蒸し暑い季節の介護食作り「夏はとくにたんぱく質の補給を」おすすめ食材6選&火を使わないお手軽レシピ3選【管理栄養士提案】
65才以上の「低栄養」傾向の割合は男性が12.7%、女性25.2%で、女性は5人に1人が該当(「令和6年国民健康・栄養調査」より)。ただでさえ暑いと食欲が低下しがち。「夏場はとくに高齢者や介護中のかたには栄養摂取に注意が必要です」と管理栄養士・川鍋仁美さん。火を使うのも億劫になりがちな蒸し暑い季節、高齢者の食事や介護食のヒントを解説いただいた。
教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん
管理栄養士。大学卒業後、総合病院に勤務し、介護食・嚥下食の献立作成や栄養相談に従事。現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートを行うほか、高齢者の栄養や介護食に関する記事を執筆。自身でも市販の介護食や宅配介護食を実際に試し、味や食べやすさを管理栄養士の視点で比較・検証している。介護する人もされる人も安心して食事を楽しめるよう、わかりやすく実践的な情報発信を心がけている。運営サイト「~管理栄養士がやさしく解説~いちばんやさしい介護食ガイド」(https://eiyousupport.com/)を運営。
蒸し暑い季節は、高齢者の低栄養に注意
蒸し暑い日が続くと食事づくりが億劫になることがありますよね。とくに高齢者向けの食事や介護食作りは通常食に比べて手間がかかります。介護が必要なかただけでなく、介護をする側も食欲が低下しやすいこの季節はとくに、低栄養に注意し、手間をかけずに効率よく栄養を摂りたいものです。
食欲が低下しがちな夏場に、積極的に摂って欲しいのが「たんぱく質」です。
夏はたんぱく質不足に要注意
暑さで食欲が落ちると、食事作りが億劫になるだけでなく、食生活にも影響が及びます。
・そうめんなど「麺だけ」で済ませてしまう
・副菜など品数を用意するのが面倒
・さっぱりした野菜中心のおかずが多くなる
・食事量そのものが減る
このような食生活が続くと、筋肉の維持に必要なたんぱく質が不足しやすくなります。また、夏場は熱中症の心配から終日室内で過ごすことが増え、活動量が低下。動かないでいると筋肉量は低下してしまいます。体重の減少や体力の低下につながる恐れもあります。
そこで、火を使わず手軽に作れて、効率よくたんぱく質が補える「夏のたんぱく質強化」メニューを考えてみました。飲み込みが不安な高齢者や介護食作りに活用して欲しいと思います。
火を使わず食べられる&たんぱく質豊富な食材6選
火を使わずに食べることができて、たんぱく質豊富な食材はこちら。
【1】豆腐
消化にも配慮しやすく、食欲がない日でも無理なく栄養を補給できます。水分量も多く、暑い季節にぴったりです。
【2】ツナ缶
たんぱく質を補給できる便利な保存食品です。そのまま使えるため調理の負担が少なく、忙しい日や食欲がないときにも取り入れやすい食品です。
【3】サバ缶
たんぱく質に加え、DHA・EPAなどの良質な脂質を手軽に摂れる食品です。骨までやわらかく食べられるため、カルシウム補給にも役立ちます。
【4】納豆
たんぱく質やビタミンK、食物繊維などを豊富に含む栄養価の高い発酵食品です。やわらかく食べやすく、ごはんのお供として手軽に栄養を補給できます。
【5】ヨーグルト
たんぱく質やカルシウムを手軽に補給できる食品です。水分量多いので夏にぴったり。やわらかく食べやすいうえ、乳酸菌による腸内環境を整える働きも期待できます。
【6】卵
卵料理の中でも、市販の「卵豆腐」や「茶碗蒸し」はおすすめ。なめらかな口当たりで飲み込みやすく、食欲がないときにも食べやすい食品です。良質なたんぱく質を手軽に補給でき、冷たいままでもおいしく食べられます。
火を使わない夏のたんぱく質強化レシピ3選
火を使わず、和えるだけ、刻むだけと、手軽なレシピをご紹介します。
【1】ツナと豆腐のさっぱり冷ややっこ
絹ごし豆腐にツナとゆでて刻んだオクラをのせ、ポン酢を適量かける。オクラはやわらかめにゆで、飲み込みやすいサイズに刻みましょう。
【ポイント】暑くて食欲がない日でも食べやすい、さっぱりメニューです。やわらかく食べやすく、たんぱく質をしっかり補給できます。
【2】サバ缶ときゅうりの和え物
サバ缶は身を食べやすくほぐし、薄くスライスしたきゅうりを適量を和える。きゅうりは刻む・すり下ろすなど食べやすい大きさに調整しましょう。少量の梅肉や酢を適量まわしかけると酸味で食欲増進効果も期待できます。
【ポイント】切って和えるだけで、たんぱく質、DHA・EPAを手軽に摂れる栄養満点の一品です。さっぱり食べられて、暑い日にもおすすめです。
【3】とろろと納豆のねばねば丼
ひきわり納豆とすりおろした長いも適量をご飯にのせる。介護食に納豆を使うときは、ひきわりを選ぶか、粒の場合は均等に刻みましょう。
【ポイント】のどごしがよく、食欲がない日でも食べやすい一品。納豆ととろろで、たんぱく質と食物繊維が手軽に摂れます。
納豆は糸を引く性質があるため、嚥下機能が低下している人は食べにくいことも。とろろとよく混ぜて食べると、粘りが抑えられます。細かく刻む・ミキサーでなめらかにするなど、体の状態に合わせて形状を調整しましょう。
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このほか、ヨーグルトにバナナやフルーツ缶詰を加えたデザートも、たんぱく質やカルシウム、ビタミンを手軽に補給できるので、朝食や間食にもおすすめです。
「無理をしないこと」も介護のうち
暑い時期は、介護する人自身も疲れやすくなります。毎食手作りにこだわる必要はありません。市販の卵豆腐や茶碗蒸しも冷蔵庫で冷やして提供すれば、さっぱりとして食べやすく、たんぱく質を補給できます。
麺だけになってしまうときは、温泉卵をのせたり、粉チーズを振りかけたり、市販品をプラスしてたんぱく質を強化してみてくださいね。
食事作りは「1食ごと」に栄養バランスを考えるのはなかなか大変なことです。1週間くらいの単位で、栄養の過不足を考えみてはいかがでしょう。市販品を活用しながら「今日はこれくらいで十分」。そう思える日があっても大丈夫。程よく手を抜くことも長く介護を続ける上で、大切なことです。
蒸し暑い季節は、食欲低下による低栄養にも注意が必要です。火を使わなくても、豆腐・ツナ缶・サバ缶・納豆・ヨーグルト・卵(市販の卵豆腐や茶碗蒸し)、6つの食材を上手に活用すれば手軽にたんぱく質を補うことができます。無理なく続けられる方法を取り入れながら、暑い季節を乗り切りましょう。
