ズキッとする首の痛みは筋肉が原因? 整形外科医が教える「1日30秒の胸鎖乳突筋つまみ」でほぐす首のセルフケア
寝違えたような痛みや動かすときだけ発生する痛み、こっているような重さなど、首の悩みは人それぞれだが、『首の痛み・コリ・しびれ 自力でできるリセット法』(アスコム)を上梓した整形外科専門医の吉原潔さんは、首の痛みの原因の多くは「筋肉」と話す。筋肉が原因である場合の主な症状と、おすすめのセルフケアについて教えてもらった。
ズキッと痛むなら筋肉由来の痛みの可能性
吉原さんによると、首の痛みの原因として最も多いのは「筋肉」だという。ズキッとした痛みや重だるい感覚、首が張るなどの症状の場合は、筋肉や筋膜に由来しており、いわゆる「寝違え」も筋肉や筋膜が原因の痛みだ。
「長時間の同じ姿勢(デスクワークやスマートフォン操作)、冷え、疲労の蓄積、睡眠不足やストレス。実は、こんな日常によくあることが重なると、首の筋肉が過度に緊張し、筋膜の滑りが悪くなります。すると、血流が低下し、筋肉や筋膜の動きが悪くなり、痛みを感じやすい状態になってしまうのです」(吉原さん・以下同)
首の痛みに関係するのは主に5つの筋肉
首の痛みに影響するのは主に、肩から首にかけて広がる大きな筋肉である「僧帽筋(そうぼうきん)」、首の後ろ側にある「頸板状筋(けいばんじょうきん)」や「頭板状筋(とうばんじょうきん)」、肩甲骨の内側上部から首の横にかけて広がる「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」、耳の後ろから鎖骨・胸骨に向かって走っている「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」の5つ。
これらの筋肉に共通するのは、いずれも日常の動作や姿勢の癖、精神的な緊張によってこわばりやすいということだ。こわばることで血流が低下し、痛みの原因となるコリが生じる。
「ただ、幸いなことに、このタイプの痛みは、ストレッチや温熱療法、姿勢の見直しなどで改善することが多いのが特徴です」
しびれがある場合は神経が関係している可能性がある
首の痛みの原因の多くは筋肉。筋肉由来の痛みの場合、腕や指にしびれが出ることは一般的ではなく、もししびれや電気が走るような痛みがある場合は神経が関係している可能性があるという。
「思い当たる場合は、まず整形外科を受診しましょう。画像検査(レントゲンやMRIなど)で、神経の圧迫があるかを確かめることが重要です」
筋肉由来の痛みのケアには「胸鎖乳突筋つまみ」がおすすめ
筋肉由来の痛みの場合、定期的なセルフケアが不調改善につながる。吉原さんがすすめているセルフケアが、首の痛みの原因となる筋肉のひとつである「胸鎖乳突筋」をつまむ「胸鎖乳突筋つまみ」だ。
「胸鎖乳突筋つまみは、特別な道具を使う必要がなく、その場で手軽に行えます。体への負担も比較的少ないため、幅広い年代の方が安心して取り組める点も大きなメリットです」
片側30秒もみほぐすだけの「胸鎖乳突筋つまみ」のやり方
《胸鎖乳突筋つまみのやり方》
【1】鏡を見ながら横を向く。耳の下から鎖骨にかけて浮き出る、縦に走る「胸鎖乳突筋」の場所を確認する。わかりにくい場合は、仰向けになって頭を持ち上げると触りやすくなる。
【2】親指と軽く曲げた人差し指で胸鎖乳突筋の最上部(耳の下あたり)を軽くつまむ。首と同じ側の指でつまんでも、反対側の指でつまんでもどちらでもOK。
【3】胸鎖乳突筋をつまんだまま正面を向き、胸鎖乳突筋に沿って、鎖骨の部分まで少しずつつまんでもみ進める。鎖骨まで進んだら、胸鎖乳突筋に沿って、耳の下まで少しずつつまんでもみ進め、もみ始めの位置に戻る。
【4】上から下、下から上と往復し、30秒間もむ。これを首の右側と左側のそれぞれで行い、痛いところを重点的に行う。
「やりすぎは、もみ返しの原因になるだけでなく、皮膚が赤くなったりすることもあります。1回30秒であれば、そのようなリスクが少なく、時間的な負担もほとんどありません。筋肉のコリを改善するには、ある程度の頻度が必要です。1日3回を目安に行えると理想的です」
痛みが出たら回復するまで休む
強くもみ過ぎると翌日に筋肉痛が出ることもある。痛みが強く出た場合は無理に続けず、痛みが回復するまで休もう。痛みが引いてから再開し、2~3週間ほど続けると、首の動きが軽くなったと感じるケースが多くなるという。
「ただし、そこでやめてしまわず、定期的に続けることが大切です。胸鎖乳突筋をつまんでも痛みや硬さがなくなれば、状態はおおむね改善していると考えられます」
教えてくれた人
吉原潔さん/整形外科専門医
よしはら・きよし。整形外科専門医、フィットネストレーナー、医学博士、アレックス脊椎クリニック名誉院長、日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。著書に『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム)
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