【介護破産を防ぐ】「親の介護で離職」はNG! FPが教える“仕事を辞めずに両立する”実践テクと公的制度の活用法
さまざまな場面でお金がかかり、かつ長期に及ぶことも多い「介護」は、時に破産の原因となることもある。節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは、介護破産をしないためには、まずは仕事をやめないことと、そのために準備をすることが大切だと話す。具体的にどういうことをすればいいか、詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。
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介護サービスを活用して働きながら介護をする
介護の負担の大きさから、一旦仕事をやめて介護に専念しようと考える人もいますが、介護はいつまで続くか予測つきにくく、かつ想像以上にお金もかかるため、できるだけ仕事は辞めないことをおすすめします。
収入がなくなってしまうと、親の年金では生活費や介護費用を賄えない場合に自身の貯蓄や資産を取り崩して介護をすることになり、将来的に生活破綻を招くリスクが高まります。また、介護が終わったあとに、再就職先を探しても、ブランクや年齢の壁から希望通りの仕事がなかなか見つからないケースも少なくありません。
仕事と介護の両立は心身ともに大きな負担を伴いますが、ケアマネジャーに相談してデイサービスやショートステイなどの介護サービスを上手に組み合わせ、自分一人で抱え込まずに負担を分散しながら仕事と介護を続けることを意識しましょう。
介護が始まったら介護休業を申請して準備をする
親の介護が必要になったらまず、介護休業を申請して体制づくりの準備をしましょう。介護休業は対象となる家族1人につき、通算93日、3回まで分割して取得できる制度です。休業中は雇用保険から賃金の67%相当の介護休業給付金が支給されます。
この休業制度は、自分が介護に専念するための時間ではなく、働きながら介護を続けられるように環境を整えるための期間です。介護保険の申請、ケアマネジャーへの相談、施設探しや自宅をバリアフリーにリフォームするといった、時間と手間のかかる準備をこの期間に終わらせ、復職後にかかる負担を減らしておきましょう。
介護の準備にかかる費用も介護保険を活用する
介護保険は、デイサービスなどの日帰りの介護や生活支援だけでなく、介護のための自宅の住宅改修(バリアフリーリフォーム)や福祉用具のレンタル・購入費用の補助にも使えます。また、自治体によっては、独自の補助金などもあります。介護は長くお金がかかり続けるものだからこそ、利用できる公的制度や自治体の窓口をしっかりと調べて、なるべく初期費用や負担を上手に削減しましょう。
施設を利用する場合は事前にシミュレーションをする
介護施設への入所を検討する際は、親の年金や現在の蓄え、年金以外の収入などで費用を無理なく賄えるかなど、長期的なマネープランをシミュレーションしておきましょう。
また注意すべきなのが、要介護者の介護度の変化や入院による施設変更のリスクです。要介護度や心身の状態に応じて入所可能な施設は異なるため、一度入所したからといって、ずっと同じ施設に入り続けられるとは限りません。たとえば、老健(介護老人保健施設)のように在宅復帰を目的として一時的な利用を前提とする施設もあるほか、民間の有料老人ホームなどでも、医療依存度が高くなったり長期入院を余儀なくされたりした場合に、そのまま同じ場所に住み続けられなくなるケースがあります。
長期的に無理なく利用できるかを確認するとともに、万が一途中で退所しなければならない場合は、その後どのように対応するのかなど、事前にケアマネジャー等に相談しながら想定しておくことが大切です。
単発の用事は介護休暇や有給休暇で対応
通院の付き添いや急に親の世話が発生した場合などは介護休暇や有給休暇をうまく活用しましょう。介護休暇は要介護状態の家族1人につき、年に5日まで(2人以上なら10日まで)取得できる制度です。法律上は原則として無給(企業による)とされていますが、会社独自の福利厚生として有給扱いになっている場合もあるので、事前に就業規則は必ず確認しましょう。
介護休暇が無給である場合、有給休暇の残り日数に余裕があれば有給休暇から利用し、少ない場合は介護休暇を利用するなど状況に合わせて使い分けるのがおすすめです。
民間サービスの使い過ぎには注意
民間の介護サービスは、介護保険適用のサービスと比べて柔軟な対応が望めるのが魅力で、働きながら介護をする際の強い味方ですが、費用が全額自己負担で高額になりやすい点には注意が必要です。仕事と介護の両立は大変ですが、すべてをお金や外部サービスに頼るのではなく、自分でできることは自分で行い、他の家族や親族にも協力を仰ぐなど役割分担をすることが大切です。
介護費用が高額になってきたら世帯分離という手もある
要介護度が上がり、介護費用や施設の費用が高額になってきたら、世帯分離も検討してみましょう。世帯分離は、同居したまま住民票上の世帯を分ける手続きです。介護保険サービスの自己負担上限額や施設利用時の食費・住居費(負担限度額)は世帯の所得に基づいて決まるため、世帯分離をして、親側の世帯収入を下げることで自己負担額やトータルの費用を減らせる場合があります。
ただし、世帯分離をすると、これまで扶養していた側の会社の扶養手当や家族手当の支給要件から外れたり、高額療養費の世帯合算ができなくなって、医療費の自己負担が増えたりなどのデメリットが生じるリスクもあります。世帯分離で金銭的なメリットが大きくなるかどうかは世帯の収入状況によって異なるため、まずはケアマネジャーやお住まいの自治体の窓口に必ず相談してみましょう。
介護が始まる前に親の資産なども把握しておくこと
介護破産をしないためには、介護が始まる前の準備も大切です。いざ介護が始まってから、介護費用に余裕が無く、十分な介護サービスを使えないということにならないよう、介護が始まる前から親の資産や年金、保険などを把握しておき、どのくらいの金額を介護に使えそうなのかを整理しておきましょう。
生命保険の特約に介護保障や認知症保障がついている場合もあるため、親が保険に入っている場合は、使えそうな保障がないかもしっかり見ておくのがおすすめです。
また、認知症の症状が進むと、本人名義の預金口座が銀行で凍結され、引き出しや施設費用の支払いが一時的にできなくなるといったトラブルが起こり得ます。任意後見制度や家族信託などの対策を採っておくことで対処できますが、これらは本人の判断能力がある(認知症になる前)に手続きする必要があるので、元気なうちに早めに対応しておくことをおすすめします。
取材・文/新藤まつり
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