《血管を若返らせる》冷えたおにぎり、ぬるめシャワー、ゾンビ体操…循環器専門医が教える「血管ケア習慣」
大きな痛みや生活に特段の支障をきたすことなく、静かに老いて命を脅かすのが「血管」。血管が詰まり、破れれば「突然死」を引き起こすリスクが高まる。これらの部位は「何歳からでも鍛えることが可能」と医師は断言する。そこで、『「100年血管」のつくり方』(青春新書)を上梓した、池谷医院院長で循環器専門医の池谷敏郎さんがすすめる生活習慣や運動を実践してみよう。
炊きたてご飯より冷えたおにぎり 血管を強くしなやかにする最強習慣
全身に酸素や栄養素を送り届ける血管が老化すると、細胞や臓器にダメージを与えるだけでなく、血管そのものが切れる、詰まるなどし、心筋梗塞や脳卒中、大動脈解離など“突然死”の引き金になることがある。
だが、池谷医師は、「正しいケアをすることで血管は何歳からでも若返り、しなやかさを取り戻すことができます」と断言する。
池谷医師が提唱する血管ケアで最も重要となるのが日々の食生活だ。
「血管に大きなダメージを与えるのが食後の血糖値の急上昇です。血糖値の上昇は活性酸素の量を増やし、過剰となった活性酸素が血管の内皮細胞を傷つけ、老化を促進します」(池谷医師・以下同)
なかでも高血糖に繋がりやすいのが米飯やパンなど炭水化物の摂取だ。
「炭水化物に多く含まれる糖質の多くは体内でブドウ糖に分解され、食後の高血糖の原因となります。しかし、高血糖を避けようと極端な糖質制限だけを行なうとエネルギー不足に陥るリスクがあります」
そこで池谷医師が実践し、患者にも勧める工夫が、「温より冷」「白より茶」を選ぶという考え方である。
「糖質の一つであるデンプンは、加熱後に冷やされると一部がレジスタントスターチに代わり、糖の吸収を緩やかにします。ごはんなら炊きたてより冷ましたおにぎり、麺類ならかけうどんよりざるうどんを選ぶのが『温より冷』の考え方です」
「白より茶」とは、白米より玄米・胚芽米・もち麦、パンなら精製小麦のパンではなくライ麦パンや全粒粉などを選ぶことを指す。食後の血糖値がより上がりにくい主食を選ぶのが血管ケアのコツだという。
食べる順番も大切だ。
「食事における血管ケアの鍵を握るのが、『水溶性食物繊維』です。これは胃腸をゆっくり通過して腸での糖の吸収を遅らせ、食後高血糖を防いでくれるうえ、余分なナトリウムを体外に出して高血圧予防にも役立ちます。その効果を最大限に発揮してもらうために、食事の最初に食べましょう」
水溶性食物繊維はオクラや納豆などのネバネバ食品、海藻類、タマネギなどに多く含まれる。オリーブオイルを併せればより効果が高まる。
青魚も血管ケアの大きな味方だという。
「血管の老化で内皮細胞が傷つくと、血管は慢性的な炎症状態に陥ります。オリーブオイルのポリフェノールやアジやイワシ、サバなどの青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のEPAやDHAには炎症抑制効果があり、摂取することで動脈硬化を防ぐ効果が期待できます」
食べ方は刺身など「生」がお勧めだ。
「EPAやDHAは加熱処理で流出します。例えばサバ缶など青魚の缶詰は汁ごと食べれば、流出したEPAやDHAまで効率的に摂取できます」
サウナ後はぬるめのシャワー
食後の高血糖と同様に、血管に大きなダメージを与えるのが「ストレス」だ。
「イライラなどストレスによるダメージはタバコ3本分に匹敵すると考えられています。ストレスは自律神経に作用して交感神経を昂らせ、喫煙時と同じように血管を収縮させ、血圧や心拍数を上げて血管に負荷をかける。その状態が慢性的に続くと動脈硬化が進み、血栓もできやすくなるのです」
池谷医師はその対処として「6・3・3呼吸法」を推奨する。
「お腹を凹ませながら口から6秒息を吐き、次に鼻から3秒吸い、3秒息を止めます。繰り返すとイライラが落ち着き、自律神経のバランスを整えることができます」
心拍数を落ち着かせるには、「耳マッサージ」も手軽で効果的だという。
「耳の周りには東洋医学で重要とされるツボが多く、指でつまんで軽く引っ張るだけで、交感神経が鎮まり心拍数が下がる効果が期待できます」
毎日の入浴にも血管ケアのコツがある。
「長時間の入浴は血管が過度に拡張します。発汗による脱水で血液量が減ると血圧が下がりすぎ、脳への血流が減少し失神する危険を伴います。基本的に20分以上の長湯は避けましょう。また、サウナ後の水風呂は要注意。温まった体が急激に冷やされることで血管が収縮し、血圧が急上昇するリスクを伴います。サウナから出たら水風呂を避け、ぬるま湯のシャワーにとどめましょう」
食事や日々の習慣を改善するとともに、血管を若返らせるエクササイズも実践したい。
池谷医師が「最強の血管ケア・エクササイズ」と紹介するのが、「ゾンビ体操」だ。
「運動で筋肉を動かし、血流が良くなると、血管の内皮細胞からNO(一酸化窒素)が分泌されます。血圧安定や炎症抑制など様々な作用があるNOは血管をしなやかに保ち、若返らせてくれる『天然の薬』とも言えます。
3分のゾンビ体操は10分間のウォーキングと同程度の運動強度があり、効果的にNOの分泌を促します。さらに、上半身を脱力してゆらゆら動かすリラックス効果もあり、血圧や心拍数を上げすぎないメリットもあります」
楽しみながら行なうことで、血管の天敵であるストレスを発散する効果も期待できる。
血管若返りの究極エクササイズ「ゾンビ体操」(1日3セット)
【1】ひざを少し上げてその場でリズミカルに足踏み。最初はゆっくり始め、慣れてきたら徐々にスピードを上げる→その場でジョギングするようなイメージで!
【2】肩の力を抜き両腕をブラブラさせる(下半身はジョギングの動きを続けたまま!)
【1】~【2】の動きを同時に1分間続けたら、30秒のインターバル(休憩)。その場で両腕を前後に大きく振り、大きく足踏みをしながら呼吸を整える(これを3回繰り返す)
※この時の足踏みは、かかとをつけてもOK
※週刊ポスト2026年8月28日・9月4日号
