うつや認知症の予防にも!「腸活」で病気のリスクを減らす
人間の健康において重要な役割をするといわれる「腸」。便秘を解消し、免疫力を高め、病気のリスクを減らすために、腸を健康にする「腸活」もブームとなっている。
腸内環境の悪化ががんの原因になることも
たしかに、腸内環境の悪化は、重篤な病気を引き起こす可能性もある。例えば、女性の14人に1人がかかるといわれている大腸がんもその1つ。便秘外来の名医でもある順天堂大学医学部の小林弘幸教授が解説する。
「腸内環境が悪化すると悪玉菌が増え、硫化水素やアンモニアなどの毒素を出して、腸の粘膜に炎症を起こしてしまう。その慢性的な炎症が、大腸がんにつながることがあります」
さらに、「腸内環境の悪化は、乳がん、肺がんなど、あらゆるがんの原因になる可能性がある」と言うのは秋津医院の秋津壽男院長だ。
「腸活で腸内環境を改善すれば、免疫力が高まります。その結果、NK細胞と呼ばれる、がんに対抗できる免疫細胞が活発になるといわれています。体内では毎日のように、発症する前のごく小さながんの芽が作られています。しかし、腸内環境が改善されれば、NK細胞が活性化し、それらが体内をパトロールして、がんになる前に退治してくれているのです」
腸内環境を改善すると幸せホルモンが出る
また、一見すると腸とは関係ない病気も、腸活で改善が見込めるという。その一例がうつ病だ。“幸せホルモン”と呼ばれ、精神を安定させる脳内物質「セロトニン」の不足が原因の一端とされるうつ病だが、腸内環境も大きくかかわっていると、前出の秋津院長は指摘する。
「緊張しているとお腹が痛くなったりするように、脳と腸の動きには深い関係があり、腸内環境がよくなると、セロトニンの分泌が増えることもわかっています。つまり、腸活でうつ病が改善する可能性があるのです」
腸活は認知症の予防にも期待が
認知症も同様である。東京大学の光岡知足名誉教授らのグループが行った研究によれば、健康な高齢者と比べ、認知症の高齢者の腸内には悪玉菌が多く、逆に善玉菌は少なかった。腸活はこの善玉菌を増やす効果があるので、認知症の予防にも期待が持てるのだ。
さらに「夏こそ腸活をした方がいい」と小林教授。
「夏は暑さで脱水症状から便秘になりやすいうえ、蒸し暑い外気とエアコンで冷えた室内の気温差が激しく、腸をコントロールする自律神経も影響を受けやすい。また、お盆休みは生活も乱れ、腸内環境が悪くなりがちです。そんな夏こそ腸活をして、健康で美しい腸を保つことが大切なのです」
また、この時期に気をつけたい熱中症の原因は、自律神経の乱れにより体温調整がうまくいかなくなること。つまり、腸活によって腸内の自律神経の状態を良好にすれば熱中症も防げるという。万病を遠ざけるうえ、この季節にぴったりと聞けばやるしかない。
※女性セブン2017年8月24・31日号
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