予防給付とは?【介護の基礎知識】公的制度<7>
介護保険制度は、複雑でわかりにくいという声をよく聞く。いざ介護が始まったときに、知っておきたい基礎知識を解説する。
予防給付とは
予防給付とは、介護予防(生活機能を維持・向上させ、要介護状態にあることを予防すること)に適した、軽度者向けの内容・期間・方法で提供される、サービスで、要支援1~2と認定された人が受けることができる。
予防給付は平成18年(2006年)にスタートした新しいサービスで、生活機能を維持・回復し、介護状態が悪化しないよう予防に重点を置いている。
サービスの利用料は保険料や税金から支給される(保険給付)。原則として利用料の9割が支給され、残りの1割が自己負担となる(65歳以上で一定以上の収入がある人は8割支給、2割自己負担、または7割支給、3割自己負担)など給付方法は介護給付と同じ。
予防給付で利用できるサービス
介護給付と同じように、自宅訪問型サービス、通所サービス、施設サービスを利用することができるが、要介護状態になることをできる限り防ぐことを目的としており、利用できるサービス内容や利用料が要介護の人とは異なることがある。
主なサービス
・介護予防支援
└ケアプランの作成
・自宅訪問型サービス
└介護予防訪問介護(ホームヘルプ)、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居住療養管理指導
・通所サービス
└介護予防通所介護(デイサービス)、介護予防通所リハビリテーション(デイケア)、介護予防短期入所療養介護(ショートステイ)、介護予防認知症対応型通所介護
・施設サービス
└介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防認知症対応共同生活介護(グループホーム)
・生活環境整備サービス
└介護予防福祉用具賃与、介護予防福祉用品販売、介護予防改修
居宅サービスの利用限度額と自己負担額
訪問介護や訪問看護、訪問入浴などの居宅サービスでは、要介護度に応じた利用限度額(給付費)の範囲内で受けられるようなケアプラン(サービス計画書)を作成して、サービス内容を組み立てる。この範囲内であれば、利用料の1割(または2割、3割)が自己負担となる。
※限度額を超えて利用した場合は全額自己負担になってしまう。
居宅サービスの1か月あたり利用限度額と自己負担額のめやす
●要介護度別・1か月あたりの利用限度額・自己負担分:1割負担の場合
要支援1
└支給限度額:50,320円
└自己負担額:5,032円
要支援2
└支給限度額:105,310円
└自己負担額:10,531円
要介護1
└支給限度額:167.650円
└自己負担額:16,765円
要介護2
└支給限度額:197,050円
└自己負担額:19,705円
要介護3
└支給限度額:270,480円
└自己負担額:27,048円
要介護4
└支給限度額:309,380円
└自己負担額:30,938円
要介護5
└支給限度額:362,170円
└自己負担額:36,217円
自宅訪問型サービスの利用料は、1回あたり、または利用時間により設定されているが、通所サービスなどは要介護度によって自己負担額(支給限度基準額)が異なる。
一部サービスが新事業へ移行
予防給付については、全国一律のサービスとするのではなく、地域の特性や住民のニーズに合わせて効率的にサービスを提供できるように見直すことになった。それにより一部のサービスは「地域支援事業」へと移行した。
予防給付サービスの中でも「介護予防訪問介護(ホームヘルプ)」と「介護予防通所介護」の2つは、介護保険の予防給付ではなく、市区町村尾地域支援事業(新しい総合事業)として提供される(それ以外のサービスについては今までと同じように介護保険により提供)。
例えば、訪問介護事業所によって行われているホームヘルプは、既存の訪問介護事業所の身体的介護に、民間事業者や住民ボランティアによる生活支援サービスを組み合わせるなど、多様な支援者が加わることでサービスにより豊かになることが期待されている。
【参考資料】
公表されている介護サービスについて(厚生労働省)
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/
構成/介護ポストセブン編集部