしたいと願う人の増加や、認知症改善効果への期待などから、ペットと住める高齢者施設が急増。大阪・玉造にある日本初のペット共生型有料老人ホーム「ペピイ・ハッピープレイス TAMATSUKURI」は、犬や猫と暮らしやすい設備が盛りだくさん。入居時のしつけ相談から、万が一ペットが残されてしまっても施設に面倒をみてもらえるので安心して暮らせる。
母娘で入居している米田初江さん(64)の愛犬の星夜くん(3)は末乃さん(87)の良き話し相手に。
「“星夜がいるから寂しくないね”って母も嬉しそうです」
と語る。
入居できる動物は犬(30kgまで)、猫、鳥、うさぎなど。犬はリードをつけていれば館内どこでも散歩OK。部屋にはキャットウォークが備えられたりと、動物が住みやすい環境に。プレイルームや屋上にはドッグランも。
館内には犬の保育園が併設され、ホームで暮らす愛犬を預かってもらえる。敷地内には動物病院やトリミンサロン、動物OKのカフェも。もちろん、スタッフはみんな動物好きです!
【データ】
ペピイ・ハッピープレイス TAMATSUKURI/(住)大阪府大阪市東成区中道3-8-21/(電)0120・011・179/(入)1518万円~ (月)15万5000円~(食費、光熱費は別途)/自立型
見守りライブカメラで離れて暮らす家族も安心
ホームで暮らす親が元気でいるか…いつでも会いに行けるわけではないから、遠く離れた家族がスマホやパソコンでチェックできるサービスも登場。 ライブカメラが設置された東京・目白の介護付き有料老人ホームには、介護看護スタッフが24時間365日常駐し、協力病院も近隣に5件と心強い。
理学療法士や作業療法士を常勤配置し、各種リハビリも手厚く受けられる。
【データ】
グレースメイト目白/(住)東京都豊島区南長崎1-19-12/(電)03・5983・7700 /(入)1290万円~/(月)26万円~(前払金プランAの場合、別途料金プランあり)/介護型
自由に暮らせる“分散型”が大人気
まだまだ元気だけど一人暮らしはちょっと不安…そんな自立するアクティブシニアに人気なのが「分散型サービス付き高齢者向け住宅」。団地など集合住宅に点在する“空き家”を活用。子育て世代や若い世代と“共に住まう”環境にありながら、医療や介護サービスと連携した安心も得られる新たなスタイルで要注目。
集合住宅に点在する空室をバリアフリーに改修し、サービス付きの高齢者向け住宅に。1棟丸ごと高齢者向けの住宅と違って、地域に溶け込んだ暮らしができると好評だ。
【データ】
ゆいま~る神南/(住)愛知県名古屋市港区木場町6-18 /(電)0120・812・560/(入)12万6000円~ (月)9万8000円~(食費、光熱費は別途)/自立型
今年オープンの『ゆいま~る』シリーズ
『ゆいま~る都留』は約33平米で家賃2万6000円からとリーズナブル。都留市と連携し、補助金によって家賃を安く抑えられることで、リタイア後の住まいに選ぶ人も急増。入居者の6割以上が関東からの転居者だ。
教えてくれたのは
●シニアの暮らし研究所・岡本弘子さん
これまで1万件以上の高齢者住宅の入居相談に対応。新聞や雑誌などの取材をはじめ、年200回以上の高齢者住宅セミナーも行う。
●高齢者住宅アドバイザー・米沢なな子さん
2003年高齢者住宅への住み替え相談専門の『高齢者住宅情報センター』を立ち上げる。高齢者住宅関連の執筆やセミナーなど多数。
●有料老人ホーム情報館・安藤滉邦さん
首都圏を中心に全国20か所で有料老人ホーム、介護ホームの無料入居相談を行う。相続など幅広い相談も受けている。
●有料老人ホーム紹介センター・あいらいふ入居相談室
首都圏5000件以上の有料老人ホーム情報を持ち、年間8000件以上の無料相談に対応する。
撮影/菅井淳子、平林直己 イラスト/秋野純子
※女性セブン2019年11月7・14日号
●住環境が充実!介護のプロが選ぶ【女性が満足する高齢者ホーム】