子供のいない漫画家夫婦「自由だから好きな場所で死ねる」
漫画家の堀田夫妻。妻のかよさん(55才)が原作、あきおさん(61才)が漫画を担当。主な著書に『 親の介護、はじまりました。(本当にあった笑える話)』(ぶんか社)がある。
13年前から、妻・かよさんの母親(80才)を遠距離介護してきた。入退院を繰り返した後、約1年前に特別養護老人ホームに入居。少し肩の荷が下りたと思った矢先、今度は父親が要支援2に。
老いていく両親を見て思う、自分たちの終の住みか、そして老後の暮らし方について語ってくれた。
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元気なうちに家をリフォーム
「父は自力で歩くのも大変なのに要支援2なんです。だから、介護保険が使えず、実家のリフォーム費用が出ないんです。老いたら手すりがないとトイレにも行くのも一苦労なのに…。
そんな父の姿を見て、私たち夫婦も考え直したんです。元気なうちに夫にDIYで、自宅の階段に手すりをつけてもらい、生活スペースを1階に集約させました」(かよさん)
持ち家である戸建てのリフォームは動けるうちに済ませたものの、問題は、誰が自分たちの介護をするか。
子供がいないからこそ、死に場所は気楽に考える
堀田夫妻には子供がいないため、どちらかに先立たれた時、介護してくれる身内がいないのだ。頭がしっかりしているうちに手を打っておかなければならないと焦りを感じる半面、子供がいないからこそ、逆に気楽な部分もあると言う。
「親を施設に入れて思ったのは、施設は介護する子供側の負担を軽減するためにあるんだということ。私たちは子供がいない分、逆に施設に入る必要はないのかなと…。極端な話、老後は大好きなインドに行って、そこで死んでしまっても構わない。残されて迷惑を被る人がいないんですから」(かよさん)
夫のあきおさんも、死に場所に興味はないとうなずく。
「死ぬ場所は結果論。計画してもその通りに行かないもの。だったら、どんな死に方をしても後悔しないように、今を一生懸命生きていた方がいい」(あきおさん)
とはいえ、死後の手続きをしてくれるNPO法人との契約も視野に入れているという。
死に場所を決めずに生きる、という選択肢もありかもしれない。
終の住みかへの備え3つのポイント
【1】動ける今のうちに、階段に手すりをつけ、生活スペースを1階に集約。自宅のバリアフリー化を進める。
【2】葬儀など死後の始末をしてくれるNPO法人に、生前契約をすることも視野に入れておく。
【3】どこで死んでも後悔がないように、今を生ききる。
※女性セブン2017年11月9日号
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