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連載

「母、肩の腱を負傷!おでんの牛すじ肉に込めた願い」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第62話

 慢性膵炎を抱える80代の母と暮らす漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさん。母は脚の不調から介護予防のリハビリに通い始めた。温かいおでんがおいしい季節、秋も深まったある日、母が肩を痛めてしまい…。新たなピンチに母娘はどう挑むのか?

慢性膵炎の母、脚の次は肩負傷!?

 えーとですね、、、また母が身体を痛めました。今度は「肩」です。

 ”注意一秒ケガ一生”とはよく言ったもので、ほんとに“秒”の出来事でした。脚が悪くなってからずっと愛用している腰掛タイプの座椅子(背もたれなし)に座ろうとして、ちょっとバランスを崩したんです。

「ああっ!」と声は出ましたが、とっさに座椅子の両端をつかみ、何とか落下は免れました。

「良かったねー」「危なかったねー」で、その場は済んだのですが、翌日から母が「のぶちゃん、なんか左の腕がおかしいかも…」と言い始めました。

 1週間ほど様子をみましたが「腕が後ろに回らんよー(回らなく)なってきて」、2週間後「のぶちゃん、変なあざが出てきたー」と母。見ると、左の肩に紫色の打ち身のようなものが浮かんでいます。あああ、こりゃまた整形外科かあ~~~、トホホ。

 毎度おなじみとなったレントゲン&MRI検査の結果は、

先生「肩と腕の骨の間に白い箇所があるでしょ?骨を繋いでいる「腱』が“炎症”を起こしてますね」。「左肩腱板炎」と、立派な診断名もつきました。

「断裂の可能性もあったので、まだ良かったですよ」と先生には言われましたが、ほんとに一瞬のちょっとしたことでこんな状態になるとは。おそろしや~~。

 まあでも原因もわかったし湿布薬と痛み止めをもらって帰りましょう、と思っていたら、先生が「痛み止めとリハビリ、どちらがいいですか?」と。

――母&私「え? リハビリ!?」

 そう、リハビリ。脚が悪くなってからずっと母が病院で受けたがっていた、理学療法士さんによるリハビリです。1か所目の病院でも2か所目の病院でも絶対に出てこなかったワード、リハビリ。

 脚に器具をあてるだけの電気治療を受ける母の横で、脚や腰をグリグリしてもらっている患者さんを眺めながら、「なぜうちの母はこんなに脚が悪いのにリハビリを受けさせてもらえないんだろう」とずっと不思議に思っていた、リハビリ。

 それがサクッとサラッと先生の口から出てきたことにビックリ。母を見ると「え、いいんですか? 本当に?」的な、トキメキ顔になっていて、即答で「お願いします」と言いました。

炎症があるとリハビリが受けられるってこと?

 これって、キーワードは「炎症」ですよね? 5分と立っていられないほど辛くて歩くのに杖が必要だった母の脚にはどこにも「炎症」はありませんでした。だから「整形外科のリハビリ」は受けられなかったようです。「炎症」とか「骨折」とか「打撲」とか、外科的な症状がないからダメだったのか…。

 帰りの車の中で「そういう事だったんだねえ~~~~」「はあ~~」「へえ~~」「ほお~~」と感嘆しあう母娘でした。

――というわけで、

・月イチで整体(身体をほぐして整える)←健康保険適用外

・週1でリハビリ型デイサービス(全身の筋力をアップする)←介護予防事業

・週2で整形外科のリハビリ(左肩腱板炎)←健康保険を使う治療

 気が付けば多種多様&盛りだくさんな「身体のためのメニュー」をこなす日々となっている母です。

 ただ、ありがたいことに脚の方は、少しずつ改善してきております。本人いわく「良かったり悪かったり」らしいですが、以前ほどヒーヒーフーフー言わなくなってきているし、「出かけたい♪」と言う頻度も増えてきました。病院通いだけで充分あちこち出かけてると思うんですけどね…。

 病院で「腱の炎症」と聞いて、昔、漢方か薬膳の本で「身体の悪い所と同じ部分を食べるといい」みたいな文章を読んだことを思い出しました。肝臓にはレバーがいいみたいな…。その考え方にもとづけば、腱にはすじ肉がいい?おでんの具としても入っている、半透明なプルプルのすじ肉、母も私も大好物です。

 今年の5月から始まった母のあちこち病院通いですが、気が付けば季節は冬間近。17時を過ぎるとすっかり暗く冷え込みます。今夜は、母の肩の腱が早く治るよう“牛すじ”がたっぷり入った、あったかおでんを作って食べようと思います。

NO老いるMemo「牛すじ肉の脂質」

 すじ肉ですが、食品成分表を調べたら載っていました。牛肉の項目に「腱」、備考欄に「すじ」とあります。牛肉の腱は、「アキレス腱」ですが、脚も肩も腱に違いはないからこれでいいのかな。

 牛すじ肉100g中の脂質は4.7g。おでん用の市販の牛すじ串1本分が約40gだったので、脂質は約1.9g。おでんは脂質控えめの具材が多いので、膵臓を労るため「脂質1食10g」が目安の母も楽しめる冬の定番料理です。

 さて、皆さんもご存じと思いますがアキレス腱すじ肉の主な成分は「コラーゲン」、たんぱく質の一種です。肌や髪のイメージが強いですが、実は「骨」の大切な構成物質でもあります。ちなみに、この牛すじ串1本(約40g)でたんぱく質なんと11.5g摂れます。高齢の母には積極的に食べさせたい「おでんの具」です。

*参考「日本食品成分表2025(八訂)」医歯薬出版株式会社。

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

 イラストレーター・漫画家。59才。山口県で83才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。

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