《食事は量より質》「旬の食材」をとるべき4つの理由を管理栄養士が解説 老化の原因となる物質を取り除くことも
健康な体づくりは食事が基本だが、もともと少食だという人だけでなく、年齢とともに食が細くなってしまったという人もいるだろう。『食が細くなってきたら! 少食でもちゃんと栄養がとれる食べ方』(アスコム)を上梓した料理研究家・管理栄養士の関口絢子さんは無理をしてまでたくさん食べる必要はないと話す。量ではなく質を重視した食事のカギとなる旬の食材について教えてもらった。
教えてくれた人
関口絢子さん/管理栄養士
川村学園短期大学食物学科卒業。「食とアンチエイジング」の関係が注目されていなかった20年以上前から、インナービューティースペシャリストとして情報を発信し続け、健康・美容・ダイエットに関するレシピや栄養情報を提供。2020年に開設したYouTubeチャンネル「管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン」は登録者数60万人超え。米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー、日本抗加齢医学会認定抗加齢指導士の資格ももつ。
健康な体を保つ働きをする「微量栄養素」
健康な体を保つ働きをするビタミン・ミネラルを総称して「微量栄養素」と呼ぶ。必要量はわずかではあるものの、エネルギー代謝に関わっているため、健康的に過ごすためには不可欠な栄養素だ。
「ビタミンやミネラルは、車のエンジンをスムーズに動かすための『潤滑油』のようなものです。これらが不足すると、三大栄養素が体内でうまく利用されず、エネルギーが作られにくくなったり、細胞の働きが鈍くなったりします」(関口さん・以下同)
免疫に関係する栄養素
ビタミンCや亜鉛、ビタミンDなどは免疫細胞の生成や機能維持に必要で、不足すると風邪を引きやすくなったり、病気からの回復が遅れたりする原因になる。
体の組織の健康を保つ栄養素
カルシウムが不足すれば骨がもろくなり、鉄分が不足すれば貧血になるというように、カルシウムや鉄分、ビタミンK、ビタミンEなどは、骨や血液、肌、髪といった体の組織の健康を保つ作用がある。
老化や生活習慣病の予防につながる栄養素
ビタミンC、ビタミンE、セレン、亜鉛などは、ストレスから細胞を守る抗酸化作用で、老化や生活習慣病の予防に役立つ。
「旬の食材」を選ぶべき理由
健康的な体を維持するには、ここまでに紹介したような多様な栄養素が欠かせない。そこで関口さんは、栄養価が高く、少量でも効率的に栄養をとることができる旬の食材を取り入れることを推奨している。
必要な養分を効率よく蓄えている
「旬の食材の栄養価が高いのは、植物がもっとも生育に適した環境下で育つことで、必要な養分を効率よく蓄えられるためです。旬以外の時期に比べると、微量栄養素であるビタミン・ミネラル、さらにポリフェノールなどの抗酸化物質を格段に多く含んでいることが、多くの研究で明らかになっています」
たとえば、冬が旬のほうれん草は、旬以外の時期に比べてビタミンCが約2倍になることがあったり、夏の太陽の光をたっぷり浴びた旬のトマトは、リコピンの含有量が旬以外の時期より増えたりするという。
より多くの抗酸化物質をとれる
夏に旬を迎える農産物は日差しや高温、冬に旬を迎える農産物は寒さや乾燥など、それぞれの厳しい環境において、身を守るために「フィトケミカル(ファイトケミカル)」を作り出す。抗酸化物質であるフィトケミカルには、老化・病気の原因となる活性酸素を取り除く、抗酸化作用がある。
「たとえば、なすやブルーベリーが持つ紫色の色素・アントシアニン、玉ねぎの強い香り成分・アリシンなどは、フィトケミカルの一種です」
鮮度が高く栄養素が失われにくい
収穫から時間がたつほど失われていってしまう食材の栄養素。つまり、鮮度の高さが栄養価の高さに直結している。たくさん収穫されて流通する旬の野菜や果物は、旬の時期ではないものに比べて流通にかかる時間が短いと考えられ、その分鮮度が高い状態で手に入れやすいといえる。
旬の食材ならおいしく食も進む
関口さんは、栄養価の高さ以外にも旬の食材の魅力があると話す。
「香り、甘み、食感など、その食材本来のおいしさを最大限に味わえるのは、旬ならでは。 少食さんにとって『おいしく感じる』ということは何より大切なので、旬の食材に出合ったら、ぜひ味わってみてください」
調味料は控えめにして蒸す・焼く・和えるなど、食材そのものの味を堪能できるシンプルな調理がおすすめだ。
「栄養価も味わいも、その時期ならではの力強さに満ちています。さらに、食卓で季節感を楽しめて、お値段もお手頃なので、一石三鳥の働きといえるでしょう」
