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「とろみを正しくつけられますか?」失敗から学ぶ介護食の基本を管理栄養士が指南

 介護が必要になり、嚥下機能が低下してくると、食べ物や飲み物にとろみをつけて食べやすく、飲み込みやすくする工夫が必要になる。しかし「とろみ」のつけ方は、初心者にとって意外と難しいもの。管理栄養士の川鍋仁美さんに、よくある失敗事例と、正しいとろみのつけ方について解説いただいた。

教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん

管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/

そろそろ「とろみ」が必要?

 食事中によくむせるようになったり、お茶や水などでもむせることが増えてきたりしたら、誤嚥予防のために「とろみづけ」を検討するタイミングかもしれません。

 私は高齢者の栄養指導や食事サポートを行っていますが、食事や水分補給のときによくむせていた利用者さんに、最初は拒否されていたのですが、とろみをつけたお茶を召し上がっていただいたところ、「味は変わらないのにすごく飲みやすくなった」と喜ばれたことがありました。安心して食事や水分を摂っていただくため、正しいとろみのつけ方をぜひ覚えておきましょう。

 ただし「とろみの濃度がご本人に合っているか」がとても重要です。まず、管理栄養士や歯科医師、看護師などの専門家に相談し、適切なとろみの濃度を確認しておきましょう。

 また、とろみの濃度については、作る人や手順によって、仕上がりが変わってしまうので、以下のことに注意しましょう。

とろみづけのよくある失敗事例5選から学ぶ対策

 とろみをつけるには、市販のとろみ調整用食品を使います。消費者庁の許可を受けた「特別用途食品 えん下困難者用食品」のマークがついているものを選ぶのが安心です。

*消費者庁「とろみ調整食品てなに?」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/assets/food_labeling_cms206_20230927_10.pdf

「粉末を一気に加えたらダマになってしまった」

 粉末タイプのとろみ調整用食品は、一気に入れてしまうとダマになってしまうことがあります。加える時は、少しずつ加え、よく混ぜながら溶かします。

 熱い料理に加えるとダマになりやすいため、少し冷ましてからとろみをつけるといいでしょう。

 商品によっては「ダマになりにくい」タイプや、液体タイプならそもそもダマができないので、使いやすいものを選んでほしいと思います。

「熱々の料理や飲み物があとからドロドロに…」

 食材の「温度」はとろみの濃度に大きく影響します。温度が高いと、とろみが緩くなり、冷めると、とろりとした状態になります。

 熱々の料理や飲み物にとろみ調整用食品を入れても「とろみがついていないかも?」と感じ、とろみ調整用食品をさらに加えてしまい、冷めたときには「とろみが強くなっている」というケースも。決められた分量を守るか、食材を少し冷ましてからとろみづけを行うようにしましょう。

「時間が経ったらとろみがなくなってしまった!?」

 とろみ調整用食品の原料には「でんぷん」が原料になっているものもあります。

 一般的なとろみ調整用食品でとろみをつけたものは、冷蔵庫などで保存してもとろみが維持されるものがほとんどですが、でんぶんの特性によっては時間が経過すると粘度が変化してしまうこともあります。

 片栗粉を使ってとろみをつける場合、時間が経って料理が冷めると離水し、ととろみがなくなってしまうこともあります。やはり、とろみ専用の商品を使うのが安心でしょう。

「スポーツドリンクになかなかとろみがつかない」

 果汁入りのジュースなど酸味が強いものや、ミネラル分を多く含むスポーツドリンクは、とろみがつきにくいとされています。

 とろみ調整用食品の量を増やすのではなく、「2度混ぜ法」がおすすめです。

2度混ぜ法を試してみよう

・とろみ調整剤を入れて30秒ほどよくかき混ぜる。

・そのまま5~10分ほど放置。

・最後にもう一度しっかりとかき混ぜる。

「牛乳を飲んでもらいたいけど…うまくとろみがつかない」

 牛乳や乳酸飲料など、たんぱく質や脂質などの「水以外の成分」が多く含まれるものはとろみがつきにくいため、同様に「2度混ぜ法」を実践してみてください。また、乳製品用や液体タイプならとろみをつけやすいと思います。

***

とろみの濃度は作る人によっても変わることに注意

 とろみをつける食品や飲料の違いのほか、とろみをつける人や手順によっても仕上がりは変わります。

 介護食作りは、数日で終わるものではなく、月日をかけて食べる人の嚥下状態に合わせて変化していくものでもあります。今日まではこのとろみで食べられていたけれど、数か月後に同じ濃度のとろみが正解とは限りません。

 変化を感じたら専門家に相談し、作り方や濃度をその都度調整していきましょう。

 嚥下に問題はなく普通に食べられる人にとっては、とろみの濃度の差は小さなことに思えるかもしれませんが、ほんの小さな差が誤嚥につながる恐れもあります。

 完璧を目指すのは難しいことですが、作り手ひとり一人が「とろみづけには差が生まれやすい」ことを知り、作り方に注意を払うことが大切です。飲み込む負担を減らしながら安全においしく食べてもらえるように、できることから取り組んで欲しいと思います。

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