《その胃もたれ、海藻や降圧剤のせいかも?》体にいいはずの食材と常用薬の注意点 医師が教える「胃を守る」食べ方と新習慣
食事、消化、吸収、排泄という人の基本的営みを担う「内臓」は年齢とともに機能が低下しやすく、がんの罹患リスクも高まっていく。だが、日々の生活習慣で各臓器の老化をくい止め、機能を改善することはできる。そこで、胃を守り、復活させる方法を医師に聞いた。
ゴボウ、キノコ、タケノコは負担大
普段の食事に密接に関係する胃の機能低下は生活の質(QOL)に直結する。
「胃粘膜の働きが弱まることで消化する力が低下し、胃もたれや吐き気、食欲不振に繋がります。また、傷ついた胃粘膜を修復する力が衰えると慢性胃炎のリスクも高まります」
そう話すのは、『「胃」を整えると自然と「不安」が消えていく』の著者で国際医療福祉大学病院内科学教授の一石英一郎医師だ。
胃の機能維持、改善のためには「まず食事の摂り方を見直す必要がある」と一石医師。気をつけたいのは、健康食のイメージが強いものの、実は胃に負担をかける食材があることだ。
「ゴボウ、タケノコには硬い繊維質があり、消化されにくく胃の中で長くとどまることがある。細かく切る、柔らかく煮る、スープにするといった調理の工夫が大切です。海藻類やきのこなども消化に時間がかかり、胃に残りやすい。特にワカメやヒジキなどの海藻類は胃の粘膜にへばりつくように残ることがある。これらも細かく切り、少量ずつよく噛んで食べることを意識しましょう」(一石医師。以下「 」内同じ)
玄米や雑穀も消化に時間を要して胃もたれにつながることがあるので、体調に合わせて取り入れるのが得策だという。
注意すべきお酒もある。
「赤ワインはその苦みや渋みが胃酸や胃粘膜と相性が悪く、胃もたれや胸やけ、食欲不振の原因になることがあります。これらは軽く見られがちな症状ですが、60代以降の男性は胃からの出血が関係していることもあるため、放置せず受診を検討する必要があります」
一方、胃を守るために積極的に摂りたいのが、カボチャなどの緑黄色野菜。一石医師によれば、βカロテンやカロテノイドの血中濃度が高い人ほど、萎縮性胃炎の度合いが低くなるという研究データがあるという。
また、冷たいものと温かいものを交互に食べる「温冷交互食」も効果的だと一石医師は言う。
「フランス料理や京懐石のように、温かいものと冷たいものを交互に摂ると胃腸にリズムができて動きが活発になります。逆に冷たいものばかり、熱いものばかりに偏るのはできるだけ避けるべき。とくに熱いものを流し込む習慣は食道への負担を増やすことにもつながり、食道がんのリスクも高まります」
降圧剤で胃酸逆流リスク
薬にも注意が必要だ。年齢とともに持病が重なり、服用薬も増えやすくなるが、そのなかには胃にダメージを与えるものもあるという。
「ロキソニンなどNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の痛み止め薬は胃粘膜に負担をかけ、食欲不振など胃の不調を招く可能性がある。アスピリンも昔に比べれば低用量化などの工夫がされていますが、やはり胃粘膜の防御力を低下させ、潰瘍や消化器出血を引き起こすリスクがあります」
さらに血管を広げるタイプの降圧剤「カルシウム拮抗薬」は下部食道括約筋をゆるめ、胃酸が逆流しやすくなって胃もたれや胸やけを招く場合があるという。
「胃の調子が悪いという人は、念のためお薬手帳で服用薬を確認し、胃に負担をかける薬を飲んでいないか確認しましょう。薬との関係が気になる場合は消化器内科に相談することも大切です」
さらに胃の病気と深く関連するのが、ヘリコバクター・ピロリ菌である。
「昔から『慢性胃炎』と呼ばれていた胃の不調には、ピロリ菌が関わっているケースが多い。ピロリ菌がいると慢性胃炎が長引き、それが胃がんにつながることがあります。実際、日本人の胃がんの9割以上はピロリ菌感染であると考えられています。ピロリ菌の検査を受け、陽性であれば必ず除菌しましょう」
ただし、一度除菌しても胃がんのリスクがゼロになるわけではない。
「除菌してから10年以上経過して胃がんが見つかることもあり、胃粘膜の萎縮が強かった人ほどリスクが高いので、1~2年に1回は胃内視鏡検査を受けることが望ましいと言えます」
◆教えてくれた人:国際医療福祉大学病院内科学教授・一石英一郎医師
※週刊ポスト2026年9月18日号
